カテゴリ:家庭ばなし
先日の日記で、うちのだんなが「料理上手の女はポイント高い」などと言っている、と書いた。
これはけっこうホントだな、と思う。 主婦とか母親になるという人生を選択したら、料理は日々の基幹業務である。これを上手にできないとあれば、それは「美人に生まれなかった」「いい学校を出ていない」というのと同等のハンデと認識し、上手になるよう精進するか他でカバーする方法を真剣に考えるべき問題だと思う。逆に料理上手な嫁さんをもらった男性は、神に感謝しなければいけない。 ・・・と自分に向けて言ってみる(^^;) 今日は私の両親がうちに来ている。週に一度、今は隣市に住む母親がたのじの保育園の迎えをして夕飯を作ってくれることになっているので、この日だけは私は夕食作りから開放され、仕事帰りにちょっとだけ寄り道することができる。そのことはとっても感謝しているのだが。 私の母、料理がかなり下手なのである。 この日の母のメニューは豚汁だった。たのじも好物な確実メニュー。 私が帰宅したころにはもう皆食べ終わっていて、私の分だけになっていた。 食べてみる。すると父親が聞く。「どうだ?」私はちょい遠慮がちに答える。「ちょっと・・・というか、かなり味が薄い・・・」「そうだよな!やっぱりそうだよな!」 私は妊婦なので塩分を控えたほうがいいといえばいいのだが、別に私を気遣ってそういう味付けにしたのではあるまい。塩分少な目でもしっかりした味付けはできる。しかしこの豚汁はあまりにも味が寝ぼけている。 これは、はっきりいって他人様にはお出しできない。 私と父のやいとりを聞いていて、みるみる母親の機嫌が悪くなる。 「でも塩分を取りすぎるのはよくないのよ!たのじはおいしいおいしいって食べたわよ!」挙句には「あおこも塩分やら肉類ばっかり取っているとガンや糖尿病になって後悔するからね!」と憎々しげに言ってくる。 ああ、まただ・・・自分の味付けのまずさを「健康を考えたからだ」という理屈にすりかえる。この前の栗ご飯もいまいちだったし、また次もこういうのを作ってくるに違いない。 この母の料理が私の「家庭の味」だったから、昔は気づかなかった。 母は料理も洗濯も掃除もあまり怠けずにせっせとやっていたし、普通の、悪くない母だったと思っていた。合間にはたまに販売やら営業やらのパートに出て、けっこういい評価をもらってくる。家が貧しくて大学には行けなかったけど高校は地元一番の進学校を出ていることを自慢にし、私はこんなところにいるべき人間じゃないのよ、みたいなことをたまに言っていた。私も子供の頃は素直にそれを信じていた。 でも、今は思う。この料理の腕じゃ、ちょっとなー。 小学生の頃、こんな私も「お誕生会」というものを催し、友達を数人家に呼んだことがある。母も張り切ってカレーを作り、友達にふるまった。 しかし友達は全員、そのカレーを残したのである。 その後で出たケーキ(これは市販品)は皆完食していたので、満腹だったわけではない。人のうちの母親がせっかく出したカレーを食べずにケーキだけ食べるなんて、なんて失礼な友人どもだ!と当時は思っていた。 しかし、家を出て自分でカレーを作るようになって気づいた。 母のカレーは、ルーの箱に書いてあるレシピの、多分半量しか水を入れていない。ものすごくもっさりした、そう完全密封でない容器に入れて冷蔵庫に保存して2日くらい経過した、水分のないカレー・・・最初からそういう状態のカレー。 私は、小さい頃からそういうのを食べさせられていたのでカレーとはそういうもんだと思っていたが、友人たちには食べれたもんじゃなかったのだ。 母は、レシピというものを全く見ない。前述のカレーも、いつも目分量で水を入れ、年月がたつうちにだんだん目分量が狂い、似ても似つかない料理に変貌したものと思われる。 その他、調味料をきちんと計量しているところを見たことがない。だからうまくいくこともあるが、それを次回も再現できない。 たまに指摘すると、「長年やってるし味見してるんだから計量しなくても大丈夫なのよ!」と威張る。できてないから言ってるのに・・・あまり言い募ると逆ギレする。 油揚げの油抜きも、してなかったような気がするな・・・ それでいて、惣菜を買ってきたりするのは罪悪感があるようだ。手作りには割とこだわり、冷蔵庫にあるものを全部入れたような、名前のつかない料理を作っている。 もう私も、自分が料理下手なのを母のせいにして済ますような歳ではない。これからは自分で努力して失われた時を取り戻さないといけない。 でも、意識の低い時期が長くて損をしたなー、とは思ってしまう。 結婚前のだんなにも無理して料理を作ろうとして、何度も失敗した。 作ったこともない料理を、ぶっつけ本番で本も見ないで作って出す。 それはまるっきり母のやっていたことだ。 だんなの母つまり姑は、料理がとても上手で、かつ好きな人だ。いつも台所にいて、家族で会話していても片手間にだしをとっている、そういう暮らしを長年している。 それなので、私や、母の料理をだんなに出すのはかなり恥ずかしい。 料理に限らず、他の家事でも母はイマイチだった。 掃除もしょっちゅうやっていたという印象があるのだが、部屋はいつも綺麗でない。家が狭いからとか家族が汚すからだとか文句を言っていたが、自分もものを捨てずに溜め込むタイプ。容量を超えたものたちがあふれかえっているからなのだ。 これも私と同じだ。 家事が好きでない、楽しんで、工夫してやることができない。 だから料理も上達しない。 今私は、料理をするときは必ずレシピ本を見る。卵焼きとか肉じゃがとか、何度も作った定番料理でも砂糖や醤油の分量を必ず確認する。 だから、あまり失敗することはなくなった。 でも、家庭の味=オレンジページの味状態だし、本にない料理を創作することができない。 料理にはセンスも必要だが、センスがないとコレが限界かな・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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