2020/02/13(木)10:01
さよならを言えなくてごめんね第44話『1万人プールで迷子になった草太』
「先生はね、
一番手こずらせた子の事は絶対忘れねーわ」
いつもの説教時に 私がこんな事を言ったら
誰かが
『じゃ、ぼく うんと悪戯してザッキー困らすんだ』
そう言ったっけ(-"-;A ..
その子は確か?学童入所日に お父様のお尻の後ろに隠れたお坊ちゃんだったような?(笑)
わたしの学童には 愛が通っていた。
どんなに時が変わろうと
それだけは 確信している。。
ミキオ画伯作
**********☆
第一期の男の子たちもかなり私を手こずらせたが・・
それに負けず 第二期のぼんぼん達も。。。。
凄いことをやってくれた。
今回は 栃木では かなり有名な?
一万人プールで 園内放送をされた 草太の武勇伝をお話しましょう。
時は
ザッキ~学童第5期の夏休みのこと・・。
その頃は預かってる児童の数も初期の5倍ほどに増え。。
私と夏野先生以外に
体育会出身の矢野広大先生と そのご友人で当時 桃ノ木保育園のムササビさんクラスの園児さんをサポートしていた陣内良友先生って
20代くらいの男の先生がついてくれて・・
その年は 4人の先生 フル活動で
かなり盛りだくさんの夏休みイベント 盛り上げてくれたんだ。
宿泊学習も茨城の方の海の施設に泊まったりね?
子供たち それはそれは・・凄いテンションで 各先生と写真撮ったり。。楽しい夏休みを謳歌したんだ。
昭和生まれのザッキ~先生は
そういった大きなイベントがあると
よく 【冒険のしおり】って言う 旅の冊子を作ってね。。
子供たちと 胸をワクワクさせながら
バスの座席やら宿泊メンバーを決めたり・・
事前に子どもたち自身で確認できるよう・・持ち物確認表みたいのも冊子の終わりに入れてたっけ(^^;)
そして 長い長い夏休みの有り余る時間を利用して
旅行に行く前には 子どもたちとリハーサル?オリエンテーション的な事も時間をとって念入りにやったんだ。
まだまだ自分自身がふざけちゃう 学童のリーダー ミキオと草太に
『今回の一万人プールは
お前たちにとっては卒業試験みたいなものだからな?
いつも周りを笑わせてばかりいないで
ちゃんと自分のグループにいる2年生3年生の面倒みながら
施設を周るんだぞ?
先生は新1年生看ないといけないから・・
しっかり皆のこと引っ張ってくれよ?』
そう自分の気持ちを託し
何回もリハーサルをしたっけ・・・。
しかし
いざ蓋をあけてみたら。。。。
やっぱり まだまだミキオと草太には荷が重たかった(-_-メ)
入園してわずか20分ほどで・・
『先生。。草太くんどっか行っちゃった』
2年の伊皿こうきの手を引いて
ミキオがむくれながら私のところにやってきた。
『ザッキー、もぉーかんべんしてー
こいつがいると俺、深いプール入れなくなるよぉー』
まったく・・・ウチの子どもらは どうして揃いも揃って
じぶんかってなんよーーーーー(>_<)
・・・・わたしの期待は
ものの見事に 草太に粉砕されてしまったのです
1万人プールで冷や汗かかされたよ事件
その1~伊皿くんのばあい~
仕方がないので 私はミキオを矢野先生のグループに預け
酔うとすぐゲぇしちゃう伊皿くんと それから飛竜の妹で 豪ちゃんに憧れてる野球少女:ちなみのお相手をしながら 水かさがほとんどお尻くらいしかない。。幼児さん向けのプールで 滑り台から下りてくる彼らの安全を見届けていたのでした。
しっかし 大勢の家族連れがキャーキャー高いスライダーから滑り降りてる姿やら・・海のように海面が盛り上がったり低くなったりする中を大きな浮き輪につかまりながら笑い合ってるおにいさんおねえさんの姿を見たらば。。遊びたい盛りの6歳7歳の坊やたちは心惹かれるわなぁ?(*´ω`)
『ザッキ~あっちいこ?』
車酔いしてよくゲぇしちゃう伊皿くんが
くりっくりのまん丸目玉 大きく見開いて私の手を引くもんで・・
《だいじょうぶかいなぁ》内心そう思ったものの
しょうがないなーと 波のプールに 2年生のちなみと彼の手を引いて入ってった訳。。。
そしたら ものの5分ほどで
『ザッキーせんせ。。きもち、、わるっ。。』って
顔真っ青なった伊皿くんが口を押えてさぁ?
うわっ
ここでやったらまずーーーー(@ ̄□ ̄@;)!! って
慌てて私は 伊皿くんの体抱えて
一万人プールの端っこにあるお便所へ=3
ちなみ残して 走っちゃった(~_~;)
しっかり者のちなみは ちゃんと私たちが走り去った方角・・というか?
こうきくんが落とした液体の跡をたどって?
男子トイレの前で待っててくれたから良かったようなものの。。。
ほんと このように人が多い場所で いきなりのゲぇーは参った(-"-;
1万人プールで冷や汗かかされたよ事件
その2~草太くんのばあい~
ゲぇしてスッキリしたらしい居皿くん まだ遊びたいと言ったものの・・
時計をみたら もうあとちょっとでお昼の全体集合の時間⌚
私たちの代わりに場所取りをしてくれてた片倉先生のところに
そろそろ合流しなければ。。
ということで 私たちのグループと夏野先生のグループは集合時間よりちょっと早めに休子どもたち連れて休憩場所へ・・・
陣内先生のところも無事 集合時間までにやってきた。
ところが。。
矢野先生のチーム・・
私がこの子たちなら協力して何とかやれると期待して送り出した
ミキオと草太がいるチームが 時間になっても帰って来ないのだ(;゚Д゚)
取り敢えず先に来た子供たちとお昼の準備をはじめた私たち・・
出来上がった職員分のラーメンを取りに行ってた夏野先生が
『あ!先生 あれミキオ君じゃないかしら?』
みると 一つ先にある幼児向けプールの方から 陽に焼けた男の子が
背の高い男性と歩きながら こっちに向かってるのが見えた。
『あれ?草太くんの姿が見えないわね ひさし先生?』
麦藁帽を手で支えながらサングラスをかけた片倉先生が私に言った。
《どうしたんだろ?草太
何度もリハーサルしたし・・
集合場所も時間もちゃんと伝えたのに。。》
矢野先生が口を開く前に ミキオが状況説明を始めた。
『もーやってらんねー
だから あいつと同じグループになるの嫌だったんだよ!
『スライダーの列に皆で並んでたのね?
で 上まで行って一人ずつ滑ったんだけど
終わったらここで待てって広大先生に言われてたのに
草太だけ待ってねーんだもん』
心配になった夏野先生はしっかり者の飛竜と準之介の弟 ミナトを連れて一万人プールの総合案内所へ・・
十分後・・・
戻ってきた先生が
『監視員の人が迷子の案内してくれるらしいです』
私は ちょっと恥ずかしい気持ちになりながら
ピンポンパンポーン のメロディー音を聞いた(-_-;)
〝宇都宮市~ のびのび学童から お越しの~
荒川草太くん
学童の皆さんが探しています~
至急~ 総合案内所まで~ お越しください ませ~”
その迷子案内の後、 ふっと 集合場所の傍にある足洗場の方みたら・・
もじもじ明後日の方角をみながら口笛を吹いてる やけに背筋が出来上がった少年が。。居た(◎_◎;)
怒ると言うより 何か呆れてしまって・・
「もう・・草太どこ行ってたんだよー
11:50なったら みんなここに集合って
先生言ったじゃん・・・』
そう言ったら彼、
『わかってたよ ここに行かなくちゃいけないの・・
だけど 迷子になったら ザッキ~あちこち動き回るなって
そう言ったんだもん・・。
だから僕、みんなに迷惑かけちゃいけないと思って
スライダーのとこにずっと待ってたんだ・・
だけど矢野先生もミキオも誰も居ないんだもん。。』 って(~_~;)
確かにねぇ・・
迷子になった時はあちこち動くな、そこにいろって言ったけど。。。
まさか こういう時に 私の言葉を実直に守るとは(-"-;A ..
1年1年・・
ミキオも草太も 体はもちろん・・。
精神面の発達も大きいものがあった・・。
鼻息荒く 草太と口論するミキオ、
そして どう集団と仲良くやっていけば良いのか?分からなくて
下の学年の子 可愛がるつもりが しつこくし過ぎて逆に疎まれる草太などなど・・(+_+)
ほんと 二人とも
私からみたら 決して器用とは言えない男の子なんだけれど・・
いじらしい位 私の気持ちに沿おうと努力してくれていた。。
真似をしなくてもいいのに・・
先生の正義感の強さまで 似てしまって。。
心の葛藤もしょっちゅうだったろう・・。
学年が上がるに従って 先生は学年の低い子どもたちにとられて
なかなか君たちとじっくり話せなくなってしまった
だけど そんな先生に不満を口にすることもせず
君たちは 無器用ながらも 自分たちで一つ一つ
あーでもない、こーでもないとぶつかり合いながら巻
学童で巻き起こる問題を解決していったね?
忙しいザッキ~に負担をかけちゃならないと。。
先生、そんなミキオと草太がいじらしくて堪らなかった。
私の心に・・
そして あの学童に
たくさんの笑いをくれた君たちに
私はあらためて礼を言いたい。
ありがとう ミキオ
ありがとう 草太