カテゴリ:雑記帖
前回のつづき。
はなさかじいさんの犬の名前がいろいろあることに気付きました。 『日本昔噺 其五 花咲爺』巌谷小波 博文館 明治27年 「日本昔噺」叢書(全24冊)の一つ。 は、 「四郎」(しろ) 作詞石原和三郎・作曲田村虎蔵の歌『はなさかじじい』 明治34年 では、 「ぽち」 『はなさかじい』吉沢和夫・文 桜井誠・絵 ポプラ社 昭和43年 は、 「いぬ」 『少年少女類別/民話と伝説7 日本の美しい話』 「花さかじじい」(富山県にのこる民話) 偕成社 昭和46年 は、 「でか」(でかい犬になるやうに) 『日本むかし話1 はなさかじい』松谷みよ子・文 瀬川康男・絵 フレーベル館 平成14年(昭和44年講談社刊「はなさかじじい」 を再構成したもの) は、 「しろ」 『おはなし12か月4 花さかじい』日本民話の会編 「花さかじい」渋谷勲 国土社 平成3年 は、 「シロ」 『親と子の読み聞かせ 昔ばなし100話』 「花さかじいさん」 主婦と生活社 平成15年 (『子どもに語る昔ばなし212話』『子どもに語る日本人気昔 ばなし201話』からの再録) は、 「犬」(名前をつけない) 『まんが日本昔ばなし』(毎日放送アミューズビデオ) は、 「シロ」 「しろ」といふのはその色からとつてゐるのでせうね。 (神話などに出てくる不思議な動物は白いものが多い。) 「ぽち」は「ぶち」が変化したといふ説や外国語からだといふ 説などがあります。 レヴィ=ストロースが犬の名前について、オーストラリアやアメリカ の原住民は犬に人間と同じ名前をつけるけどヨーロッパでは犬に芝居 の人物名をつけることが多いと書いてゐる、といふことを丸谷才一の 『好きな背広』で読んだことがあります。 日本はどちらでせうか。 何かどちらでもないやうな気がしますが、 夏目漱石の犬は「ヘクトー」といつてホメロスの「イーリアス」に 出てくるトロイの勇将の名前からでした。 「しろ」を「四郎」と書いた「日本昔噺」のケースは色の名前でも あるけれど、字は人間の名前みたいなのでどつちかといふとオースト ラリア・アメリカ型に近いのかなあと思つたりします。 あと「四郎」といふ文字は子供のないおぢいさんとおばあさんが 我が子同然に育てた犬なのだといふ思ひの表現なのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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