「先生」といふ言葉
10月22日に「先公」といふ言葉について書き、その関連で「先生」といふ言葉の使はれ方の変遷について調べてみたいなあと思つてゐました。興膳宏先生の『平成漢字語往来』といふ本が、「先生」についてふれてゐたので紹介します。・『論語』における「先生」は、文字通り「先に生まれた」人の ことであり、用例はいづれも年長者の意味である。・『孟子』になると学問のある年長者に対する敬意が込められる。・『荘子』などでは教へを受けた師匠の意で用ひられる例が見られる。・『史記』では文人や学者の通称として用ひられることも珍しくなくなる。・『史記・滑稽列伝』では君主がおもしろおかしい言動をする道化役に しばしば「先生」と呼びかけてゐる。「それは彼らに敬意を表すると いうより、一種のからかいの意味がこめられてゐる。」・医者や易者を「先生」と呼ぶ例は『史記・扁鵲倉公列伝』や 『日者列伝』にすでに見える。「先生」といふ言葉の示す範囲は、大昔から驚くほど広かつたのだ。「先公」に通じるからかひの意味の「先生」も相当古いんですね。あと、日本における「先生」の変遷史はどうなつてゐるのかも知りたいなあと思ひました。