ユンさんのこと
ユンさんのことは、何度も日記に書いた。韓国は陰暦の1月15日は「テボルム」といって、五穀ご飯とナムルを食べる日。ユンさんは韓国の伝統料理の五穀ご飯とナムルを毎年のように届けてくれた。2017年2019年誕生日にはケーキを届けてくれたり、手術後に手作り料理を持ってきてくれたり。日記にはいちいち書いてなかったけど、もっとたくさんいろんなものをいただいた。外国から来て大変でしょう、実家の家族が近くにいなくて寂しいでしょう、と言いながら、親切にしてくれた。一緒に山歩きをしたりもした。ユンさんがご家庭の事情で巨済島に引っ越すことになった時のブログは、こちら。巨済島でユンさんと再会した時のブログは、こちら。また会いましょう!と約束してたのに。。。ユンさんから久しぶりに電話が来たのは、今年の2月6日だった。ユンさんは昔、癌を患ったことがあり、一応、完治(というのかな?もしかしたら違う言葉を使うのかもしれないんだけど)したとは聞いていた。が、その時の電話は、癌が別の場所に再発(なのか転移なのかは?)してしまい、今は、体調が悪くて手術ができない状況、体調を整えてから手術するかもしれない、でも、体調が戻らないかもしれない、という、とても力のない電話の声だった。その電話の途中で、いくつものメッセージが入って来る音が聞こえて気になった。電話を切って、メッセージを見ると、日本の妹たちからのラインメッセージだった。これ(←クリック)を知らせるメッセージだった。それからは忙しい上に心の余裕もなかったので、「そういえば・・・」とユンさんのことを思い出したのは、3ヶ月近く経ってからだった。ユンさんに、その後の体調を尋ねるカカオメッセージを送ったが、いつまで経っても既読にならなかった。かなり経ってから、ユンさんの電話番号に電話をかけてみたが、使われていない電話番号だという機械音が流れた。ユンさんのご家族の連絡先を知らないので、連絡のしようがないまま、今日に至る。。。ユンさんから、秘密を打ち明けられたことがある。ユンさんは、その昔、結婚する前は家庭科の先生だった。(だからお料理が上手だった)結婚すれば寿退職が普通だった時代、ユンさんも先生を辞めて家庭に入り、男の子が2人生まれた。ところが、若い妻と幼い子供2人を残して、ご主人は亡くなってしまったらしい。人格的にもそれはそれは素晴らしいご主人だったという。その後、ユンさんがどのように生きて来られたのか詳しい話は知らないけれど、たくさん苦労して2人の息子さんを大学まで出したようだ。2人の息子さんが独立した後、自分の老後が心配になったという。そりゃそうだ。韓国では、収入や財産のない高齢者に出る年金はたったの3万円。そんな金額では生活できない。韓国には、日本の生活保護のような制度もない。そんな時に、再婚の話があったらしい。相手は、教師。韓国では教師の平均年金額は、340万ウォン(39万円)程度らしい。その金額が生涯出て、本人が亡くなっても妻にもその60%くらいの遺族年金が生涯、出るらしい。「私はお金に目がくらんで、その人と再婚したの。好きでも何でもなかったんだけど。それで罰が当たったの。再婚相手はとても難しい人で、私はものすごく大きなストレスを受けた。その結果、癌になったのよ」と、ユンさんは言っていた。実際、巨済島に引っ越したのも、ユンさんのご主人ったら、39万円のお金で、おとなしく趣味生活でもしながら暮らしてたら良かったのに、ギャンブルに手を出して大きな借金を作ってしまって家を売らなければならなくなったのだ。ユンさんはカトリック信徒だったからか、愛してもいない人とお金に目がくらんで結婚したこと、再婚相手と最初のご主人をいつも心の中で比べていたことなどで、大きな罪を犯してしまって罰を受けたと言ってたけれど、まさか、そんなワケあるまい。誰だって、結婚する時に、相手の経済力は必ずチェックするでしょう。特に、韓国ではそんなのは当然のこと。真面目なユンさんが苦しんでいるのを見るのは辛かった。今日は、ユンさんの70歳の誕生日だ。もう二度と会うことはないのだろう。でも、きっと天国に行っただろうユンさんにいつの日か会って感謝の気持ちを伝えられるように、はんらも清く正しく誠実に生きていきたいと思う。一緒に山登りした時のユンさん。手紙やメッセージも何度もいただいた。最後の一行は「先生のことが好きなどもだち(教え子)ユン・ヨンスン」