二階に誰かいる
突然の地震から10日経ち、余震もなく穏やかな日が戻ってきました。ウチでは家の外壁と基礎に合計15個ほど亀裂が見つかり、地震保険を掛けていたので写真を撮って書類を送りました。まぁそんなこんなで少し気持ちが逸れたことは言うまでもありません。実は、こんな事を書くのは気が引けますがここ一月以上、二階の誰も使っていない部屋にある異変が起きていたのでした。その前に自分の体質について説明しなければなりません。違和感を感じる人は読むのを止めて下さい。私は幼少の頃から、ある場所やある特定の日になると特別な気配を感じていました。例えばお盆に先祖のお墓参りに行くと、途中の階段から空気が変わってくるのです。見える物がぐっと濃密になり、度の強いメガネを掛けているよう。明らかに変です。周りを見渡すとどこを見ても3Dの風景なのです。それが何でなのか、ずっと分かりませんでした。大人になってから「ハァこれは霊感なんだ」と薄々感じるようになりました。まぁ数え切れないほどの説明できない体験がありました。それを語っても「頭がおかしい」と思われるだけですので余り人に言った事はありません。いつかまとめて書こうと思っていますが…。ここ数十年では、例えばよく行く公園の東屋の下にいるおじさん、は行く度に次第に姿を感じるようになりました。ずっと東屋にいて他の数人の霊と喋っています。私が見るとニッと笑ってくるのです。歯が抜けていて人なつっこい笑顔です。この人は長いこと公園の主のような存在でしたが、ある時急にいなくなりました。また別の場所にある藤棚の下には中年の女の人がいます。ガタイのいい姉御肌の人です。そこに集う大勢の人達(人ではない)を仕切っていました。短い間でいなくなりました。土地に縛られてずっといる人、いなくなる人、そして万年そこにいる子供のような霊たちなど様々です。しかし室内で人の気配を感じるのは長い人生で数度目です。それが自分の家の中とは…。ホントに驚きと困惑しかありません。二階の和室は、夫が使っていた部屋です。夫は今は別の洋室に移っています。和室には夫のものが置かれていていて、真ん中に私の籐椅子が置いてあります。私の部屋にコタツを入れたので籐椅子を移動させたのです。ところが、ある時そこにどうやら誰かが座っていて、ここは自分の住み家だと主張している。周りにバリアをギンギンに張っているのです。結構な緊張感です。思わず立ちすくみました。それから私は恐ろしくて、部屋に入る事が出来ませんでした。そして次に思ったのは、一体どうやってここに人がやって来たのか?という疑問でした。私が外出するのはスーパーと銀行、図書館へ行くくらいです。何かが付いて来ようがありません。とすると、もしかするとこの霊は夫についてきたのかもしれません。とりあえずまず除霊の方法です。ネットを調べると水晶の欠片を部屋に置くとか、部屋の四隅に盛り塩をすると除霊できるとあります。しかしそんな事をしたら夫に訳を尋ねられるでしょう。それだけは避けたい。秘密にしたいのです。私が心がけたのは、部屋に入るとまずスルー、完璧な無視をすることでした。そうやって一月以上が経ちました。どうも、初めここにいるのは孤独な女の人かと思っていましたが、最近男の人かもと思い始めました。医者か何かで、診療する椅子に拘っているのでは?と想像を膨らませています。今の所、それは猫より大人しい感じです。このまま消えてくれれば一番ありがたいですが…。そんなに上手く行くんだろうか。最悪、椅子を捨てることも考えなければなりません(涙)