カテゴリ:読書感想
気まぐれで借りて来たこの本ですが、眠れない深夜に読みだしたら面白くて止まらなくなりました。 見開きの頁の右側に丁寧なイラストが描いてあり、左側に「へんないきもの」それぞれ一種類ずつの解説があります。 読んでみると、どれも聞いたこともない想像を絶する変わった生態。右のイラストもそれに勝るとも劣らないへんてこさです。 地球上にいる人間も、それは様々な性格の人たちがいてそれぞれの国で自由な生き方をしています。 が、本の中の生物たちは人間など目じゃない独特の生態です。 戦略的に生きることで生存を可能にしている生物たち。 それはあられもない変態的な形と姿になって、あられもない生き方をしています。 例えば、全長10m重さ4トンの巨大な「ウバザメ」 「バカザメ」と呼ばれるほどおとなしく、餌はプランクトンのみ。 大口を開け何トンもの海水を飲み込んではろ過し微生物をエラでこしとるという作業を際限なくやっている。未確認生命体と呼ばれるほどの希少生物らしい。何のための巨体なのか。 「シロアリ化学戦闘員」 シロアリは他のアリ族に攻撃されるために、敵と戦うために戦闘員がいる。 白アリの中でも頭から悪臭を伴う粘液を発射する化学特殊部隊がいる。これを吹きかけられると敵はその場に張り付けられてしまうらしい。このアリは特殊武器の戦闘員というだけの存在でしかない。その為に頭も噴射機そのものと化してしまっている。兵隊アリと同様使い捨てだそうだ。 「彼らにとっては毎日1万8千個の卵を産む女王アリが全てて、軍人の彼らは彼女を守ればいいという役目なのだ」特攻隊が使命のアリとは‥ また、敵に襲われそうになると死臭まで発して痙攣をし迫真の死んだふりで目くらませをする「オポッサム」や、足が85本もある「多脚タコ」、オスがメスの20万分の一の大きさで、メスの体の中でオスに成長する「ボネリムシ」など数えきれない奇妙ないきものが紹介されている。 ボネリムシはメスの子宮の部屋で一生過ごすと言う。オスは巨大なメスに生存のすべてを委ね、食物を与えて貰う。消化器官もない。 口だけはあるがそれは精子を放出するため。オスはメスの体の中で卵を受精させるだけの生殖器官に成り下がっているという。 異様な生態の生き物が次から次へと出てくる。想像力を刺激され、しばし立ち止まって夢想してしまう。 これらは変わった生き方と引き換えに、次の世代に種を残すことを優先している。人間のような「生きがい」や「正義」「権利」など糞くらえである。 しかしそれが何ともユーモラスで、「そこまでして生きたいのか?」と問う事さえ滑稽に感じるから不思議である。 私も毎日庭に出てたびたび妙な雑草に出会うことがあり、ハッとします。ものすごい棘だらけの草木や、種が枯れてもびっしりと衣類にまとわりつく草とか。 戦略的に生き残った形がそれでしょうが、何とも正攻法でない浅ましさを感じるのも事実です。 最後に「ナガヅエエソ」という海底生物を紹介します。 別目三脚魚と呼ばれる魚は異様に伸びた腹びれ尾びれでじっと海底に三脚のように立っている。 深度600~1000mの深海。暗闇の死の世界と言ってもよい。 ナガヅエエソはなるべく動かずエネルギー温存を心掛ける。 だが、動かいないだけでは餌がとれない。 胸ビレは触覚センサーへと進化し、流れて来る餌を探知できるようになった。 つまり自分自身が有機パラボラアンテナと化したのである。 そしてそのアンテナは深海の底に静かに立ち、餌が流れて来るのをひたすら待つ。 死の世界に生きんがため異様な姿となったこの魚は、光も音もなく、ただマリンスノーがしんしんと降りしきる漆黒の闇の中、寂莫たる荒野を前に言葉もなく立ち尽くす。 停止した無限の時間を、孤独に生きてゆくのである… まるで詩のよう。想像しただけで気が滅入る。
しかし「この魚は魚のくせに殆ど泳げず、ちょっと流れが強いとコテンとひっくり返ってしまう」マヌケな魚なのだそう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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rainbow3510さんへ
こんにちは、今年も宜しくお願いします。 人間だけが変わった生き物ではないんですね。 シロアリ化学兵器要員はかわいそう、だけど捨て駒って必要なんでしょうね。 (2020.01.16 11:03:52) |
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