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February 22, 2008
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ひとしきり飲んだ後、お茶をしよう、と、あなたが言った。
 
  
 
会社の近くに、いられないでしょ?

だって、本当なら、許されないことだもん………。



だけど、苦しさと、せつなさ以上に、やっぱりしあわせだったの。

どうしようもなく、嬉しくなってしまうの。



好き。

側に、いさせて。






充分明るい 真夜中の街 どこかでふるえる Whitekey抱えて

ひとりで見ていた 透き通った月 どこかで泣いてる Whitekey求め…






ゆず色の、透明な月が、川に架かった橋を渡るふたりを見てた。

月だけが、ふたりが一緒にいることを、知ってた。



流れる川が、月のひかりを反射して、

水流が、銀色の糸みたいに、きらきらしてた。



誰もまだ気づいていない場所へ、行きましょう。

きっと、これは夢と一緒なの。

現実と、一緒にしちゃいけないの。

だから、大切に過ごそう……………。





返せないほどの愛 優しさ借りてるね ありがとう

そろそろ鍵を開けて ここから連れて行ってね…





『…こういうこと、言っちゃいけないんだけど』

『?』


空いてる、ファミレス。

私の目の前に、ハーブティーが運ばれてきた。


『最初会ったとき、うわぁ…って思っちゃったんです。

 みないさん、優しくしてくれたでしょう?

 ここに何があるとか、こうするといいとか、丁寧に教えてくれて…』


『…あ…最初の日…ですか…?』

『うん。Iさんが、

 『おっまえ、お前にそんな風に優しくしてもらってないぞー』って言ってた、あれw

 私、気を遣える、細やかな人…ちょっと古風くらいの人が好きだから…

 まずい、いいな、って、少し思ってしまったんです』


『………え………』



Sさんの『ウソ』だったとしても、いいの。

それでも、嬉しかったの。



大切にしてくれてるのは、知ってたの。

まだ、想いを告げる前、あなたが、Aさんに、そっと、

『みないさんがIさんにきつく叱られてるのは可哀想だ、何とかならないですか…』

そう、相談してくれてたこと(Aさんに聞いちゃった)。

困ると、そっと必要な資料とかを差し出してくれること。

質問すると、出来るまで側にいてくれること…。



……それが、下心でも、そうじゃなくても、どっちでもいいの。

そんなの、問題じゃないの。

そっと見ててくれた、それが、すごく嬉しかったの………。




やっぱりそれでも、私は、ごまかすように、あなたの家のことを、聞いてしまうの。

自分の気持ちを打ち消すように。

いけない想いに、釘を刺すように。


約5年の交際の末に、結婚したんだって。

彼が仕事で不安を抱えてて、養うことが出来るか、自信がない。

そう思ってたときに、彼女が言ったって。

『結婚してくれないならば、別れる。どうしてくれるの』



ずるい、そういう手使うのって、ずるい。

そう思った。



本当に、私、どこまで嫌なヤツなんだろ…。

そこまで必死じゃないと、結婚出来ないもんなのかな、

そんな嫌なことまで思った私は、なんなんだろー、ね…。



不思議な気持ち。

クレパスの箱みたいに、いろんな色が混じってる。

せつない色。激しい色。苦しい色。つらい色。暗い色。

あまい色。嬉しい色。しあわせ色。ときめき色。ドキドキ色………。



でも、綺麗な色の割合が、ほんの少し多い、私のココロのクレパスの箱。

ちょっとだけホッとして、箱に、ふたをした。



…ためらったように、ため息をつくように、あなたが言った。




『もし、…自分が、ブレーキきかなくなったら、どうする………?』




『!』




……………私……………



思っていることを、伝えた。

正直な気持ちだった。



…とにかく、波みたいな想いに任せて、流されてみようって思ったの…。

だって、今じゃ、偏った判断しか出来そうにないもの…。



いちばん困ってるのは、私じゃない。

困ってるのは、あなたで、困らせてるのは、私。



でも、お願い。

側にいさせて。



決して、あなた以外の人に、想いを外へは出さないから………。

ごめんなさい………。



夢だけ、見させて。





充分明るい 真夜中の街 どこかでふるえる Whitekey抱えて…





ファミレスを出て、駅まで歩いた。

ひんやり、冷たい夜。


大好きな人が、隣にいるの…。



『………だめ………』



…止められない…

言葉に、なっちゃう。

くちびるから、想いがこぼれる。



…止められない…








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最終更新日  February 22, 2008 11:20:24 PM
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