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§[ユ楽] [ブログ] アルビン&ハイディ・トフラー夫妻が考えるブログ
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読売新聞の "地球を読む" にブログのことが書かれてあった。
ネット上で議論されていることの まとめ的な文章ともいえる。
だだ、アルビン&ハイディ・トフラー夫妻が取り上げているところがミソやね。
一応、OCRでテキスト化。
- プロの権威への反乱 -
アルビン&ハイディ・トフラー (夫妻) 米未来社会学者
いま反乱が起きている。まだ名称はないが(イデオロギーを持っている。それは「反専門家主義」の反乱である。
この反乱で、世界中が沸き立っている。医師の診療室でもスーパーマーケットでも、あるいは知事庁舎の中でさえも、至る所で進行している。その最たるものが、インターネットの宇宙で爆発的に広がる「ブログ」(個人や仲間で自由に書き込みできるページ)である。何百万もの人々が、これも何百万人もが読むことを期待して、自分の意見をそこに書き込んでいる。
これらの「ブロガー」たちは、ガーデニングから北朝鮮の核問題に至るまで、あらゆることに口を出す。長年、職業的な訓練を積んできたジャーナリストや編集者たちは、これにいらだち、ブロガーによる報告や発言の信頼性を疑問視する。だが逆に、プロガーや一般の人々の側は、こう問いかける。
「主要メディアのニュースなど信頼できるものか。ニューヨーク・タイムズ紙は、過去の幾つかの記事が作り話や盗作の塊だったのを認めたし、偶像的な米テレビ・キャスターの一人、ダン・ラザーは、州空軍将校だった若いころのブッシュ大統領の行いを薄弱な根拠で攻撃して信用を失ったじゃないか。最近ではニューズウィーク誌が、イスラム教聖典コーランをグアンタナモ基地の米兵が冒とくしたことを記した米政府報告書があると報じ、後日、撤回した。記事が正しいのか、それとも訂正と撤回の方が正しいのか、世間は釈然としていない」
もちろん、政府がメディアを操作している世界に住む多くの人々は、ニュースとされるものの怪しさをとっくに学んでいる。だがそれは、報道が自由な民主主義諸国では、あってはならないことである。
しかも最近のメディア・スキャンダルは、米国にとどまらない。フランスでは、最も重要な日刊紙ル・モンドの記事の正確さに、やはり疑問が向けられている。日本でも、主要報道機関は政府べったりだと見る人が少なくない。
その道のプロや専門家への疑念が、最も劇的に表れるのが政治である。長年、立候補者たちは、政界での「経験」の長さを強調すれば票を集めることができた。今や多くの候補者が、過去の地方での公職経歴を目立たせないようにしている。
例えば、アーノルド・シュワルツェネッガーがカリフォルニア州知事選の勝利に要したのは、ボディービルダーと俳優の経歴だけだった。それどころか、この選挙では、100人を超す立候補者のほぼ全員が、政治的な公職経験を欠いていたのである。
実は、シュワルツェネッガー氏には先輩がいる。先にミネソタ州知事に選出されたプロレスラー、ジェシー・ベンチュラ氏である。こうした俳優やレスラーは、どんな資格で統治を行うのだろうか。米国でも他の国々でも、選挙を眺めてみれば、すぐにわかる。新たに出現し、既存の政党よりも力をつけている党がある。それは、「著名入党」である。
著名人が政治家になって何が憩い。あるブログは、「政治家ではない人物が、もっと出席する必要がある。われわれが陥っている混乱の全責任は政治家にある」と言う。また別のブログは、シュワルツェネッガー氏が知事になれた以上、「アクション俳優のシルベスター・スタローンが大統領となる日も遠くないのだろうか」と問いかけている。
こうした著名人好きは、決して米国だけの奇観ではない。フィリピンでは、俳優のジョセフ・エストラダ氏が、1998年から2001年まで大統領を務めた。日本では、小説家の石原慎太郎氏が東京都知事の職にある。だが、著名人好きのチャンピオンは、やはりインドである。最近、インド映画界のスター、ゴビンダ氏が国会議員の席を獲得したが、これまでにも多くのスターが政界入りしてきた伝統がある。
職業的な専門家に対する懐疑心の高まりは、メディアや政治の中だけではない。かつては、患者が医師の言葉をうのみにする時代もあった。今や、少なくとも米国では、病院を訪れる患者たちは、病気に関する科学記事とか、インターネットで探し出した食事や投薬などに関する他の患者の経験談などを小わきに抱えている。そして苦かたぎの医師は、「単なる患者」から勘繰られるのが苦手である。
また、企業化された農業や主要食品産業をもはや信用しない顧客人口も、ますます増えている。健康に良いとされる有機食品の販売は米国内で増え続け、2008年までに、03年の2倍にあたる206億ドルに達するものと予測されている。また同じ期間に、フランスでも88%の、ドイツでも43%の売り上げ増が、それぞれ見込まれている。
こうした反専門家主義の動きと密接に結び付くのが、その道の専門家と一般人を隔てる「資格」要件に対する疑惑の増大である。医師や弁護士の部屋には、専門的な治療や助言を与える権限の後ろ盾となる免状や免許証がかかっている。
そうしたものを発行するもろもろの「資格産業」を研究したカナダの社会学者ベンジャミン・シンガー氏は、こう述べている。「資格制度は、皮肉な問題を生み出した。人々や諸組織は常に制度の抜け道を探そうとするからである」
シンガー氏によれば、資格制度の効果が最も明白な教育の場合、教師たちは、標準学力試験の要件に沿って教えることを覚えた。親たちも、子供に受験技術を学ばせている。これは、「いかに効率的に回答項目を取捨選択するか」など、制度を逆手に取ってすり抜ける方法を教えるものだ。
この制度はまた、しばしば学者や医師など専門職の人々に、資格条件をごまかすようそそのかす。例えば大学教授職の志望者の場合、書いた論文や本の内容よりも、それを幾つ善いたかで判断されるかもしれないからである。
今や人々は、こうした資格制度の裏側を察知している。知識をもたらす新技術によって、より多くの情報が手に入るようになった。そのおかげで、だれの能力を信頼すべきかについても、前より良い判定が自分で出来る。もはや他人に聞くまでもない。少なくとも反専門家主義者たちは、そう信じているのである。
要約すれば、古い制度は正統性の危機に直面している。これは権威の危機である。情報と資格制度に関する専門家たちの独占体制に風穴を開けることによって、人々は、いわば自分自身が自分のための権威となることを模索しているのである。
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* アルビン&ハイディ・トフラー氏=夫妻ともに未来学者、社会学者。
共著「未来の衝撃」「第三の波」は世界的ベストセラー。 |
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最終更新日
2005年07月25日 10時25分57秒
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