|
[紹介] ゲド戦記 実際の本の文章を引用してみる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヤフームービー掲示板でのゲド戦記スレを読んでいるんだが、原作を読んでからアニメを見た人は、そんなに酷評されるようなひどいアニメでもない という書き込みをしている。
どうやら、本を読んで ゲド戦記とはどんなお話なのかを知ったうえで見なければ、イライラいてくるアニメのようだ。
本なぁー。文体が古臭いと読めたもんじゃなかったりするが..。
第5巻の アースシーの風 からその実際の文章を引用してみよう。(アニメの原作になっているのは第3巻らしいが)
引用文中の オタク とは、ナウシカの肩に乗っかっているテトのようなもので二対の耳を持つ小動物のことです。
ゲド戦記 第五巻 アースシーの風
第一章 緑色の水差し より (賢人ハイタカの独り言のような語り)
ハイタカは黙ったまま、二十歩以上も歩きつづけ、それからやっと口を開いた。「そう、そうなんだ。わたしのオタクも、この命を救ってくれたんだよ。わたしが愚かなばっかりに石垣なんぞ越えて、からだはこちらに置いたまま、魂があちちをさまよったときにね。オタクはわたしのところにきて、そのかわいた舌でわたしのからだを舐めて、きれいにしてくれた。自分のからだや子どもたちを舐めるようにな。ほれ、猫がよくやるだろうが。オタクは辛抱強くわたしのからだを舐めつづげ、そうやって触れることで、わたしを連れもどして、もとのからだにおさめてくれたんだよ。あのオタクがわたしにくれたのは生命だけじゃなかった。あれがくれた知恵はわたしがロークで学んだものに匹敵する、すごいも、のだったと思うよ。しかし、まあ、見てのとおり、わたしは学んだことをなにもかも忘れてしまったが。
知恵か。よくわからないなあ。わたしたちと動物と、いったいどこがちがうんだろう? ものを言うかどうかか? しかし、動物たちだってみんな、こっちへ来いとか、気をつけろとか、いろいろ伝える方法はもっておる。ただ、動物には物語ることは無理だな。それから嘘をつくことも。人間はどっちもできるんだが。
しかし、竜はものを言うなあ。竜は真のことばをしゃべる。天地創造のことばをな。そのことばに嘘はない。そのことばで物語ると、それはそのまま、現実のものになるんだ! それなのにわたしたちは竜を動物と呼ぶ……。
となると、人間と動物のちがいはことばだけじゃないな。もしかしたら、こういうことじゃないだろうか。つまり、動物は善もなさなければ悪もなさない。なさなければならないようになす。それだけのこと。わたしたちは動物のすることを見て、有害だとか有益だとか言うが、良い悪いは、何をするか選ぶことを選んだ我々人間の側の問題なんじゃないだろうか。竜はたしかに危険だよ。人間に危害を加えることもある。だが、竜たちは悪意があってやっているのではない。竜たちはほかの動物と同じで、その徳性が我々のそれに届かないんだよ。あるいははるかに越えていると言ってもいい。つまるところ、そんなものと関係なく生きているんだ。
わたしたちはいつもいつも選ばなくてほならないが、動物はただ必要な状態に身を置き、必要なことをするだけだ。くびきにつながれているのはわたしたちで、動物たちは自由なんだよ。だから動物といると、少しばかり自由というものがわかってくる……。
ゆうべ、わたしは女まじない師がよく動物をそばに置いているのはどうしてだろうと考えていた。親しい仲間みたいに置いているだろう。うちの伯母は年とった犬を飼っていた。吠えたのを聞いたことがない。伯母はその犬をサキガケと呼んでいた。大賢人ネマールさまは、わたしがローク島に初めて行ったとき、カラスを飼っておられ、どこへ行くにもいっしょだった。若い娘さんで、ハレキという小さな竜を思わせるトカゲをブレスレットにして腕に巻いていた人も知っているし。そのうちに、やっとわたしは自分といつもいっしょにいてくれたオタクのことを思い出した。それで気がついたんだよ、ハンノキ殿を石垣のこちら側にひきとめておくのに必要なのは、からだとからだが触れあう温かさなんだと。動物だっていいんじゃないかと。動物たちには命こそ見えていても死は見えていないんだから。犬だって猫だって、ロークの長に劣らぬ力をもってるんじゃないか、とね。」
けっこう読みやすいんだなーこれが。


|
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年08月05日 06時36分19秒
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る
|
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
エラーにより、アクションを達成できませんでした。下記より再度ログインの上、改めてミッションに参加してください。
x
カテゴリ
(182)
(18)
(8)
(4)
(23)
(22)
(46)
(4)
(69)
(23)
(2)
|
|