LaTeXの最近
ちょうど2年前に論文を書くためにLaTeXを導入したが、そのときは「もう枯れている(=確立している)技術への後乗り」という意識で始めた。つまり、私が困ったとしても、すでにある技術について行けなくて困っているだけ、というような。実際、この2年はwindows 2000とxpの端末でドイツ語の論文を書くだけだったので、極論、日本語が通らなくてもよかった。(ただし、メモ書きは日本語が通らないと困る。%から行末までは印刷に反映されないコメント、というあれである。コメントがソースファイルに自由に書けるというのがLaTeXにした重要な理由の一つ。)そんな環境でガラパゴスのように生活していたし、それで困らなかった。 帰国後、週報や教会役員会の議事次第などは、一人で作成するので、成果であるpdfだけを共有するならLaTeXを使い続けられることに気がつく。また同時に、パソコンを買い換え、6年前の中古を本体6千円、パーツ(SSDとメモリ8GB)を6万円でそろえ(おかげで落下事故が怖くなくなった。本体を買い換えるだけでよいので)、古い方のパソコンにはlinuxを入れた。よく考えれば、10年間よく持ったものだと思う。 そういうわけで、linuxでも同じようにLaTeX環境での文書編集が出来るようにしたいと考えるようになり、LaTeXの現状に目を向けた。今まではwindowsだけでよいので、日本語周りには定評のあるw32texを使っていたが、http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/をみればわかるように、それ以外にもTeX Live, MiKTeX, LuaTeX, LuaJITTeX, XeTeX, pdfTeX, upTeX, e-pTeX, e-TeX, ConTeXtと存在する。(mac系統は省略) これらのパッケージや拡張パッケージの中には、従来のLaTeXのイメージを変えてしまうものも含まれており、この調子だと、最終的に生き残るのはadobeのデザインソフトいずれかとの互換性を謳うものではないかと思えてくる。そうなると、WYSIWYGがLaTeXで実現することになる。(lyxはとりあえずのぞく) windowsかmacかで悩み、linuxって何っていう状態と比べれば、OSの比較ではなくて文書作成環境の比較という、より小さな世界により広い選択肢があることになり、これは困る。「枯れている」どころじゃなくて「花盛り」の技術分野なのである。(LaTeXユーザーの集いも毎年開かれているが拡大しているらしく、今年からは国際色を打ち出して国際学会となり、海外から来て英語で発表するらしい。ペーパーが全部英語!)その中で、ほとんどのlinuxディストリビューションがTeX Liveを採択していることもあって、これに乗り換えた。多数派の選択に乗っかるというのが「教えてくん」の生き残る道である。 windowsでのインストールは簡単に成功し、わずかな手間で昔の文書も全部コンパイルできるようになった。(スタイルファイルの所在を直接書くということをやっていたのでそれを従来の書き方にして、あとはmktexlsrした。しない方がいいとも書かれているサイトがあるが、しないと無理だった。) ただ問題なのは、古いパソコンに似合う枯れたlinuxディストリビューションvineでなぜか一発でコンパイルが通らないということである。ギリシャ語の関係のldfファイルが(つまりbabel)引っかかっているのだが、windowsで起きない現象がvineのTeX Liveでは起きていることになる。それで、メインのマシンにインストールするディストリビューションをvineではなくてfedoraかdebianかubuntu(あるいはcentos?)にすることにした。いずれもメジャーなディストリビューションである。 今仮想環境で実験をしているところだが、TeX Liveのサイズが大きすぎて、どれだけ容量を取ればインストールできるのかわからない状態。 とりあえずwindowsでは環境が整った(w32texではフォントの生成が面倒くさく、新しいマシンでは論文がコンパイルできない状態だった)ので、論文を再開しない言い訳はなくなった…。(ちなみに夏に一本邦語で書いてるから、完全にやめたわけではなかったんだけど…)