[戯言]の記事一覧 | バイクのある生活

「日本万歳」の氾濫

ほとんどテレビを見ない自分であるが、時々見てるのが「世界！ニッポン行きたい人応援団」と「YOUは何しに日本へ？」。それ以外にもけっこう日本文化を賛美する番組が見受けられる。一時はちょっと多過ぎじゃないの？と思ったくらい。現代日本人のほとんどがまったく知らない、忘れられた日本の伝統的な文化や習慣に、驚くほどの熱意を注ぐ外国人の姿を見るたびに、日本人であることに誇りを感じるとともに若干の羞恥心も感じる。日本人なのに日本のことを何も知らないんだな、という羞恥心。羞恥心は棚上げして、日本文化は世界に誇っていいものだと思う。いや、否定されてもいいけれど自分はそう思うことをやめることはないだろう。その文化に夢中になるガイジンを見るとそれはもう、うれしいの一言だ。雑誌ムーに掲載される記事でも時々日本が特別な国であると言わんばかりの記事に溢れている。ムーやアトランティスの末裔だとか、ね。え？そんなわけない？いやあ、わからんでしょう。それはもう、誰にも証明することは出来ないわけで、そう思って気分良く思っている方がずっと健康的じゃないんだろうか。もっとも、そんな誇るべきニッポンだからといって、現在日本が尊敬されるべき存在であるかといえば残念ながら尊敬に値する人物は居ないように思う。偉人はしかし、ずっとあとになって、それこそ「歴史」になってからでないと評価されないのかもしれない。3.11の時、人々が暴動を起こさなかったことについては誇れることだと思う。しかし、電車の吊り広告に踊る週刊誌の嘘八百の見出し（と個人的に思っている）を無邪気に信じてマスコミに踊らされる大衆。あるいはSNSで匿名であることをいいことに罵詈雑言を発信、自殺にまで追い込む社会。そういう国が尊敬されるに値するとは思えない。昔「神の国」と言って大問題になったことがあったが、そのときのマスコミや「有識人」のヒステリックな反応には心底うんざりした。いや、神の国だろ。そうじゃないのか。もっとも、西洋文化の言う「神」とは全然違う概念だと思うけどね。神が人々の「上に立つ」のが西洋文化だが、日本において神とはある意味我々人間と「同居」するような存在なのではないだろうか。山や海、あるいは古いモノに宿るある種神秘的な存在が「カミ」と呼ばれ、人々が敬意を払う存在。この辺の考え方はマンガのアレとか小説のコレとかの影響だとは思うけど、その話はまた別で。とにかく。日本を必要以上に賛礼しているように感じるときがあって、それはそうなんだけど、あんまりそれを強調すると逆に下品というかはしたない気がしてしまう。それはあたかも現実がその逆であることを考えたくないからことさら「昔はな」という話をする、みたいな。

バイクのある生活

[戯言] カテゴリの記事

「日本万歳」の氾濫

趣味としての運転はいつまで残れるか