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トンイ長いあらすじ(小説風)完全版一覧1~60話 byちょびかじり コピペ厳禁よ

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2019年03月04日
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~森の前に白やピンクの花が広がっている。野原を歩きながら、トンイはぼんやりと昔を思い出していた。


家の縁側にヘグムを手にした楽師の兄さんと父さんがいる。

兄さんが目を輝かせてトンイを呼ぶと、父さんも呼んだ。低くて温かな声。遠い昔なのに、不思議とすぐそばに感じられる。

再び草むらを歩き出したトンイは、背後から声をかけられた。

振り向いたトンイは嬉しそうに笑い返した。

そこにはあの人がいたのだ~




宮廷を去る日、トンイは掌楽院の楽器倉庫をもう一度、見ておこうと思った。

朝もやが、障子を透して太鼓やつづみ、寝かされたシンバルを照らしている。

天井高の棚に並べたベルを通り過ぎ、トンイはヘグムの前で足を止めた。

ドングリみたいに艶々したヘグムが3台、専用スタンドへ立てかけられている。

華やかな宮廷行事に使われるこれらの楽器は、朝はまだ眠りについているようだった。


引越しの仕度が済んだところで、庭まで輿が迎えに来た。

見送りには監察府の古い仲間たちやチョン尚宮、チョンス兄さん、シム・ウンテクらが顔を揃えた。

御殿に繋がる石橋では、いつものように赤帽の衛兵が直立して、内官や尚宮やたちが出たり入ったりと蟻のように動き回っている。そんな景色もいよいよ見納めだった。


イヒョン宮に着いたトンイは、都で一番の腕利き大工を早速、庭に集めた。

「東屋でもつくるのですか? 夏はきっと景色が最高ですよ」

すでに宮廷の制服ではなく、ピンクの衣を着たポン尚宮が、うかれたように言った。

「東屋ではない。この塀を壊すのだ」

トンイは晴れ晴れとした顔で、塀を指した。

木づちを肩に抱えた男らが、それを聞いて戸惑ったようにそわそわしはじめた。

誰も塀を壊そうとしないので、トンイが丸ひげの男から木づちを取り上げ、自ら塀瓦を何層かたたき壊して見せた。

「さぁ! 都の民が誰でもイヒョン宮に来られるよう大きな道を開けるの!」

それでようやく男らも遠慮なくぶち壊す気になって、片っ端から石やら隙間を埋めた土やらを崩していった。

そのすさまじい土埃や音のせいで、ポン尚宮は耳をふさぎたくなったが、トンイときたら実に楽しそうなのだ。


通りに面した塀がぷっつり無くなったイヒョン宮には、連日、民が列をなしてなだれ込んだ。

尚宮へ昇格したエジョンが女官を大勢引き連れ、応援に駆けつけてきた。2か所のテントでは受付が間に合わずに、順番待ちの人々の列から直接、相談事を聞き取って歩くほどだ。

自分の番がようやく回って来た男は、恐縮しつつ事情を詳しく説明した。尚宮はそれを細筆で丹念にノートに書き留めた。


捜査が必要な大仕事となると、ときにはヨンギの手を借りた。

ヨンギの姿が普段着であるのは朝廷の職を捨てて武科をめざす賎人に剣術を指導しているからだ。仕事にやりがいを感じているらしく、久々に会ったヨンギは声をたてて明るく笑うようなことすらあった。

トンイは濡れ衣をかけられた貧しい奴婢チルボクに面会するため捕盗庁へ足を運んだ。チルボクの幼い娘が噂を聞いて、イヒョン宮に助けを求めたのである。

ひどい拷問を受け、それまでうつろな目をしていたチルボクは、無我夢中で柵へにじり寄り、「もしやイヒョン宮の淑嬪様では…!」と涙を流した。


チルボクには雇い主である戸曹算士の殺害容疑がかけられている。

その夜、イヒョン宮の執務室で、ヨンギ、シム・ウンテク、監察府のチョン尚宮、チョンイムがテーブルを囲んだ。

「死んだ戸曹算士は面白い人だ」

馴染みの顔ぶれの中でくつろいだ雰囲気も手伝ってか、ヨンギが皮肉めいた言葉を吐いた。隣席のシムにも資料を回してやる。

それらに目を通したシムは正直驚いたようだった。戸曹部署は税や貢ぎ物を扱う部署である。そこに務める算士にしては財産が多い。

「算士はすべての奴婢が納める税を取り扱っています。その過程で不正を行ったのでしょう」

チョンイムも分析結果から怪しいと感じたようだ。

「どうも一人の犯行ではなさそうだ……」

チョンスが暗い表情になった。

算士はもともと両班や重臣たちとグルだったのではないだろうか……?

そしてそのうちの誰かが算士を殺し、自分らの懐に分け前を入れたのでは……

トンイは夜を徹して資料を根気強く調べていった。

それらの内容は捕盗庁日誌の他、チョンスやチョンイムが密かに宮中の書庫から持ち出した内部記録にまで及んだ。


ヨンダルとファン楽師がわざわざ夜遅くに、シム・ウンテクのいる執務室へ尋ねて来た。

2人はチルボクを逮捕した捕盗庁の従事官と、戸曹算士の部下の佐郎が妓楼で密会しているのを目撃したらしい。

日が明けてから、部署の中庭に兵を集結させ、チョンスは1班と2班を於義洞へ、3班と4班はムンソ洞から東学洞に向かう指示を出した。

その様子に驚いたシム・ウンテクが、青衣を羽ばたかせて忠告に走った。

兵を出動させたら犯人に気づかれてしまう。これではトンイの身が危なくなると思った。

「そんなことはないでしょう。これは王命なのですから」

チョンスはさも安心したように答えた。

それから内禁衛が総出で、殺された算士の弟が住む東学洞へ突入した。そこに鉢合わせた捕盗庁の従事官と兵士たちを一気に捕えた。

算士は重臣らと共に着服した額のすべてを帳簿に残していた。

その証拠をもみ消すよう裏で圧力をかけられた捕盗庁の従事官が、ちょうど血眼で帳簿を探しに来ていたのである。


ある日、大工が大勢でイヒョン宮に集まり、丸太を運び込みはじめた。工事を頼んだ覚えはないのに、一体どういうことかとトンイとポン尚宮が見ていると、髪を胸まで垂らした貧しい男が、おずおずと嬉しそうに挨拶に進み出た。

「私を覚えておられますか。恵民署で治療を受けさせてくれたでしょう?」

お礼に立派な東屋を建てに来たと言うのである。ここに集まったのは皆かつてトンイに恩恵を受けた連中ばかりだった。皆ひとまず作業の手をとめ、改めてそのときの礼とばかりに、トンイに深々と会釈してみせた。

貧しい男らは生き生きした顔で東屋を建てていった。その様子を見せたくて、雲鶴は宮殿からクムをわざわざ現場に連れて来たのだった。

「王子様。今日のこの光景を忘れないように。聖者の教えよりも尊い教えだからです」

青衣に黒帽子のクムは、その光景をつぶさに目に焼き付けた。この1年の間、離れて暮らしてはいたけど、トンイ母さんの思いがわかった気がした。


王様がおつきのハン内官に言う。

イヒョン宮の方角だなんて、ちっとも知らなかった。

偶然を装っては、すぐトンイに会いに行きたがる。

トンイの誕生日の夜には、お忍びデートへ繰り出した。

軒先にちょうちんが連なる露店は、夜通し人通りで賑やかだった。

トンイが商品の房飾りを眺めて、淡いグリーンがだんだん濃くなったのを手に取った。自分の紫のチョッキに合うかどうか合わせていると、王様が苛立ったように、

「見るからに安物だよ。あといくつか選びなさい。いや。この台にあるのを全部貰おう!」

と随分と気前のいいことを言う。

店主は驚いて何か入れ物を取ろうと商品台の下に深く腰をかがめた。

「いいえ、王様。今年は飢餓がひどいので浪費したくないのです。10年、20年、ずっと王様のそばにいるのに。その時また贈り物や宴をしてくださいね」

2人の話し声を聞いて店主が立ちあがり、結局緑色の房飾りを1本のみ受け取った。

王様はすねってしまっている。しかしそのうちふっと優しい笑みを漏らした。

「あぁ。余の負けだ。そなたに勝ったことはない。その代わり来年が過ぎ、再来年が過ぎ、20年が過ぎても余のそばにいると約束するのだぞ」

「王様…」

「そうだ。それだけでいい。余の望むのはそれだけなのだ…」

王様がしみじみ返事したとき、急にトンイが「あっ」と暗闇を指さした。

4人組の男が不自然なほど大きな袋を肩に担いで屋敷の裏手口から出て来たのである。

「あれは誘拐ではないか?!」


王様がいったんその場を離れ、ハン内官に捕盗庁の出動を命じて戻ったとき、トンイは屋敷の塀に身をかがめ、中を探っているところだった。

王様はトンイの隣に座った。

実にやきもきする。早く捕盗庁が来てくれればいいが……こんなときに限って遅いのである…

王様の心配を知ってか知らずかトンイが無我夢中でささやいた。

「私が追っていた密売人の隠れ家のようです。急がないと証拠が燃やされてしまいます。そうだ! 王様。一度だけダメでしょうか? 私がこの塀を越えますから、一度だけ台になってください…」


そのめでたく豪華な儀式は、正殿の大広場で行われた。

王妃と赤じゅうたんを入場するのは、青年になったヨニン君であった。

壇上席で赤衣が金の巻き物を広げて、「鞠躬四拝」を大声で読み上げると、赤衣の重臣らが杓子棒を手に、お辞儀をし「千歳」を叫んだ。

朝鮮第21大王、英祖の誕生である。


大勢の護衛を連れ、英祖は墓地の昭寧園を訪れた。

緑のなだらかな丘へと続く奥に、塀で3方を囲まれたトンイの墓地があった。

こんもりした4~5メーターほどの墳墓の周りには、小さな馬や仙人風の石像がまばらに立っている。小鳥や蝉のさえずりが、のどかな心地良さを誘った。

「母上のためにも私は最も王らしい王になります。そうしてみせます……」

母を懐かしみ、英祖は誓った。

そのそばでチョンスは怪しい動きをいち早く察知したのだった。すでにひげに白いものが混じりはじめた年齢にも関わらず、昔と変わらず俊敏だった。

チョンスは丘を走り、怪しい人物を次第に追い詰めていった。

そばまで近寄って見ると、そこにいるのは貧しい少女であった。木の幹にうずくまって何だか心細そうにひざを抱えている。それでいてこちらの隙をうかがうようなまなざしは、驚いたことに少女時代のトンイに瓜二つだった。

チョンスが声をかけると、彼女はそっと握っていたマツタケムシを見せてくれた。

「淑嬪様は生前、賎民に尽くしてくれました。だから近所の子はマツタケムシを取っているのです」

女の子は嬉しそうに説明した。

チョンスは少女の尊い行いを褒めて、頭をなでてやった。

トンイが今も皆の心の中に生きているのを、しみじみと感じたのだ。



英祖の一行が墓地を引き揚げたあと、緑の大地にトンイが現れた。

大木のそばで待つトンイのもとへ、王様がさっそうと歩いてくる。

王様はこれまでの労をねぎらうように両手を握ると、ふわりとトンイを抱きしめた。

目を閉じたトンイは、王様に再会した幸せを静かに噛みしめた。

やがて二人は手をつないで緑の中を歩き始め、その姿は次第に小さくなっていった……



2012/6/4更新

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最終更新日  2020年10月02日 22時49分02秒



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