別れだけが人生さ
勧酒(于武陵) 勧君金屈巵 君に この金色の大きな杯を勧める満酌不須辞 なみなみと注いだこの酒 遠慮はしないでくれ花発多風雨 花が咲くと 雨が降ったり風が吹いたりするものだ人生足別離 人生に 別離はつきものだよ 井伏鱒二の訳 コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダこの歳になると、親しい友との突然の別れがいつ来てもおかしくない。先日も高校時代の悪ガキ仲間が一人亡くなったが、もうたまに会ってもすぐに心と心が通じあえる友は少ない。友との置酒歓談、和顔愛語は至福のひと時、残り少ない今と言うこの時を大切にして生きていきたいと思う。昨夜も、週始めの小諸の友との献酒歓談を思い浮かべながらこの歌を口ずさんでいた。私が病む友と歓談すると、3,4カ月で亡くなることが多い。送り人が、私の役割か?癌の良いところは、2,3か月前まではかなりの人が普通の生活ができることです。人との別れの時は必ず来る。葬儀には出ないことが多いが(沢山の人の集まりは好きでない)、その前に、会いたき人には、心に浮かんだ時に会いにいき、酒を酌み交わして歓談しておくのが私の信条。男の別れに涙は不要。献酒歓談して、楽しい思い出を幾つ心の中に遺すことができるかだ。「いい思い出だけが残ること。それを成仏と言う」と京都法然院梶田貫主は前貫主から教えられたそうです。逝った人との、生前はどうしても断ち切れなかった様々なこだわりが、時の移ろいとともに少しずつほぐれてくる。直に向き合っていた時には解けなかった確執も少しずつ削ぎ落とされ、その人の良い面の思い出だけが残る。そういうかたちで亡き人のイメージが整ってくると、遺された人の心も安らいでくるという。その昔、「許すとは忘れることです」と教わったことがあるが、人間は良い面も悪い面も合わせ持っています。悪い面が洗い流されて、良い面だけが思い出に残る。わが友たちよ! 私の悪い面も早く忘れて成仏させてください。