日本。
日本って、本当に物が豊かなんだってこと。やっぱり、生活するのが「ラク」なんだってこと。綺麗な所だってこと。外国で暮らしているからには、やはり色々なことを考えますが、今私が家庭教師をしている子は、イヤな事があると、「クレイジー」と一言言った後、「日本ではこうじゃないよね」と言います。注文したものが20分たっても出てこなかったとき。「日本じゃあ、こんなに待たされるなんてことないんでしょう?」学生達が通う食堂街へ行ったとき。「こんな不衛生なところには私は普通来ない。日本ではこんな汚いところ、ないでしょう?」乞食(こういうと御幣があるかもしれませんが)に物乞いをされたとき。「あんな汚い人、日本にはいないでしょう?」前に歩いていた、ちょっと太めの女の子をみて、「中国の女の子は綺麗じゃない。日本人の女の子はみんなきれいなんでしょう?」全部中国語で聞いたものだから、なにか私がカンチガイしている部分があるかもしれないし、彼女の言うことを頭から否定する気もない。確かに日本に中国ほど乞食はいない。日本のホームレスの人たちと中国の乞食と言われる人たちとは、ちょっと違う。でもそれを汚い人と呼んでしまうことには、私には少し抵抗がある。他の事もそう。彼女には裏表がない。天然というか、なんというか、思ったことはすぐ顔に出るし、口に出す。嬉しいときにはウレシイと言えて、アリガトウときちんと言葉に出来る人。私は彼女の事が嫌いではないし、とても可愛い女の子だと思う。(今日だって一時の約束のはずが、余裕の顔で二時半に来たし、自分に甘く人に厳しい子なのですが!以前の日記参照)このコトバも、最初は私が日本人だということを考えて、尊重の意を込めた言葉なのかと思って聞き流していた。けれど、「日本語の勉強なんて、やりたくない」と、彼女から言われて、考え込んでしまった。私は彼女に日本語を教えるためにお金を貰っているわけだし、そのお金だって相場から見ると安いけれど、中国人の平均収入から考えると、決して安い額でもない。はじめて会った時に、「日本に何をしに行きたいの」と聞いたときに、彼女は「日本で美術を勉強したい」といっていた。しかし、彼女の滞在予定は一年。語学学校の期間も一年。「日本語学校を一年で卒業した後、何をする予定なの」と聞くと、「帰国する」と彼女は答えた。何度もはなしていて、だんだんと彼女の事が分かるようになって、彼女が日本の美術には本当はあまり興味がないことそれは、人に聞かれたときの答えでしかないこと。でも、日本のデザインは洗練されたものだという感覚が彼女にはある。日本という国は、すばらしい国だと思っているということ。街を歩く人は皆美人で、日本人は皆いい暮らしをして、お金を持っていて、それは簡単に手に入るものだと思っていること。日本語の勉強をしているのはビザ取得の試験に受かるためという理由が大部分だということ。(初めはそんなことなかったんだけど、彼女が口答試験問題集を手にしてから変わった)留学斡旋の会社が用意した口答試験の問題集しかやりたがらない彼女に、私は日本の色んなことを話そうとした。日本で暮らすには、本当に沢山のお金が必要だということ。そのお金はラクをして手に入るものでは決してなくて、一ヶ月一生懸命働いて得たお金が、中国人からみて高収入だとしても、それで自由な生活がおくれるわけではないということ。外国人だからという理由ではなくても、日本語を自由に話せないという人に、日本人は冷たいかもしれないということ。ここでは、ちょっと困ったといえば知らない人でも「どうしたんだ、なにかあったのか」って声をかけてくれる人が沢山いるけど、日本では見てみぬふりをされてしまうことも多いだろうということ。たくさん、話をした。これは私が思うことだけど、と念をおして全部がこういう訳ではないけれど、と断って話をしたけれど、彼女の中の「すばらしい国、日本」像は少しでも変わったんだろうか。勿論私にとって日本は母国だし、日本が好きっていってくれたら、やっぱりちょっとウレシイ。でも、彼女の場合、頭の中で描いていた理想の国・日本は、間違いなく彼女を裏切るんだと私は感じてしまった。彼女は、きっと日本を嫌いになって帰ってくるんじゃないかって、勝手に感じてしまった。全部ワタシの自分勝手なことなんだけど、やだなー、やっぱり、嫌いになってほしくない。日本に理想を持って欲しくない。でもなームリそうだなあー。心配だー(まるで子供を送る親の気持!笑!)もうね、ほんとにほんとに、私一人が勝手に思って勝手にヤッキになってるだけなんだけど。でもやっぱり、ニコニコして出て行くわけだからニコニコして帰ってきてほしいんです。プハー。