「新選組!!」を見た! 6度目(大鳥編その2)
昨日のエントリ、コメント欄に葛生さんがステキな補足してくださいましたvわたしがうまくまとめられなかった木古内での圭介を、ガッツリ紹介してくださっています。「!!」好きの方は、見てみて下さいましvていうか、これ読んでくれてる人って、どういう層なんだろう? 3日の感想アップしたときは普段の倍以上のカウンタが回ってたし、ここ最近の来訪者さんも継続して多いので、たぶん「!!」好きの方が多いんだとは思うけど…。その中のわずか数人でも、大鳥への誤解(?)を解消してくれたら、嬉しいんですが。さて、続きです。ドラマの場面の順番にいきます。「おまえ、自分に入れたろ自分で」可愛かったので不問に以下略。いや、コレわたしもネタにしたことあるから、偉そうなこと言えないんですけど(笑)。でもNHKドラマでやられちゃうと影響力がまったく違うので、いちおう弁護しとこ。なんか自分のネタのフォローするみたいでカッコ悪くてヤなんだけどなあ(笑)。蝦夷地平定後、榎本はアメリカに倣って、役員人事を選挙で行います。史料では「総得票数」と「役職別得票数」2種類の結果が残ってるので、選挙は2回行われたのではないかと言われてます。で、大鳥に1票入っていたというのは、役職別選挙・総裁選。榎本武揚 155点松平太郎 14点永井玄蕃 4点大鳥圭介 1点役職別・陸軍奉行選では、大鳥89票、土方には8票入っています。『薩藩海軍史』より。また、『新開調記』に載っている得票数は、これ。榎本武揚 156点松平太郎 120点永井玄蕃 116点大鳥圭介 86点松岡四郎次郎 82点土方歳三 73点 (以下略)これは総得票数のことか? でも、役職別・海軍奉行選で73票を集めてる荒井さんの名前が出てこない。アレ?ともあれ、総裁選では本当に大鳥に1票入ってます。誰が入れたのかは解らないし、真偽をどうこう言うのも意味がないんで、別にいいんですけども。大鳥に権力志向があったとは思えないし、意外と人望もあったので(ほら、弾避けになってくれる部下もいたし)(てゆっか意外って何だ・笑)、わたしはちゃんと士官の誰かが投票したと思ってますが、どうですかね。逆に私、この選挙で、お偉方を差し置いて奮戦している史実土方を凄いなーと思ってて。なのに、このドラマの土方がこんな意地悪言うので、「アンタ1票も入ってなかったくせに~w ゲラゲラw」と、仕返ししたくなっちゃいましたー(満面の意地悪笑顔)。あー、すみません、わたしホントこの「組!!」土方に対しては意地悪っ子です。「組!(本編)」土方には、そんなことないっすよ。もちろん史実土方にも。ご安心を。この選挙結果について、時代考証担当のY村氏は、「実力の土方、肩書きの大鳥」とか仰ってましたが、無記名の投票に肩書き必要ありますか? 微禄の御家人出身の榎本が総裁になれますか? 一緒に箱館まで来てた3人の大名は得票数少なかったですよ?こういう世迷言をオフィシャルな場で言う人がいるから、こっちも受けて立とう! って喧嘩腰になっちゃうんですよ(笑)。(ええ、私が大鳥関係で腹立ててんのは、ミタニンにというよりこういう定説を作った「研究家」にです)ふつう、自分が戦場を共にしていない人は選ばないですよね。鴻之台集合から選挙時までの実戦回数は、土方が宇都宮×2、会津、松前、館。会津では本陣で留守番だったので、4戦ほど。いっぽう大鳥は、小山×3、安塚、宇都宮、藤原×2、今市×2、石筵、木曾村、長窪村、大野。安塚では体調不良で留守番、木曾村では戦になる前に迷子になって終わったとはいえ、10戦以上。また、武器弾薬兵糧の整わない中、日光から仙台まで2,000人以上の軍勢を率いてきたのも、大鳥。逆に、仙台以降合流した隊(額兵隊や陸軍隊)で、松前攻めに参加した人たちは、土方を選んだかも知れない。そういう背景を見たら、「実力の土方、肩書きの大鳥」なんて単純な分け方はできないと思うんですが。時代考証名乗ってる人なら、この程度のことは当然ご存知と思いますけどねぇ。「君と大鳥は愉快だねぇ、顔を合わせればいつでもいがみ合っている」釜さん、アンタ腐女子? 鳥歳? それとも歳鳥!?いや、すみません、ごめんなさい。しかしそもそも、大鳥と土方が仲が悪いっていう基本設定みたいなのは、どこから来たんでしょ?『燃えよ剣』? それとも、ほぼ創作だという(笑)『聞き書き新選組』?実際は、別に仲良くも悪くもなかった感じですよ…?(あんま交流なさそう)あ、わかった、島田日記とかで「大鳥さんの下じゃヤダ」みたいに書いてあるからだ。それはアレじゃないの、単に「土方さん以外の人の下はヤダ」ってことじゃないの(笑)? 島田、カワイイ奴。「あれも根っからの戦好きなんでね」かなりガッカリどころか、ショック死しそうになったわ! 呪・ミタニン!実際の大鳥は戦嫌いですよ!部下が敵に捕まって斬首されたと聞き涙を落とすような人ですよ。敵の戦死者まで逐一メモって、敵艦沈没の際にも死者を悼んだりしてますよ。ついでに味方の放火や略奪も固く禁じてましたよ。別に誰にそう言われてもいいけど、釜さんにだけは言われたくなかったッ! と、思わず史実圭介に感情移入して、泣きながらドラマ釜に平手打ち喰らわせそうになりましたよ。わたし、同じく好戦派設定の『武揚伝』大鳥は大好きなのに、なんでこのドラマでのこの設定はダメかなー。『武揚伝』の大鳥は、完全に「ハードウェア志向」だからかな。技術者肌。敵を倒すことじゃなく、兵器の性能や陣地の構築やらに一生懸命。それを、青年期からずっと描いてくれてるから。このドラマの描かれ方だと、単なる戦好きみたいで。ただこれ、本人が「俺は戦が好きだ」って言ったわけじゃないしね…。と、いらん妄想をしています(笑)。やっかんでいるのは単に榎本が自分より土方を買っているからだよ、とか(笑)。「大鳥先生!!」各隊隊長たちが降伏を厭って総裁にすがりつく場面。1人だけ「大鳥先生!」って言った人がいる!…いや、嬉しかっただけ(笑)。誰かな~?「先生」ってことは、伝習隊かな。「守りの固めは俺の専門だ。後のことは心配するな。存分に戦ってこい」あっ、「俺」って言った!(笑)実際、圭介じいちゃんの「自分語り」では、けっこう「俺」って言ってるんですよね。ミタニン、知ってて言わせたのかな? まさかね。さて、守りの固め、ですが。実際は、あんまり守ったときに勝ってる印象がない(笑)。会津にしても矢不来にしても。でもこれは仕方ないけど。守ってるときってのは、戦況が不利なときばかりだしね。逆に、小山とか大野とか七重浜夜襲とか、攻め込んだときのが勝っています。ゲリラ戦とか、強いです。ともあれ、よーやく来たカッコイイ場面です。ちょっとキュン死にしそうになりました。「間もなく落ちた陣の兵がこちらに戻ってくる。すぐに本体に組み込み、決戦に備えよう」の声がいい。抑え目に喋ると格好いいのにな~(笑)。ちなみにしつこいようですが、実際はこの時はとっくに戦場にいますよ!「信じられん、まるでひよどり越えだ」これもガッカリ死するかと。(何回死にかけてるんだ)圭介、ちゃんと箱館山からの敵襲は読んでたもん! 警備の兵を置いてたもん!新選組隊士・立川主税が「我局寒川海岸に壁を築きこれを守る事十有五人。十番の観音山に六人詰め壁を守る」(『立川主税戦争日記』)と書いてます。この他、山背泊にも半小隊、弁天台場に新選組1小隊と砲兵隊、そして港には伝習士官隊2小隊、と、箱館山からの奇襲に備えています。でも「番兵怠慢深霧中より敵の登るを知らず」(『南柯紀行』)、奇襲をかけられちゃった。かなり悔しかったのか、大鳥にしては語気が荒いですね。ここでの番兵とは、寒川と山背泊に配備されてた新選組のこと。大鳥は「番兵」としか書いてませんが、今井信郎が「このあたりを守りし新選組一挙に追い崩さる」(『蝦夷之夢』)って詳細を。『史談会速記録』の林董によると、「箱館の背面にもかねて兵を出して居つたが、昔から有る例で此の断崖絶壁を登つてくる敵は無いだらうといふ油断から、其の兵は何処へか往つて此処に居なかつた、それが為めについに箱館は落ちて仕舞つ」たそうで。もし新選組のミスを隠そうとして「圭介の読みが甘かった」という設定にしたのだとしたら、呪・ミタニン。まあそこまで考えてないと思いますけどネ。静かに上陸してくる官軍の薄気味悪さを強調したかっただけかと。ちなみにこの敵さん、ちゃんとトンガリ帽子に赤いおリボンついてた。薩摩っぽだ!なんだよー、ちゃんと史実解ってて書いてるんじゃん。確信犯かよ。っていうか今までネチネチ突っ込んできたけど、全部確信犯だったらどうしよう…。ハズカチイ!…以上、「ドラマでも可愛かったけど、本物の大鳥は可愛いだけじゃなかったのよ!」という、紹介でした。どうやら私、フィクションなら性格悪かろーがヘタレてよーがあまり気にしませんが(直接会ったことのない人物だし判らないから)、「無能」だけは引っ掛かるみたいです。だってあからさまな捏造なんだもの。土方さんを引き立てるためだけに無能キャラに仕立て上げられちゃうのが納得いかんの。有能で可愛ければ、意地悪でもヘタレでもいいや。そんな感じ。(可愛いと意地悪は並立しますよ、ほら、ドラコ・マルフォイとか。笛吹@ネウロとか。笑)というか、大鳥は、こうやって史実を持ち出せば充分反論できますが、土方さんは資料が少ない分、庇いきれないのが気の毒だなあ。「土方編」でも、史実を知らないので、単なる好悪のレベルでしか書けなかったし。土方ファンで史実に超詳しい人の、こういうネチネチしたツッコミ書いてるブログさんとか、ないのかな。ご存知の方、いらっしゃいましたら、教えてください!