今日は気温が少し上がりましたが大気は真っ白です(泣)
明日はまたぐっと寒くなるらしい。。
そういえば
去年の今頃、桜は散りかけていたなと。。

ロサ・キネンシスを原種とした薔薇の一種(ウィキペディア)
ロサ・キネンシス(Rosa chinensis)は
中国大陸中部が原産地
この原種に多くの品種改良が加えられることで
様々なバラが産出されたそうです。
主にモダンローズの品種改良に重要らしいとか。。
専門的なお話は詳しい方にお任せするとして
ここでは、この薔薇にまつわるお話を。

賽金花
好きな小説家のひとりに井上祐美子さんがいます。
始めて読んだのは十数年前?ですが
いまだに過去作を繰り返し読むことがあります。
ファンタジー小説もお得意で
彼女の手にかかると※二郎真君が
とても人間くさくてほれぼれするようないい男に
あ
このまま喋ると脱線しそうなので
本題に戻りましょう^^;
彼女の昔の短編集にちょっと地味な雰囲気ですが
「非花」(はなにあらず)があります。
四編あり
それぞれに花がイメージされていて
「梅花山弄」は梅
「傅延年」は菊
「葛巾紫」は牡丹
「非花」は薔薇
表題の「非花」の主人公は実在した賽金花(通称)
小説化、映像化されているので
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが
ウィキペディアからの抜粋を添付します。

賽 金花は清朝末期から中華民国初期の妓女。
本名は趙彩雲。
江蘇省の出身で妓女になった後に官僚の洪鈞に見請けされてその側室となった。
1887年、夫の洪鈞がドイツ・ロシア・オーストリア・オランダ公使に任ぜられ
夫に従ってドイツ・ロシアに渡った。
1893年に夫が没すると、妓女に戻り、北京で妓楼を開いた。
義和団事件の時に彼女は渡欧時代に覚えたドイツ語を生かして
8か国連合軍を率いていたドイツのヴァルダーゼーを説得し
北京市内での連合軍と市民の衝突を回避した。
◇
小説は史実をもとにしたフィクションですが
歴史の狭間で、不自由な社会で
女性であるがゆえに虐げられながらも
品格をもって逞しく生き抜く・・
賽金花も、またそんな女性だったのかも。
井上氏の小説では
史実の通り若くして夫と共にベルリンに滞在しますが
そこで陸軍大尉と出会います。
彼は金花に会う度に
小さな薔薇の花束を彼女に贈るのです。
「これは貴女のつもりでした
この四季咲きの花は中国原産なのです」
「欧州にわたり改良を重ねて根付いた花です」
「あなたにもこの花のようになってほしいと
贈り続けたのです。。」
そして
「笑ってくれたではないですか
私と一緒の時の方があなたは幸せそうだった」と
夫のある彼女にプロポーズするのですが
妓女として育てられたため
受け答え方、笑い方、仕草、など
男性に合わせられるよう身についてしまった
「癖」のせいだと
この花にたとえられた金花は落胆し
「この花の中国での異名をご存知ですか」
と問います。
「買笑花(笑いを買う花)。
人の笑いは買えるが花の美しさはあがなえない
という故事から、そう呼ばれています」
「ベルリンに残ったら私もこちらに合わせて
改良されなければならなくなります」
そう
花にあらずです ^^;
2人は十数年後に再会しますが
金花にはかつての面影はありませんでしたが
凛とした信念は美しく
まさに野生の原種のバラのようでした。
二郎真君についてはこちらを
井上祐美子氏へのリンクも発見

※二郎真君
◇
物語でも
玫瑰(庚申薔薇)の改良品種が登場しますが
中国原産の薔薇と言えば
モッコウバラも思い浮かびます。
玫瑰はバラ科でもハマナスですが
花茶や漢方薬として
よく知られていますよね。

昔から抗炎症、打撲やリウマチの改善、下痢止めや月経不順の緩和として
お茶にして飲用されてきたようです。
玫瑰茶は穏やかなバラの芳香がしながらクセがなく
果実は生食にしたりジャムや果樹酒にも
ビタミンCやポリフェノールが豊富で
果実にはミネラルも多く含まれるので
美肌効果、動脈硬化予防、生理不順、ホルモンバランスなどに
期待できる言われています。
お花の部分には
ゲラニオールやシトロネロールなどの
芳香成分が含まれますので
リラックス効果もありそうですね。
ちなみに
ゲラニオールとシトロネロールは
ローズ・オットー(精油)の主成分(約50~80%)
食物繊維が豊富で梨に似たお味の果実は
もとは「ハマナシ」でしたが
東北訛りで「ハマナス」となりました。

では、また。
桜の満開は来週になりそうですね。
無理な花見で花冷えしませんように。