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郵便受けの錆びた金属の唇が
おい と軋んで閉じ 鋭いハサミで開封してみれば やあ 軽やかな足取りの文章を綴られている「水の都の流れ星」の著者であるきらさんからの のどかなご挨拶につづいいて 「愛読書について定義してください」 (以上、川崎洋さんの詩「愛の定義」のパロディでした) というわけで、きらさんから受け取った「BOOK BATON」に答えたいと思います。 1.持っている本の冊数 う~ん。何冊あるんでしょう? とりあえず部屋には80×180の本棚が3つ。ここには学部、大学院時代に買った 日本史の史料や論文集で埋まっています(最近手に取る機会が減ったのが少し悔しい)。 あと、部屋には本棚に入りきらない本が段ボールに4つ。 他にも本棚の上やノートPCを買ってから使わなくなったPCデスクの上、 本棚の前の床、枕元に積み上げられています。 そんなところからご想像ください。 あ、あと学部以前に買った小説を中心に詰めた段ボールが実家に数箱あったっけ。 2.今読みかけの本 or 読もうと思っている本 歩いて数分のところに図書館があるので、最近読む本は新刊以外ここで借りて読んでいます。 とりあえず今借りている本は、 石村博子『「喪」を生きぬく』(2005 河出書房新社) 川崎桃太『フロイスの見た戦国日本』(2003 中央公論新社) 鹿島茂『怪帝ナポレオンIII世 第二帝政全史』(2004 講談社) 中村健二『カクテルの贈り物』(1996 オリジン社) 青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン』(2005 新潮社) 江國香織『とるにたらないものもの』(2003 集英社) 『間宮兄弟』(2004 小学館) 大崎善生『ロックンロール』(2003 マガジンハウス) 多和田葉子『旅をする裸の眼』2004 講談社) 山田太一『異人たちとの夏』(1987 新潮社) 石村さんのは、愛する家族を亡くした人たちがどのようにその悲しみと向き合ったかを追ったノンフィクション。 最初、授業の資料として軽い気持ちで読み始めたけど、 すぐに居住まいを正してここに描かれた思いに向き合わねばいけないような気になる本です。 川崎さんのは、ここ数年織豊時代のキリスト教について調べている関係で借り、 『馬車が買いたい』(1990 白水社)以来その軽妙洒脱な文章が大ファンの鹿島さんの話題の本に、 中村さんの見ているだけで心地酔いを感じるカクテルの写真集。 小説は知り合いに勧められたり、図書館の本棚で思わず手に取ったもの。 何分移り気なもので(笑)、一冊読み終えてから次へということができません。 ですから、読みかけのままほったらかしの本もたくさんあります(笑) 3.最後に買った本(既読、未読問わず) 谷川俊太郎・文 大竹伸朗・絵 『んぐまーま』(2003 クレヨンハウス) 甥の2歳の誕生日プレゼントとして買ったもの。 自分が読むために買ったのだったら、島本理生『ナラタージュ』(2005 角川書店)。 この本、まだ半年ありますけど、今年のマイベスト決定です。いや、すごい。 4.特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで) これは難しい。たくさんありすぎて、とても5冊に絞れません。 ですので、一応高校の教師をしていることにひっかけて、十代の頃の愛読書5冊とさせてください。 ・常盤新平『遠いアメリカ』(1986 講談社) まだピザもハンバーガーもティッシュも遠い世界のものだった時代の、翻訳家に憧れる青年の青春物語。 漠然とした夢はあるけれどその夢の遠さに恐れおののき、 またその夢に向かってなかなか一歩を踏み出せないことに自己嫌悪になる。 いつの時代も変わらぬ青春像がここにあります。 ・上温湯隆『サハラに死す』(1975 時事通信社) 海外、それもアフリカや南米といった辺境の土地の旅行記ばかりを読み漁っていた時期がありました。 その中でも忘れられない一冊がこれ。 ラクダに乗ってサハラ砂漠を横断しようとし斃れた青年の日記をまとめたもの。 サハラ砂漠という想像すら難しい風景に魅せられ、何十回読み返したか分かりません。 ・連城三紀彦『恋文』(1984 新潮社) 高校生の頃はミステリーばかり読んでいて、この本もミステリー作家の連城三紀彦が 恋愛小説も書いていたんだ、という気持ちで手に取ったもの。 当時は面白かったけどそれほど響くものはなかったけれど、 一昨年ある女性に勧めるために再読したら夢中で一気読みし、 「私の叔父さん」では電車内でぼろぼろ泣いてしまいました。 ほとんど人のいないボックスシートの車両でよかった(笑) ・中島敦『山月記』(1942) 高校2年の現代文の授業で出会って以来何度読み返したか分からない座右の書。 現代文の先生の「この李徴はな、お前たちと同じなんだよ」という言葉。 今ならよく分かるし、未だに李徴のままだと思うこともしばしば。 ・中沢新一『雪片曲線論』(1988 中央公論社) 十代の一冊といわれたら迷わずこれ。 高校三年だからどこまで理解できたかは心許ないけど、 人の思考はここまで飛翔できるのかとただ、ただ感嘆するしかなかった。 これ以外にも、書名が分からなくて挙げられなかった現代詩人の叢書や、池澤夏樹、 遠藤周作、北杜夫、アーウィン・ショウ、太宰治、村上春樹、西江雅之、etc. 他にも忘れているけど僕の中では大切な本がいっぱいあります。 5.次にまわす人5人まで これも困りました。 本棚を覗いてみたいと思う人をピックアップしていったけど、十人から先絞ることができません。 いっそのこと十人全員書いてみようかと思いましたが、さすがにそれはちょっと、と思い、 くじ引きで次の五人の方に次のバトンを渡したいと思います。 「紫苑の日記は、”紫苑の吐息” 」の紫苑さん 「ちぇんしんの日々是好日」のちぇんしんさん 「和妓の枕草子」の和妓さん 「アメリカで教育学」の登別市立青葉小学校の卒業生のやすさん 「reversible」のゆかさん こちらが勝手に指名していますので、リンク先に回答があるとは限りませんので、 その点はご了承ください。 それにしても、本について語るのは楽しいですね。 上の文章も、どの本を挙げようかと迷ったり、だれにこのバトンを回そうかと考えるのは、 至福のひとときでした。 これから、読み終わった後誰かに語りたくなるような本に出会ったら、 ここに書くようにしようかな。 きらさん、楽しい機会をありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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