2008/11/18(火)01:07
ラヴェル作曲『亡き王女のためのパヴァーヌ』
名曲探偵アマデウスの『亡き王女のためのパヴァーヌ』を観ました。
実はフランス近代を得意とする…と謳っておきながら、ラヴェルの楽曲でまともに弾いたのはこの曲だけな私…
ラヴェルは好きだけど、私には合わないらしい…
そんな中でこの曲だけを弾いたって言うのは、やっぱりこの曲がラヴェルらしくなかったからなのかしら?
ってこの番組を観て思いました。
ラヴェルといえば代表作に『ボレロ』、ピアノ曲では『水の戯れ』など、多彩な音の洪水に「音楽の魔術師」なんて呼ばれていますが、この曲はいたってシンプルで平坦なんだそう。
そうかなぁ~。
中々弾くのに苦労したよ~。。
まぁラヴェルの楽曲の中では一番弾きやすかったけど…
しかしこのメロディーは心に沁みてくるし、物凄くロマンティックに思える反面、冷静だったり、暗いイメージなのに温かかったり、古めかしい感じがするのに斬新に思えたり…
二律背反、パラドクスっていうのでしょうか…
物凄く矛盾を感じますね。
でもその矛盾を吹き飛ばしてくれるくらいの美しい旋律…
弾いていると何かもやもやとしたものを抱えつつ、でもこの曲の世界に引きずり込まれていく…そんな不思議な曲です。
単純なのに複雑。
複雑なのに単純。
何かそういう謎のループに嵌っていきそうです。
東邦の先生が面白い解釈をしてらっしゃいましたが、私はあまりそう思わないなぁ~。
色々な人がそれぞれに色々な解釈をしていましたが、それだけ聴く人弾く人によってイメージが変わる曲なんだなぁって思います。
それでいい曲なのかもしれません。
王女って誰なんだろう…?
その王女像はそれぞれにあっていいのでしょう。
私は比較的年若い王女のイメージです。
10代の後半から20代くらいでしょうか。
時代は中世くらい。
やはり中世のドリア旋法が使われているので、そういうイメージなんだと思います。
石造りの冷たいイメージのお城と、でも暖炉に火の灯っている少し温かい部屋のイメージがあります。
そこで眠るように死んでいる王女。
生前の輝きがまだ肌に残っているような亡骸。
美しく着飾れてベッドに横たわっている姿。
まるで今にも目を覚まして愛くるしい笑顔を見せてくれるのではないか。
王女が好きなパヴァーヌを流したら、起き上がって一緒に踊ってくれるのではないか。
そんな想いが込められた王女に捧げるパヴァーヌ。
悲しみと寂しさと、王女への優しく包み込むような豊かな愛情と…こういう反するものが混ざったイメージです。
この曲、私はゆっくりなテンポの方が好きです。
後年、ラヴェル自身が演奏したレコードは、ラヴェル自身が最初に作曲した時に指定したテンポよりもかなり早かったそうです。
ラヴェルの実際の演奏はコチラ
イメージがかなり違います。
私はサンソン=フランソワの演奏がやっぱり好きだなぁ~。
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