駆け出し記者の一期一会

2007/11/12(月)11:32

大人の塗り絵

展覧会(15)

関西に住む友人からひょっこりメールがきました。 「作品が入選しました!」 おおーっ、やったね! 東京でも展示されるの? 見に行くよ! そこで、銀座の松坂屋に行ってきました。 「ぬりえ?」と侮るなかれ。シンプルだけど、奥深い塗り絵の世界。 塗り方や塗る道具によって、同じ図案でもまったく異なった絵になります。 丹念に色をつけていく作業は、さぞや根気がいることと想像しますが、 そうした集中は心の安定をもたらす至福の時なのかも知れません。 「疲れた心をリフレッシュ」ということでブームになり、 河出書房新社の『大人の塗り絵』シリーズは160万部突破のベストセラーになっています。 大人の塗り絵(ゴッホ編) 第2回のコンテストとなる今年は応募総数3257点! 塗り絵ファン人口もかなりのもののようです。 その中で厳正な審査を経て選ばれた約240点の作品の展示はとても見応えがありました。 見本に忠実で緻密な作品もあれば、自由な発想でアレンジしたものもあり、 同じ図案とは思えないほど、バラエティに富んでいます。 「ゴッホシリーズ」の中には、あの超有名な「星月夜」を 真っ赤に表現したものがあって、すごいインパクトでした。 そういう意味では塗り絵という形での「世界で一つだけの絵」になるのだと思いました。 彼女の作品はどこかな?と目を凝らして行くと……ありました! 葛飾北斎原画の『花鳥風月編』です。「桜に鷹」「菊に虻」などに並んで、 彼女が彩色した「朝顔に蛙」があります。 色鉛筆、水彩、クーピーといった作品が多い中で、 「顔彩」とは、さすが渋いなあ~  会場にあった題材のテキストと見比べてみると 北斎のオリジナルに比較的忠実な渋い「和」の色遣いを基本に、 ぼかしの技術を生かした花の立体的な表現や、金泥を使った背景など、 より陰影のある重厚な仕上がりになっていて、 あっさりした木版画とはまた違った味わいがあります。 一心に色を塗っている彼女のうつむいた横顔を目に浮かぶようでした。 京都の下宿で一緒にいた頃、彼女は友禅染めの仕事をしていました。 一度、仕事場の工房を見学させてもらったことがあります。 伝統工芸の厳しい世界に目を見張ったものです。 その後、彼女も私も紆余曲折を経て、同じような年頃の子を持つ母となっていますが、 彼女がいつも「美しいもの」への思いを持ち続けているのは、 折にふれての便りからも感じていました。 プレゼントのビーズの手作りアクセサリーは今も大切に使っています。 子ども達の学校の活動でも、イラストを描いたと言ってたよね。 本当に好きなことは、どんな形ででもずっと続けていけるんだね! 「いつか本格的な日本画を描けるよう励むつもりです(^_^)v」 そうだね!がんばろうね。私は…書き続けるよ! 会場の作品のひとつひとつから、 慌しい日常生活の中で、ひととき、心をこめて 一色一色丁寧に色をつけていく筆致や、 一人一人の息づかいまで感じられます。 写真も撮ってみましたが、なかなかとらえきれません。 ぜひ、会場へ足を運んでみてくださいね。 「大人の塗り絵コンテスト 入賞作品展」 銀座松坂屋本館7階催事場にて、11月13日の火曜日までやっています。 関西では、高槻松坂屋4階サロンカトレアにて 2008年1月10日(木)~15日(火)開催予定! ともに入場無料。

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