駆け出し記者の一期一会

2008/03/09(日)18:41

筆子再見と出会い

日常(40)

映画「筆子、その愛」をもう一度見た。 昨年11月の始めに見に行って、いたく感動したため、 実際に記事として取り組むことにしたご縁のある映画。 今回は友人と一緒だった。 障害のあるお子さんを大切に育てる日々と問題意識を綴ったブログを 毎日更新し続けている彼女に、本当は記事を書く前に会って話を聞きたかったが、 諸般の事情でそこまでできず、今日ようやく会えた次第である。 本日の上映会の会場は、世田谷の上北沢駅の近くにある 賀川豊彦記念・松沢資料館というところだった。 早めに着いたら受付にはもう現代プロダクションのスタッフが。 山田火砂子監督と井上プロデューサーもいらした。 友人を紹介できて光栄だった。 山田監督はざっくばらんで温かい、例の口調で、 「障害児の母」の先輩として、彼女にエールを送る。 人の輪がまた一つつながって嬉しい。一緒に来ることができてよかった。 同じ映画を再び見た今日、泣けて泣けてしょうがなかった。 ストーリー展開を知っているので、かえって 各場面を深く味わうことができたのかもしれない。 ああ、この場面でこんなことを言ってたんだ、と台詞の一つ一つを噛みしめ、 今日あらたに意味がつながったところもあった。 副題になっている「天使のピアノ」の音色も一層心に響く。 筆子を演じる常盤貴子さんのちょっとした首の傾げ方、目の伏せ方、見つめ方、 そして、子ども達に向ける微笑みに、何とも気品がある。本当にきれいな人だと思う。 また、滝乃川学園の子ども達の役の顔と名前がもっと一致した。 ダウン症の子ども達と劇団の子役たちが一緒に演じているのだ。 一人一人が実にいい味を出してて、そのやりとりがまたユーモラスでかわいい! 花子ちゃんが一生懸命作文を読んだだけで、もう私はウルウルしてしまう。 「わたしは とっても ほがらかよ」 この作品の大きな魅力である。子ども達の姿が見る者に訴えかける。 火事のシーンで、友達を助けようと火の中に飛び込んで行った理由も今日はよくわかった。 会場は100人ばかり入ってほぼ満席。 松沢資料館の一角にある礼拝堂である。 こじんまりしたスペースなので、あちこちで鼻をすする音がよく聞こえる。 苦難の道と知りながら困難な仕事に一生を捧げる人がいた。 この映画が伝える石井亮一・石井筆子夫妻の生き方。 この映画を作った山田火砂子監督の生き方もそう。 それは、周囲の人の心を動かす。そこから少しずつ世の中が変わってくる。 今日の会場が記念する賀川豊彦も、 そのような人であることを知ったのはもう一つの収穫だった。 明治21年生まれ。若き日、神戸のスラムに身を投じて貧しい人々の救済に専念し、 壮年時代には、労働組合運動、農民運動、協同組合運動、無産政党樹立運動に献身。 関東大震災が発生するや、東京にて、罹災者救済に力を尽した。 どんな時代にも、「世の中しかたがない」と決して思わない人がいる。 決してあきらめない人がいる。 だから、人の世に希望は必ずある。 そして、自分はどうするのか?と問われる。 「一遇を照らす」という言葉を思い出した。 「筆子、その愛 ― 天使のピアノ」の上映はまだまだ続きます。

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