2013/01/27(日)20:34
てんかん*黒澤明の精神病理
黒澤明の自伝「蝦蟇の油~自伝のようなもの」を読んでいたら、こどものころの記憶やその説明に興味深いものがあった。
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自分に何かしらのショックを与えた印象的な事象に関しては、1歳のころからの記憶があるのだが、小学校3年生ころまでその視覚的な記憶が「何であったのか」は理解していなかったらしい。
小学校でも、先生たちに、「黒澤君にはわからないだろうが」「黒澤君にはとても無理だが」といわれていたことに、とても傷ついてはいたものの、実際に周囲のいっていることがほとんど理解できず、クラスメートにもいじめられていたとか。
*実際には、いじめられていたことにも、気づかなかったこともあったようだが、ドッジボールをぶつけられ続けたというような事実の記憶は鮮明にあったらしい。
しかし、小学校3年生を過ぎたころから、「知能が遅れていた脳」は少しずつ「少年の脳」になっていき、それと同時に、泣かなくとも済むようになったらしい。
そのひとつのきっかけが、立川先生という先生に、一生懸命に描いたのに、友達に笑われてしまった絵をほめてもらったことだという。
やっぱり、美術教育に重要なことのひとつは、「自尊心」だなあと思う。
そして、この自伝以外に何か詳しい資料はないかと探したところ、「黒澤明の精神病理」という本があることを知った。
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「飯田橋シネマ通り」というブログによると、
<すごく大胆な仮説なんだけれど、
この本の作者は黒澤は自殺未遂をきっかけに、
しっかりと医学的にてんかんが診断され抗てんかん薬で
治療されたのではないかって。そして、てんかんが
薬でコントロールされるにともなって激しい気性が
変容していって、作風も変化したんだって。
作者も書いているけれど、そういう具体的な証拠が
あるわけではなくって、推測しているだけなんですよ。
しっかし、黒澤の作風がカラーになって以後に変化した
原因が抗てんかん薬の処方だっていうのは、かなり大胆で
豪快な説ですよねぇ。>
とのこと。
なるほど、そういう面から映画を観るのも興味深いですね。
しかし、たとえばラース・フォン・トリアーなんかを追っていったら、こっちが滅入ってしまいそうですが…。