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SAROMAN BLUE 鈴木健司

SAROMAN BLUE 鈴木健司

信越五岳トレイル激闘記~第4章~



(順不同・他店リンクあり)
後半にはファイントラックを用意していたが、この気温の状況からしても必要はないだろう。汗冷えは感じていない。次に長袖だ。いつも通りCWXのXFITHOTを用意していたので、ここは迷わず地肌に着用。次にスタートから着ている肩バランスアップアンダーを重ねて、パタゴニアTシャツからアディダスオレンジシャツに着替えた。
最後に迷ったのはジャケットだ。用意したのはアシックスのクロスジャケット!撥水性はあるが通気性を重視したタイプなので、蒸れずに着れる。ピックアップは勿論だが、着てスタートするかどうかだ。まもなく夜を迎える。次の6Aまでエイドもないので、途中で着るのは難しいだろう。黒姫に向けて登り中心となるので、歩きになる。よし、着てスタートだ!
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エイドに到着の度にニューハレの芥田さんにお会いする。ランナーのサポートに奮闘中だ。『気になるところは?』と聞かれたので、腰回りに疲れがあったのでニューハレ2枚貼り!をしてもらった。かなり楽になった。

続いて補給だ。温かい食べ物があると聞いていたので、リゾットのところに行くとラスト1つだった!ラッキー!まだ関門時間までは1時間弱あるのにこれからのランナーにないのは申し訳ないな。と思いながらも美味しく頂いた。更にエイドではスペシャルドリンクを飲んでお腹は満タン!遅れて到着した有里さんとも合流し言葉を交わす。

ザックの中身は、まずハイドレーションを満タンにし、スペシャル用のプロテインとカーボショッツを詰め込む。そして後半用のオキシショットも忘れずに!カーボショッツは単品でも摂れるように余分に持った。

夜間ラン用にはヘッドライトとハンドライトを用意。サンバイザーがヘッドライトの安定に役立つ。また寒さ対策でここまで温存していたニコちゃバンダナをネックウォーマーにして装着した!これで後半の準備は完了だ!

いざ信越五岳の核心部に向かってスタート!アートスポーツスタッフに応え、後半に挑む!

5A乙見湖エイド


信越五岳 - 102.jpg信越五岳 - 103.jpgまず乙見湖をあとにすると階段が続く。幾重にも続く階段はとても急だ。歩いて登り再び山の中へと入っていく。このトレイルは150メートル直線の道があると聞いていたが、フラットでとても走り易い。休憩の後と言うこともあり良いペースを刻むことができた。また山の中に入ってからはかなり暗くなってきていたので、時折ヘッドライトを付けて足元を照らす。甲州街道の際に使った物だが、明るいと思っていたが街灯もない山では少し不安に感じた。ハンドライトはかなり明るい物を用意していたので対応は可能だ。しかしドロップバックに用意していた交換電池を忘れてしまった!最悪の場合を考え、ハンドライトは温存することに。林道なども含めまだヘッドライトで対応できた。

かなり前後の間隔が開いてきているので真っ暗な中でのランとなっている。2007年にオレゴンで走った『HOOTTOCOAST』ではナイトランのLEG20を担当した。林道が続く10キロだったが、天気も良く月と星が綺麗だったのを思い出して、今回もわざとライトを消して走ったりもした。しかし天気は曇り・・・星空は当然見えなかった。

信越五岳 - 104.jpgトレイルから林道に降りてくると70キロの表示が!

70キロ 12時間34分 2時間34分

第2関門からおよそ4キロ。5Aでの休憩は30分。まずまず走れていると言う感じだ。10キロ2時間30分として残り30キロで7時間30分と言う計算だ。これで行けばゴールに20時間前後・・・?行けるかな?
ここからの林道は4キロ弱と聞いていた。黒姫に向けての登山道入口まで砂利道が続く。
この付近でお客さんのKご夫妻にお会いした。3A以降エイドで追い付かれ、第2関門で前を走っていた。ご主人が引っ張り、奥さんが付いていくスタイルで林道では自分よりも先行していた。
林道は4Aからのようにキツイ感じはなく、なだらかに登っているので走れるところもあった。そして登山道入口までは以外と早く到着することができた。
この入口にはスタッフが給水をしてくれていた。
アシスタントポイントではないので簡易的ではあるがありがたい。


信越五岳 - 105.jpgそしてまた登りが始まった。この辺りはアートスポーツスタッフが試走をしていたポイントなのである程度のイメージはついていたが、暗闇の中では全く一致するものではなかった。
とにかく登り!足場はさほど悪くないのでコツコツと登っていく。途中Kさん達をパスし登り続ける。黒姫も山頂には登らないのでまだ安心だ。ある程度登れば下りが待っている。
我慢我慢の連続になってきたが、ようやく分岐点でスタッフの明かりが見えてきた。『登りはここまでです!』との声に安堵感に包まれた。
低血糖気味になってきたので、『ちょっと休憩していきます。』と言うとスタッフさんがイスを貸してくれた。『ありがとうございます!助かります!』

後続のランナーのライトが見えてきたので、到着する前にスタートした。この先の下りは古池まで続く。確かテクニカルな岩の多い場所だったはず。下りならばと気持ちを切り替えて進む。しかしこの下りで体力の消耗を促進するなど知るよしもなかった。

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ここまで雨は降っていない。気温も下がらず全く寒さを感じずに動けている。下りに入ればより汗も掻かず快適に過ごせるだろう。
しかし足下がおぼつかない。ゴロゴロとした岩が足の置き場を探しながらのランにさせる。木の根は滑り、コケを帯びた岩は踏み込むだけでツルツルだ。上手く足場を確保するランナーも多く、時折後ろから明るいライトが照らし出してくる。

こんなに下りが続くだけで神経を尖らせ気を使うとは思わなかった。予想以上に汗を掻き、体力の消耗を感じてきた。進めるが故にカーボショッツなどを摂らずに下りてきたのも誤算か?

ようやく古池まで1キロの案内板があってなんとか気持ちに余裕ができた。やっと下りが終わる。
この下りに掛かった時間はどのくらいかわからないが、前半の4Aからの林道の登りより辛かった。


信越五岳 - 108.jpgようやく到着した古池。左周りで進む。遊歩道の木板が続いている。脇には右側落水注意!の看板が・・・。この暗がりで足元を滑らせたら池の中だ!危ない場所はないが、歩いて先を急ぐ。と、注意力散漫だったのか?躓いて池と反対側に倒れ込んだ!危な~い!そこへRさんが登場!また一緒になりましたね。

古池の対岸にはランナーのライトが見える。あそこまで行くのか?あそこから来たのか?まったくわからない。とにかく進むだけだ。危ない池の脇は過ぎたが、平坦な所でもほとんどが早歩きしかできていない。早く6Aに到着したいが、80キロはまだか?70キロから途方もなく動いている気がする。

すると80キロの表示が目に入ってきた。距離的にはあと20キロ。あとは経過時間が気になるところだ。

80キロ 14時間59分 2時間25分


あと20キロと言う距離が安心感を感じさせる。しかしカラダはキツイ状態が続く。まもなく6Aに到着できるはず!その気持ちだけで進んでいた。しばらくするとアスファルトに出た!彼方に霞む明かりは6Aだ。(ピンぼけなだけですが)

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本当にようやく・・・の言葉がピッタリで着いた6A。ここではコンソメスープが迎えてくれた。Rさんと共にイスにどっかりと座り一息つく。他に口に入れたいが、なかなか手が伸びなかった。トイレはこの先1.2キロ先になる。トイレ休憩含めて先を急ぎたいが、休みたいカラダが脚を動かさない。深くストレッチをしながら呼吸や気持ちを落ち着かせ、回復に努めた。この後のトイレまではアスファルト。走れるかはわからないが、じっとしているよりはましだ。決めたらすぐ行動!早歩きでエイドをあとにした。

6A


アスファルトの道はいらんことに坂道だ!この誤算に気持ち的にもダメージは大きかったが、とにかく進むだけだ。なんと1.2キロが長かったことだろう。ようやくランナーが右に折れていくのが見える直線に入った。まもなくトイレだ。

ここではトイレ大を済ませる必要もあった。並んでいることもなく、無事に座ることができた。ガス欠な雰囲気もあり、集中力が低下している。用を済ませてからトイレの建物前に座りカーボショッツを摂る。この状態に陥ってくると後が厳しい。5Aまでは順調。しかし黒姫の下りからペースダウン。そして回復に至っていない。

途中の補給はどうだったか?水分中心でお腹に固形物を入れるのが少なかったようだ。また予想以上に気温が高い。雨も降らない。この気象条件が、汗をたくさん掻く状況を作り出しているようだ。今着ているジャケットをどうするか?雨がこの後降る可能性は高い。と、考えていると黄色いジャケットを着た西野君が通り過ぎようとしていた。思わず!『西野君!』『あ~!健さん!』一緒に行くべく、急いでザックを背負ってスタートした。

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『時間的にギリギリですね。』と西野君。
『いやまだ大丈夫でしょ!』
『8Aが22時30分だったと思うんですよ。』
『ん?いや23時30分だよ!最後に3時間30分残したかったんだけど、関門が23時30分だったから4時間取れると確認したから間違いないよ!』
『いや、どうだったかな~?』と不安な西野君。

追い越すランナーに聞いてみた。
『8Aの関門時間は何時ですかね?』
『23時30分ですよ!』
『ありがとうございます!23時30分みたいです。良かった~!』
時間に関しては問題ない。
ギリギリで8A到着では厳しくなるので、23時には到着しておきたい。


信越五岳 - 113.jpgこの先のコース状況を知りたかったので、西野君に質問しながら走っていく。
『戸隠神社の参道まではどのくらい?そこまでに登りはあるの?』
『いやそんなにないですね走れるところが続きますよ!』
よし!ならば大丈夫だ!1人よりも2人の方が自然と足取りも軽くなる。
程なくして戸隠神社奥社に向かう参道に到着した。
そのタイミングでいよいよ雨が降り出してきた。

参道と言ってもまったく街灯はない。足元は砂利道になっていて少し脚をとられるところもある。
早歩きで進んでいたが、西野君が『ここからは走って行きます!』
『オウ!頑張って!ありがとう!』とガッチリ握手をして送り出した。
緩やかに登っている。なかなか終わりの見えない参道を早歩きで進む。
門に到着すれば再びトレイルになる。我慢我慢!
と、西野君の足取りもが重い。
すぐに追い付くと『くるぶしと膝が痛くて。』と、また一緒に歩き出した。


ようやく着いた門を左折する。この先のエイドまでの距離を尋ねるとあと3キロだと言う。はて?8Aまで3キロってことはないよな。こちらから距離を確認する際にはある程度プラスに考えないと後で痛い目に遇う。大体の距離だと思っていこう。実際7Aの鏡池のエイドが存在したので、4キロはないくらいで到着した。話に聞いていた鏡池は見る影もなく、真っ暗!当然だ。せっかくなので石碑をパチリ。

ここへ来て急に吐き気を催してきた。なんでだ?エイドの手前の暗がりに入り、何度か繰り返した。水分ばかりなのは当然なこと。5Aの物はしっかり消化していた。出し切った感じで少しフラフラになったので、とりあえずコンソメスープで喉を潤す。西野君と作戦を練り、ここで少し長めの休憩をしてからスタートしようと決めた。雨が再び強くなってきたが、森の中なので激しく打たれることはない。エイドの方々と話をし気分転換をして7Aを後にした。

7Aにて


第3関門予定だった7Aの距離は86キロくらいだったはず。変更になった第3関門の戸隠神社中社は90キロだ。あと4キロで関門時間には余裕がある。関門30分前の18時間を到着予定としよう。この疲労感はサロマ湖の80キロ通過に似ていると思った。落とせないペース、力石モードが少し顔を出し始めたこの感じが、いよいよレース終盤を感じさせる。

時刻は22時18分。スタートから16時間48分が経過していた。8Aの関門まであと1時間12分だ。

7Aでの休憩が功を奏しやや登りとなる8Aまでの道のりに向けて少しだけ元気になってスタートできた。気持ちで負けてはダメだ。気を抜くと恐らくまた力石モードが顔を出す。集中集中!と言い聞かせ、カーボショッツとオキシショットを飲み込んだ。リズムをしっかり作るためにも、西野君の前に出て引っ張っていく。8Aに着いてしまえばこっちのもんだ!あとはなんとかできる!その気持ちだけは捨てなかった。

歩くしかないが、ゆっくりではなく早足で進めている。集中力を保てたことで8Aまでの道は遠くなかったが、明かりが見えてからの安心感から一気に疲れが来てしまった。

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信越五岳トレイルランニングレース激闘記~第1章~

信越五岳トレイルランニングレース激闘記~第2章~

信越五岳トレイルランニングレース激闘記~第3章~

信越五岳トレイルランニングレース激闘記~第5章~


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