2006/10/15(日)22:32
台湾お茶旅行記(19)-上園茶荘でお茶飲み倒れ(後編)
長い長い上園茶荘のお茶時間。
前回の続きです。
高山茶は、さっき、飲んだ福寿山でもう十分。これを最後に買って帰ろう。
そう思っていました。
そこで、ちょっと毛色を変えてみます。
東方美人
を所望してみました。
実は、この店へ来た理由は、これであります。
噂では、ここの東方美人は絶品とか。
東方美人は、白いモノが多いほど上級という話を聞いていました。
しかし、林さん、それだけでは無いと。
林さん:白いのが多いのは、当たり前。そうじゃなきゃ東方美人じゃない。でも、赤っぽい茶葉があるでしょう?これが甘さを作り出す。これが多い方が上等品
とのこと。
ウンカが噛んだ茶葉がそういう色になるのかもしれません。なるほどなぁ。。。
東方美人、このお店の上級と最上級の2つのものを試させてもらいました。
●東方美人A●
●東方美人B●
どちらも香りは素晴らしい。
そして、口に含むと、甘みが広がる。トロンとした甘ーい東方美人。
実際に飲んで比較してみると、確かに最上級品の東方美人Bの方が、戻りの甘みがある。
これが品質・赤い茶葉の多さの差か。
…が、私が知っている東方美人の戻りの甘みはこんなものではない。
今一歩、物足りないのだ。
#台湾茶の味に関しては、飲み慣れているだけに、妙にシビアなあるきち。大陸のお茶は、ヒヨッコなので、まだ良く分かんないんですがねぇ。。。
それとなく言ってみたら…
林さん:今年の東方美人はあまり良くない。他のものの方が良い
…やっぱり。。。(-_-)
残念ですが、東方美人は買うのをあきらめました。
#結局、どこに行っても良品には出会えませんでした。今年は難しかったみたいですねぇ。
そして、高山茶に戻ります。
林さん、自信たっぷりで出してきたのが、
●阿里山の冬片●
冬片とは、冬の時期にホンの少しだけ収穫できるお茶。
寒いので成長が極めてゆっくり。そのため、旨みが多い、というのが林さんの説。
「極める台湾茶」では大絶賛されているお茶です。
冬片は飲んだことが無かったので、
ほほう、それは楽しみですなー
と飲んでみた。
えっと…
期待に沿えず、大変申し訳ないのですが…
普通の(むしろ弱々しい味と香りの)高山茶のような気が。。。(-_-)
そんなに大騒ぎするほどの価値があるものとは思えません。
…という表情を見せていたら、
林さん:去年の冬片はあまり良くなかった。良いときはこればかり買い集める
とのこと。
やっぱりね。。。
#だったら最初からそう言ってよ(-_-)
そして、凄いお茶が登場します。
さっき飲んだ福寿山より、美味いお茶です。
お気づきですね?福寿山より、もっと、高い標高のお茶があります。
そう、昨日通ってきた…
大・禹・嶺
このお茶を林さんは出してきました。
●大禹嶺●
さっき、福寿山で十分に満足していた私です。
標高が400mか500m違うぐらいじゃ、実際のところ、そんなに変わんないんじゃないの…
そう思ってました。
し・か・し
茶杯に注がれたお茶の香り。。。
一口、ゴクリと含んだ時の感覚。。。
ゴメンナサイ、全く別次元でした (T_T)
先ほどの福寿山が、エレガントというか女性的というか、女王様だとすると、この大禹嶺は、まさに、
ワイルド・男性的・王様
という感じの味わい。
ガツンと強烈にきます。しかし、全く嫌味がない。
香りの高さ、味わいの深さ、どれをとってもまさに超一級品です。
高山気って、これのこと?とかなりハッキリ分かるお茶です。
茶碗で素朴に淹れているので、雑味やえぐみが出てもおかしくないのですが、一切出てこない。
ふわ~、こんなお茶がまだ出てきたか…
と、ショックのあまり言葉を無くす、あるきち。
…
…
ま、参りましたm(_ _)m
いやはや、大禹嶺、そして上園茶荘、恐るべし。
しかし、ビックリするのはまだ早い!
ここの茶荘は、
リーズナブルラインも、コストパフォーマンス抜群
なのでした。
というか、こちらの方がここのお店の凄いところ。
打線に切れ目がない野球チームのようなものです。ハズレが少ない。
店の端っこに焙煎機があるのを見逃さなかった、あるきち。
あるきち:自家焙煎されるんですか?焙煎が強目の方が好きなんですよね。
と言ったところ出てきたのが、
●焙煎強めの凍頂烏龍茶●
最初に飲んだ凍頂烏龍茶とは全く別物。
しっかりした焙煎のおかげか、むりやり清香系に仕立てた凍頂烏龍と違って、生っぽさが無い。
その分香りの立ち方も良いし、口当りと味がまさに私好み。
これは旨い!
お値段もリーズナブルなので、普段飲み用には最適です♪
あるきち:焙煎といえば、木柵(鉄観音)ですが…。木柵は扱ってますか?
林さん:木柵飲むの?
あるきち:大好きなお茶ですねー
と言ったら、出てきたのが、
●木柵鉄観音●
最上級品ではない、との断りがあって出てきたのが、このお茶。
材料がそもそも無いので、焙煎のしようが無いとのこと。そりゃそうだ。
飲んでみました。
確かに、喉に落ちる時の清涼感は今ひとつ。
しかし、木柵らしい熟した果物系の香りはきちんと出ていて、なかなかの良品。
これも普段飲みの鉄観音としては、実に良さそう。
林さん:冬には、もっと良いお茶が入るんだけどね。
あるきち:いつ頃?
林さん:12月20日以降。年末年始が一番いい。
あるきち:必ず来ます!!(年末年始の台北行き確定~♪)
#木柵の美味しいのがあると聞くとねぇ(^^ゞ
いやはや、こんなもんだろう、と思っていたら、また出てきた。
●ジャスミン茶A●
●ジャスミン茶B●
あるきち:ジャスミンは苦手なんですよね…
林さん:うちのは夏茶とかを使わずに、春茶でやってるので、茶質が豊富。だから、ほら…
あるきち:ホントだ…茶葉がすぐに底に沈んじゃう。。。しかも、茶水が透明?濁るのが当たり前と習いましたが
林さん:それは本当に美味しいのじゃないから。
ということで、最初に通常品のジャスミン茶Aを飲んでみました。
#念を押しておきますが、私、普通のジャスミンが飲めない人です。
えーーーー、これがジャスミン??
ジャスミンの良い香りだけで、あの生っぽい緑茶の嫌な香りがしない。
これは(ジャスミン茶嫌いのあるきちでも)飲める!しかも旨い!
こんなジャスミン茶は初めてだ。。。
上級品のジャスミン茶Bはそれよりも香りが華やか。
しかし、飲んだ時のインパクトはジャスミン茶Aと大差が無い。
お買い得なのは、どうやらこちらだと思う。
さらにさらに、林さんは、独自の聞茶理論(良いお茶はすぐ沈む)をプーアル茶にも応用。
●プーアル熟茶●
なんと、林さんプーアル茶まで進出している。
これは、普通の熟茶なんだけれども、洗茶しなくて良いとのこと。
ホントに洗茶をしてくれない
えー、ホントにこれで飲むのぉ??
と恐る恐る、半信半疑で飲んでみた。
…
あら、美味しい(^^♪
お値段も安いようなので、普段飲みにはいいかも。
#ただ、素性が何だか分からないので、ちょっと手を出しにくいな…
と、いうわけで、詳細な解説付で全部で12種類のお茶を飲み倒した(^^ゞ
あー、気がついたら時間はもう8時半を過ぎている!!
ということで、
・大禹嶺を100g
・木柵鉄観音を1斤
・焙煎強めの凍頂烏龍を1斤
・ジャスミン茶を1斤
ほど注文。パッキングしてもらう。
お値段は確かに安い。
日本で買ったら、おそらく3倍はすると思われる価格。
#買ったお茶の詳しいテイスティングレポートは、のちほどアップしますです。
林さんは、お茶を教えようとする気持ちが強すぎて、
ちょっとなぁ…
と思うことがあるかもしれませんが、お茶を選ぶ目は確かですし、とてもいい人です。
何よりも、商売っ気があまり無くやっているので(林さんは、ビル持ちなので、別に仕事しなくても生活できるんです)、驚くほどリーズナブルにお茶が手に入ります。
一度行けば、買ったお茶がカルテ代わりになるので、好みのお茶を紹介してくれるそうです。
#私は焙煎したのが好き、ということになっています。確かにそうかもなぁ。。。
結局、お店を出たのは9時過ぎ(-_-;)
林さんに近所の美味しいお店と教えてもらった、丸林魯肉飯も既に閉まったあとで、さすがに、この時間から士林に行く元気も無く、ホテルへ戻ったのでした。。。
上園茶荘、ディープな台湾茶の世界にハマりたい方にはオススメのお店です。
#ただし、話が長いのは覚悟して下さいね~(^_^;)
明日は、さらに茶荘をハシゴします♪
懲りずに、まだ飲むんですね、これが。。。(^^ゞ