中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

2008/12/24(水)23:00

安渓鉄観音・秋茶(感徳)

お茶(261)

寒露の頃、福建省安渓県では安渓鉄観音の2回目のクオリティーシーズンを迎えます。 この時期に収穫されるお茶が、鉄観音の秋茶。 安渓鉄観音 秋茶(今古茶籍) 鉄観音、春茶は爽やかさがあるのですが、香りの高さは断然、秋のお茶です。 春茶は収穫の期間が長いので産量が多いのですが、秋茶は収穫できる時期がピンポイント。 なので、産量が少なく、希少価値もあるお茶です。 特に香りを珍重される安渓鉄観音ですから、茶通な方の中には、秋茶を指名買いする方がいらっしゃるぐらいです。 このお茶は、今年の10月10日に作られた安渓県感徳のお茶。 少し低気圧優勢な気候だったそうで、春っぽい感じのお茶に仕上がっているそう。 蓋碗で淹れました。 香りを音に喩えて表現すると、突き抜けるような高音はないけれども、高音域がとてもたくさんあるイメージのお茶。 香りが高いところで共鳴しているような、そんな香りの豊かなお茶です。 どちらかというとスロースターターなのですが、3,4煎目あたりから本来の甘さが出てきます。 口当たりも非常に柔らかく、それでいて喉に落ちてから甘みを口から喉にかけて全体で感じることができるようなお茶です。 これは美味い(^^♪ しかも、恐ろしいことに煎をずーっと重ねていくことができて、なかなか破綻しません。 普通の鉄観音は、どこかで生っぽさなどに変わってしまうのですが、これは煎を重ねていっても、徐々にボリュームを絞っていくような感じで、静かに消えていく感じがあります。 いやー、このお茶、さすがですね(^^) #ブレンドをしていないお茶なので、量ができません。予約分で完売。 さて、鉄観音は一般的には春と秋の気候の違いが、春茶と秋茶の味わいに違いを生み出していると言われています。 これは、お茶の蘊蓄としては正しい。 しかし、「なぜ秋茶は香りが高くなるのか」という知識のバックボーンがある人にきちんとお話を伺うと、この言葉の重みが全く違います。 予約していたこの鉄観音を受け取りに今古茶籍へ。 「秋茶と春茶の違いは、どこから来るんですかねぇ」と何気なく簡さんに聞いてみました。 ・・・いきなり、安渓県の地図が登場(^^;) 安渓の山がちな地形、水脈の多さなど地理学的な話から、秋にやってくる安渓独特の気候についての解説を受けます。 さらに、飛行機の機内から安渓上空を撮影したという証拠写真も提示されます((((((^^; 安渓上空だけ、雲のかかり方が違い、寒気の入り込みがあるのだそうです。 それが秋茶の香りの理由だと。 むー、こういうところまで突き詰めて説明ができる方は、あまりお見かけしません。 現地に入り込み、その理由を追及してきて10年にもなる方だからこそ、説明ができる内容です。 そんな地理学の話だけでなく、安渓の農家の経済状態や品種の話、土壌が畑によって違うこと、生産工程の話、ブレンド技術などなど、どんどん話が出てきます。 恐るべし、簡さん。 ※私、どのくらいの知識があるかということは、簡さんに既に把握されています。 そんなわけで、チラリと話を聞くと、今回のような大講義になるわけです(^^;) 初めて来た方に、いきなりこういうことはしませんので、お店に気軽に足を運んでみて下さい。 お茶を飲みながら、楽しいお話を聞き、自分にあったお茶を選ぶことができます♪ そんなマニアックなお話を聞いていて思ったのは、お茶を本当に究めていこうと思うと当地の文化や歴史はもとより、地理学、農業経済学、植物学、地質学などなど、本当に色々な分野が関わってくるなあ、ということ。 碩学にならねば、お茶は究められません。 お茶に本当に詳しい方ほど、謙虚な姿勢を持つようになると言われていますが、その理由は、お茶の本当の奥の深さを知ってしまったがゆえなのではないかと思います。 まさに無知の知。 実るほど 頭を垂れる 稲穂かな 本物の茶人に、全く嫌みのない方が多いのは、こんな真理をよく知っているからなのかもしれません。 #まあ、ゴルフと一緒で、教えたがりな人もいないと普及しないんですがね(^^;) 私は、その境地にほど遠いですねぇ・・・(^^;)

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