中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

2011/03/20(日)13:12

復興のお茶

茶の種類・品種(50)

あれから、早くも1週間が過ぎました。関東地方も震災の直接的な被害は少なかったとはいえ、 計画停電の影響でデパートや駅ビルが夕方5時には閉まってしまったり 突然電車が運休になったり スーパーから品物が消える     etc...まだまだ日常に戻ったとは言えない状態が続いています。もちろん、被災地の方の苦労に比べれば・・・という思いはありますが、やはりストレスが掛かっているからか、道行く人の表情も曇りがちです。しかし、 これではいけません  やはり、被害の少なかった地域が早く立ち直って、被災地の復興をサポートしていくだけの経済を回していかなければなりません。それこそが、一般人の私たちにできること。 どんよりしている場合ではありません。そのためには、気分をきちんと切り替える必要があります。気分転換には、やはりお茶が最適でしょう!  ・・・という、華麗(強引?)な三段論法で、自粛続きの空気を読まずに、お茶ネタを復活させることにしますw * * * * * * 本日のお茶は、こちら。 蜜香烏龍茶 台湾の烏龍茶です。 蜜のような香りのするお茶ということで、蜜香烏龍茶という名前がついています。 地域によっては、貴妃茶とか貴妃美人茶という商品名がついていることもありますが、基本的には同じものです。 このお茶、一般的には害虫と見なされているウンカに咬まれた葉を原料として作った烏龍茶です。 害虫と見なされているというのは、ウンカに咬まれると主に 1.葉が縮んでしまい収穫量が激減する 2.色が変わってしまう 3.苦みが出やすいお茶になってしまうという悪影響が出るためです。 色あいを重視する緑茶においては、このような茶葉は原料として不適格・・・なので害虫扱いされてしまいます。 ウンカの発生を抑えるために農薬が使用されたりもします。 逆に言うとウンカの力を活かしたお茶ということは、農薬の使用が限りなく少ないと考えられます。 さらに周りにウンカが生息できるような自然環境があることも条件となります。 その意味では自然にも優しいお茶だと言えると思います。 さて、ウンカに咬まれたお茶というと東方美人が有名ですが、蜜香烏龍茶は凍頂烏龍茶のように丸まっている茶葉です。 東方美人とは茶葉を摘むタイミングも違いますし、作り方もちょっと違うんです。 発酵の作業と揉捻(揉み込み)の作業が違うのです。 * * * * * * 前置きはこのぐらいにして、お茶をいれましょう。 蜜香烏龍茶は、ややもすると渋みが出てしまうこともあるので、ちょっとお湯の温度を下げた方が良いと思います。 沸騰して一呼吸置いたぐらいの温度、数字で言うと90度ぐらいでしょうか、で淹れた方が美味しく入るのではないかと思います。 いつも通り蓋碗で淹れたのが、こちら。 発酵が少し重く、焙煎もかけてあるので、色は少し濃いめですね。 飲んでみますと発酵度が高く、焙煎も効いているので、しっかりとした味です。 茶摘みの時期的に遅いお茶なので余韻という点では、さほどでもありませんが、喉元に残る甘さは、ウンカによる独特の香りを有したものが感じられます。 熱々の時よりも、少し冷ましてから飲むと甘みがより一層際立つようです。 そして、このお茶、何と言っても香りが良いですね。 飲み切った茶杯の底に残る香りが、とても甘いです。 聞香杯を使うともっと楽しめるかもしれません。 うーん、なかなか良いのではないでしょうか(^^) それにしても、このお茶は、随分丁寧な仕事で作られているお茶だと感じます。 根拠はこちら。 茶葉の形が整っており、茶摘みもしっかりと手を抜かずにやっていることが感じられますし、発酵の作業も丁寧です。 焙煎も上手にかけられていて、雑味を上手く飛ばしているように感じます。 さらに味わいから見ると、茶園の管理もきちんとやっていると思います。 お値段を出せば、これより美味しいお茶はあると思いますが、非常に丁寧な仕事ぶりに好感の持てるお茶です。 このお茶に携わってきた人は、みんなすごく真面目な人たちなんだろうと思います。 * * * * * * ・・・さて、このお茶を取りあげたのには、実は理由があります。 このお茶が生まれるきっかけとなったのは、1999年、台湾で起こった921大地震の時のことなのです。 台湾中部で起きたマグニチュード7.6の地震で、2000名以上の犠牲者が出ました。 この地震で特に大きな被害を受けたのは、内陸部の南投縣。 凍頂烏龍茶など、台湾の茶処として有名な地域です。 大きな災害に遭う中で、茶摘みされることなく放置されてしまった茶畑には、ウンカの被害が及んでしまいました。 普通ならそのまま廃棄・・・となるところなのですが、そこでくじけませんでした。 被災した農家の方が、製法を工夫して作り上げたのが、まさにこの蜜香烏龍茶なのです。 復興の中で生まれた、新しいお茶。 未来を信じ、災害に負けないという気持ちが、新しい価値を作って行きます。 台湾の人たちが、今回の震災に関心を寄せているのは、そういう背景もあるわけです。 彼らにとっては、決して人ごとじゃないんです。 →4時間で21億円!台湾で震災支援番組 5億円出す人も ちなみに、今日のお茶はこちらで買えます。 お母さんのためのセレクトショップ 花麹 安心できる食材や生活用品を扱っておられるのだそうです。    お茶飲んで前向きに行きましょう♪

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