「歩きつなぎの旅」の記録

2007/12/14(金)10:39

【四国遍路28日目(前編)】

(完結)四国遍路(77)

2003年12月29日(月)快晴のち曇 05:30起床、06:30「栄屋旅館」を出発。まだ起きていないようなので、そっと外に出る。数m歩いたところで宿の主人が玄関から、「寝過ごしました。ありがとうございました」と見送ってくれる。今日は横峰寺の山越えだが、距離は27kmほどと短い。明るくなるにつれ、石鎚の山並みが快晴の空に浮かび上がる。 滅多に車の通らない山間の道を、立ち止まると寒いからひたすら歩く。08:30登り口の「四国のみち」休憩舎。ちょうど車のおじさんが来たので、このひとも山歩きかと思ったら、すぐ近くの清水を汲みにきただけだった。歳末のあわただしいときに山歩きをする物好きは、そうそういない。 ひと息ついてから、2kmの山道を登り始める。誰もいない山の中は、少し気味悪い。倒れかけた竹が別の竹と擦れあう音、・・・ひとの呻き声に聞こえる。汗が流れるのに、背中や脇は冷たい。途中で休むことなく、50分で一気に第60番横峰寺まで登り切る。 標高740mの境内では、水屋から溢れた水がアイスバーンを作り、屋根から落ちた雪は融けずに固まっている。納経所には着膨れしたおばあさん。暖房しているとはいえ、きつい仕事だ。一昨日遍照院で会った野宿遍路氏のことを尋ねてみると、「見ていないと思うけど。寒いから歩きのひとは少ないし。大頭から?早いねえ」。 長い下山道にかかる。はじめだけ車道だが、すぐ山道に変わる。たくさんの丁石と標石に、真新しい赤い前掛けが結んである。裏側に女性の名前と84歳という年齢。目の前を雉が駆け抜ける。 かなり下ったところで、登ってくる遍路が見える。遍照院の野宿遍路氏だ。途中で合流すると言っていた連れも一緒。「やっぱり会いましたねえ。こっちから登ったんですか」と聞くと、「香園寺にテントを預かってもらって」との答え。荷物をデポできる香園寺からのルートで来たようだ。「また会いそうですね」と別れる。山道も終わり近くの休憩所、パンとコーヒーで昼食にする。 (後編につづく)

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