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ぶんたろ0118

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1月9日
生後7ヶ月20日

マレーシア最後の日、午前中に一生懸命パッキングにはげむ。
20日もこちらにいただけあって、色んなところに色んなものが分散し、パッキングもなかなか容易ではない。
われわれが帰り支度をしている横で、母はわれわれの痕跡を消す作業に没頭している。
われわれが帰った後に、その後始末をするのは寂しさが倍増していやだからだそうだ。
その気持ちはとてもよくわかる。残されるほうは本当に寂しいものだ。
いつも母が日本に来るときは、自分が帰る前に自分の痕跡をきれいさっぱりなくしてから帰ってくれた。
だからそんなに母を思い出して寂しい思いをすることもなかったのだけど、いつも最後に私のご飯とぶんたろうのご飯を何食分か冷蔵庫に用意して帰ってくれるので、それを見ると一気に寂しさが襲ってきたのを覚えている。
ぶんたろうと「お母さんが作っていってくれたご飯食べようね、、、」と2人でそのご飯を食べたものだ。
夏海はお父さんもお母さんもおばあちゃんもバタバタと忙しくしている中、おじいちゃんに担当を割り振られてしばし遊ぶ。
というか、遊んであげる??
アドレナリンが回っているらしい父が一人でぺーらぺらしゃべりまくっている。その様子はどう見ても普通ではない。
ちょっとのぞくと夏海はおじいちゃんの顔をじーっと眺めてはあまり近づきすぎると手で顔をガードしてそれ以上近づかないように手で押し戻したりしていた。
でも、結構長時間おじいちゃんと一緒に待っていてくれた。

皆で昼食に出かけることになった。
車でレストランに向かう途中、いつも母がご飯をあげていた黒いわんちゃんに今日もご飯をあげようとしたが、車を止めた時には振り返るとそのわんちゃんはどこかの車にひかれて道路に横たわっていた。
ひかれたばかりで、まだ死んではいない彼女を大急ぎで車に乗せて近くの獣医さんに駆け込んだけれど、内臓破裂を起こしていたようで処置をしてもらったにもかかわらず助からなかった。
連日こんな現実ばかりで、正直過酷だと思った。毎日毎日何かこんな事件があって母がどんどん精神的に憔悴していくさまを見ているのもつらかった。

母がわんちゃんの治療についていなければならなかったので、母が嫌いな日本食レストランだというのも承知の上で、獣医さんから一番近いレストランでわれわれは先にご飯を食べていた。
私は犬のことを考えていて正直上の空だったのだけど、夏海ちゃんはそんな私の思いもよそに、座敷席が楽しくて仕方がない様子でハッスルしまくる。
最近はいつもいつもご飯の時に「座りなさい」と言われてばかりで面白くなかったようで、今日は好きなだけ動き回り、テーブルにダイブしながら食事タイムを楽しむ。
夏海のために銀だらのおなべを注文すると、夏海は昨日に引き続き今日も銀だらを楽しむ。
途中で母が合流し、助からなかったかわいそうなわんちゃんを思って私は更に気分が沈んだが、夏海の屈託のない楽しそうな様子を見ていると気分もまぎれる。
夏海はまだ2回食だというのに、お昼ご飯をもりもり食べてレストランを後にした。

出発前、母は空港まで行くと余計に寂しいから、と空港にはついてこないことにしていた。
夏海がSARAとお別れの挨拶をしながらきゃはきゃは笑っている。
SARAも名残惜しそうに何度も私に抱っこされている夏海に手を伸ばして抱っこする。
18時くらいに出発しようか、というとき、母が気を変えてやっぱり空港まできてくれることになった。
正直ついてきてくれてよかった。
私も今回はあまりに長期に滞在したためと、夏海をつれて滞在したことで今までとは全然違う思い入れを持ったので、マレーシアを去るのは何だか寂しかった。
母は空港まで来てくれるものとまったく心の準備をしていなかったので、母がついてきてくれなかったら車の中ですっぽり心に穴が開いたのは私のほうだったと思う。

夏海は昼間から普段と違う様子に興奮してハッスルし、車の中でも寝ない。
散々寝かしつけようとがんばっても、眠いくせに必死で抵抗して寝まいとする夏海に私はだんだんイライラし、最後にかんしゃくを起こして母が私と代わる。
あとで考えると、夏海は夜の離乳食を食べていなくて(空港で皆で中華を食べる予定だったので、夏海もそこで一緒に、、、と思っていた)お腹もすいていたので余計に眠れなかったようだ。
私はいつもこういう、夏海のせいじゃない時に夏海にあたる。

空港の中華ではベビーチェアに座ってパクパクものすごい勢いでご飯を食べる夏海。
途中少し眠くてぐずったりもしていたが、やっぱり今日がお別れの日だと知っているのか、持ちこたえる。
おじいちゃんとおばあちゃんが夏海が足をベビーチェアの机に投げ出している様子や、うれしそうに笑う顔を見て、「やっぱりこの子はめちゃくちゃかわいいな!!」と名残を惜しむようにコメントする。
夏海は、私が差し出したグリーンアップルジュースの大きなコップからストローで上手にジュースを飲むのに成功した。
最初はブクブクとふいていたのだけど、何かのきっかけですぐにコツをつかむと今度は皆に褒められて得意そうにちゅーちゅー吸う。
ただ、このアップルジュース。われわれには甘く感じるのだけど彼女にとってはすっぱいらしく、うまく吸っては「すっぱ!!」という顔をして目をつぶっていた。

うちの両親と別れるとき、皆で記念写真を撮って、おばあちゃんが「夏海ちゃんバイバイね」というと、すっと5本の指を開いた手をあげてバイバイする。
あんなにはっきりバイバイしたのは初めて見た。
きっと、「ここはちゃんとバイバイすべきところ」だとわかっていたのだと思う。
夏海の目もとても真剣だった。

空港でハプニング。バシュネットを確保するなら、旦那とは席が離れる。席を一緒にするならバシュネットはなし。という2者択一を迫られる。
しばしねばったが埒が明かないので、「じゃあ、バシュネットは絶対必須だから席が離れてもいい」とリクエストした。
それなのに、実際に飛行機に乗ったらバシュネットの席が確保されていなかった。
激怒したけど、結局バシュネットはすべて満員でもうどうしようもなかったので諦めると、スッチーさんが3つ続きの席を確保してくれた。

夏海は飛行機に乗る前に待っていた搭乗口で、ガラスに写る私と夏海の姿を見ては「おっかぁしゃ」とうれしそうに笑って甘えていたが、しばらくそうやって二人で仲良くお話したり歌ったりしているうちに眠ってしまった。
私がバシュネットトラブルで激怒している間も寝たままで、更にその後席について離陸した後、私と旦那の間の席に寝床を作ってあげてそこに夏海を下ろすと、そのまま気持ちよさそうに寝ていた。
結局6時間くらいのフライトの間、2回ほどおっぱいで起きたが、ずっと眠り続け、着陸の3分くらい前に割とご機嫌でお目覚め。
目覚めた途端に「ここどこ?ここどこ?」と周りをきょろきょろして驚いた顔をしていた。
飛行機に乗った時にはもう寝ていたから。
私が「飛行機に乗っているのよ。もうあとちょっとでついちゃうからね」と説明してあげると、「へぇぇぇ」と更に目を大きく見開いて、寝ていて全然楽しめなかった飛行機の中の観察を一生懸命しまくっていた。






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Last updated  2005.01.10 22:40:29
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