2005/09/20(火)00:42
「二人の食事」 第4話・クリームシチュー1
「加代子さん?」
一人で街をぶらぶらしていると、後ろからそう声をかけられた。振り返るとそこには、見覚えのある可愛い笑顔があった。
「・・ああ、佐々木さん、でしたっけ。・・こんにちは。」
「こんにちはー。最近良く会いますね。買い物ですか?」
彼女、佐々木あやさんは、私の同居人である弘志の同僚の女性だ。
「ええ。佐々木さんは?」
「今日は美容院行ってきたんですよー。」
そう言って彼女は髪の毛にそっと手をあてた。ふわっと広がるようにセットされた髪型が、彼女の愛くるしい表情に似合っている。
「どうですか?なんだかふわふわしすぎちゃった気もするんですけど・・。」
「いや、似合ってますよ。とっても可愛くて。」
「そうですかー。ありがとうございます。」
佐々木さんは照れたように笑った。その笑顔が、かなり可愛い。
可愛い女の子は嫌いじゃない。けれど男の前であからさまにキャラクターを作っている女の子は、好きにはなれない。
・・佐々木さんはどうなんだろう。私の前でもこういう仕草をするということは、可愛い子を作っているわけじゃなく、これが彼女の素なのかな。いや、私から弘志に伝わるのを気にしているから素は見せられないのかな。
彼女と弘志が今現在どういう関係なのかは聞いていない。きっと、まだ付き合うという所までは行っていないのだろうが、二人で食事をする程度には親しいのだろう。
というのも、私の知る限りでは弘志と彼女は2回ほどデートしているが、どちらの時も日が変わらないうちに弘志は帰ってきたのだ。・・・それはつまり、推測でしかないが、二人がすでに恋愛関係にあるとしてもまだプラトニックな付き合いだということだろう。
それにしても・・と私は思った。それにしても、よく佐々木さんは私に声をかけてきたな。
私が佐々木さんと会うのは今日が3回目だ。今までの2回は、私が弘志とお祭りに行った時に会ったのと、それから佐々木さんと弘志が二人で街を歩いているところにばったり遭遇した時。
つまり、私と彼女は共通の知人が居る顔見知り程度の関係で、立ち止まって長話をするほど親しくはないのだ。
正直、私が佐々木さんを街で見かけても向こうが気づかなければ声をかけないだろう。
つづく
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連載始めました。
今日から連載始めると言ってしまった昨日の自分を消してしまいたいほどにまったく書けてないのです。
その上だらだらと長い文章になってしまったので、中途半端なところでつづくにしてしまいました。
とにかく、この話を終わらせるまで頑張ります。よろしくお願いします。