イカ・タイム

今、「とある飛空士への恋歌」という小説を読んでいます。
この本はシリーズ２作目（内容は独立しているのでこちらから読んでもOK）にあたるのですが、
その１作目「とある飛空士への追憶」の紹介を。


「とある飛空士への追憶」　犬村小六　２００８年　ガガガ文庫


神聖レヴァーム皇国の空挺騎士団一等飛空士である狩乃シャルルは、
敵国帝政天ツ上人とのベスタド（ハーフ）であるがゆえに、
正規軍の飛空士にはなれずにいましたが、その飛行技術は卓越したものでした。

「地上でどれだけ踏みつけにされようとも、空では誰にも負けない。
たとえ流民あがりでも、操縦桿を握っているあいだは自由でいられる。
空には階級なんてない。ただ強いものだけが生き残る」

両国が武力の均衡をやぶったのは、天ツ上の新鋭単座戦闘機「真電」
その圧倒的性能差の前に、レヴァームの「アイレスII」はなすすべもなく落とされていきます。
そんななか、シャルルにひとつの命令が下ります。

「次期皇妃を水上偵察機の後席に乗せ、中央海を単機適中翔破せよ」

光芒五里に及ぶ美しさの次期皇妃ファナと、
シャルルのふたりきりでの海上翔破の旅がはじまるのです。


この「ティー・タイム」をはじめてちょうど１年になろうとしています。
私が読んだ小説のなかから、おすすめのものを紹介してきましたが、
今回の「とある飛空士への追憶」は、
まちがいなくかなりの傑作です！良作です！すばらしいです！
物語の設定もよくつくられており、それに伴った文章力も十分。
良作の小説というのは、中だるみせず一気に読ませてしまう力をもっているものですが、
この作品がまさにそれです。
息つかせぬ空戦の描写は見事。主人公機とライバル機の最後の戦いは燃えます！
それと同時に、空の戦いと平行して描かれる主人公と皇妃のふたりの心の描写がとても繊細で。
読み終えた時には、かなしいけれどもとてもさわやかな余韻にひたることができるでしょう。
そして、必ずもう一度繰り返して読み直したくなるハズ！
シャルルとファナのお互いを想う気持ちが、どうしようもなくせつない、
恋と空戦の物語です。
こうれはもう、いますぐ購入して読むしか！
というか買いなさい。ｗ

ちなみに、７月には「とある飛空士への恋歌２」が発刊予定であります。