文字の持つ力
明けましておめでとうございます。2010年は、きりの良い数字です。今年のお正月は、太陽と地球、月が一直線に並んだために、夕日が沈んだ後、東の空からは、満月が昇ってきました。 そして、早朝には、部分月食が西の空で見られたようです。(私は起きれませんでしたが。)12月は、オリオン座流星群、ふたご座流星群が、月明りのない新月と重なったので、寒かったのですが、夜中に見てみました。都会の空は明るく、家も沢山立ち並んでいるので、あまり観測に向いているような条件ではないので、実は、期待していませんでした。ふたご座流星群の流星が一つ、感度の高い、元々は防犯用のビデオカメラを天体観測用に使ったカメラに飛び込みました。(写真の、だ円点線囲んだ部分) 花は、サザンカ(山茶花)です。庭に咲いているものだけでも、色が、白、ピンク、紅?など文字通り色々あります。日本が原産地で、学名も、Sasanquaだそうです。 サザンカとツバキ(椿)は似ていますが、葉の縁はサザンカがギザギザ、ツバキはつるつる、実も、サザンカは毛があり、ツバキはつるつる、だそうです。香りがするのは、サザンカです。アジアの言葉を10カ国以上、韓国語、中国語、ロシア語、タイ語、インドネシア語、ヒンディー語、アラビア語、ヘブライ語、ペルシア語、トルコ語、ラテン語まで、まとめて総合的に比較してみるという企画です。1.文字の比較(7月)2.音声、発音、発声の比較(8月)3.文法、単語(9月)4.語順(10月)5.呼吸(11月、12月)と進んできました。今月は、「文字の持つ力」について考察してみます。今までの、アジアの言葉の比較や、考察については、ブログの日記で一度に書きにくいので、下のHPにしてあります。アジアの国々の言葉の比較です。今まで、アジアの言葉について、音声、発音、そして、呼吸など、”聴覚”で感じることについて、力を入れて書いてきました。今月は、文字の持つ力について書いてみたいと思います。7月に、アジアの言葉について、文字の比較をしましたが、その時は、分類をしたのが主な作業で、文字そのものについては深く入りませんでした。アジアの言葉で、漢字系文字文化圏に分類される中国、日本などでは、表意文字という文字体系を持っています。それは、字、そのものが、何かの意味を持つという文字体系です。一方、表意文字と比較して、表音文字というものもあり、それは、英語のアルファベットと同じで、文字は音を表す手段として使われます。表意文字の文化圏では、字そのものが意味を持つため、字に対するこだわりというものが、表音文字体系の文化圏と比べはるかに大きいものがあります。日本でも、写経や習字など、文字を紙に書き写し、精神の統一を図り、あるいは、鑑賞したりします。仏教では、この宇宙の世界観を、マンダラにして説明していますが、その中でも、文字は、宇宙を表す象徴の一つとして意味を持ちます。漢字系文字文化圏では、文字は、音声と比べて、決して軽視されていないのです。生活していると、分かりますが漢字に対する思い入れと言えば、意外に、身近に色々あると思います。例えば、幸せの”幸”という字は、辛いの”辛”という漢字に横棒を一本足した漢字であるように、苦難からこそ本当の喜びが生まれる、などいう解説です。また、命という字は、人は、一度、必ず叩かれるという字であり、生きていれば必ず、苦難があるということです。などという解説です。このように、少なくとも漢字系文字文化圏である日本でも、文字はそれだけで重要な意味を持ちます。一方、インド系文字文化圏ではどうでしょうか。インド系文字文化圏では、文字は、テーヴナーグリー文字系の字を使いますが、(オリジナルは分かりませんが 実用上は)文字は表音文字として分類する方が自然かもしれません。しかし、インドに起源のあるとされるヨガの世界では、冥想の時に、文字(当然、テーヴナーグリー文字)をまぶたにイメージしたり、書いて壁に張ったりしてじっと見つめたりします。その見つめる文字は、護符に使われるような梵字(ブラーフミー文字)であったりします。(梵字は、厳密には、ヒンディー語のデーヴナーガリー文字ではなく、系統の悉曇(しったん)文字だそうですが。)また、アラビア系文字文化圏でも、アラビア書道があるように、漢字系文字文化圏では、と同じく文字は重要な意味を持ちます。書道のように、文字を美しく書く術を英語で、カリグラフィー(calligraphy)と呼びますが、アラビアにも、カリグラフィー(calligraphy)があるのです。このように、アジアの世界の巨大文字文化圏である、「漢字」「アラビア文字」「デーヴナーガリー文字」いずれでも、文字を、何かの象徴として意味を持たせて、大事にしているという点で、共通です。一般的に、典型的な表意文字だとされる、韓国のハングル語でさえ、その起源では、大いに文字に意味があるのです。ハングル文字は朝鮮王朝、第4代の世宗(セゾン)が学者に命じて1443年に制定したもので、表意文字に分類されますが、特に母音(アイウエオ)の5声は、陰陽節に基づき、天(・)地(-)人(|)を基本にして論理的に組み合わせてつくられており、表意的表音文字といったら正確でしょうか。やはり、アジア的な香りがします。また、水茎文字と呼ばれる、琵琶湖で発見され、龍神が守り伝えたと言われる文字に、このハングルの文字は似ておりやはり、表意文字とはいえ、アジアの文字だなあという気がします。水茎文字のページ水茎文字は、宇宙の成り立ちとも関係がある文字だそうです。字というものは、目に見える形の、天からの啓示であるという考えです。しかし、別の文化圏の人にとっては、見慣れない文字は、やはり全く意味が分からないものです。ですから、コミュニケーションをするという観点から見れば、文字の持つ力には限界が出てきます。それに比べれば、音声というものは、文化圏が変われば当然、意味は分からないものですが、ずい分前に書いたオードリー・ヘップバーンの話のように、文字以上に意志の疎通に役立つことがあります。呼吸を相手に合わせようと意識することです。ボディーランゲージ、手振り、身振りと似ています。なお、外国の人との会話だけではなく、言葉の通じない、赤ちゃんや、お年寄りとのコミュニケーションでも同じことです。直感的に理解できるという点で、コミュニケーションでは音声の方が文字よりも大事にされますが、アジアの世界では、文字から感覚的に感じられる、宗教的感覚のようなものも、非常に重要な部分であるということでしょうか。年賀状に書いてある、賀正の字は見ているだけで、気持ちが良いものです。漢字には、そうした人にイメージを与える力があるようです。