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まてぃの徒然映画+雑記

2008.09.14
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カテゴリ:台湾映画
台湾シネマ・コレクションの鑑賞2作目。かなりの混み具合で、この映画に対する期待ひしひしと。

真っ暗な画面にざざーん、ざざーんという海の音から始まるオープニング。録音技師の小湯(莫子儀)は、失恋の痛手から立ち直れないままの日々を送っている。既に首になった仕事現場に慌てて行って、夜中の道端で改めて彼女であった雅筑を失った悲しみに泣き崩れる。そんな小湯は、約束したFormosaの音を録りに台東へ向かい、海岸の音、防風林の音、道端の音、ざわざわっとした秋穂の音、先住民のお祭りの音、ぱちぱちはぜる焚き火の音などを録り、テープを雅筑の元に送り続ける。その部屋にはもう新しい住人小雲が住んでいるとも知らずに。純朴な好青年っぽい風貌の莫子儀。でも別れた彼女を思って泣くときには押し殺していた激情を表す。

新しい部屋に引越してきた小雲(桂綸[金美])は、会社の上司から二股をかけられているが、それを甘んじて受け入れている。引越し当日に新しい部屋に来てくれた彼の元に、もう一人の彼女から電話が入ると、ウィスキーを飲んで気を紛らわす。激しいキスシーンなどもあって、「藍色夏戀」からくらべると、フランス留学などもして、あぁ桂綸[金美]も大人になったなー、と少し感慨に耽る。

以前の住人に毎日のように届き続けるカセットテープ(それは小湯が送ったもの)を聴いた小雲は、さまざまな音や彼の言葉に聴き惚れ仕事中もイヤホンで聴きっぱなし。結構自由な雰囲気の会社なのね。ある日突然、それまでの関係を断ち切るかのように会社を飛び出した小雲は、送り主の彼を探してテープの録音場所を辿り始める。

精神科医の阿才(賈孝國)は、自分が患者の役になり、患者にトラウマの元を演じさせるというスタイルのセラピーを行っている。しかし妻はボーイフレンドを作り、別居中の彼はふと気になったシャツの匂いで仕事に行く気をなくし、3年前の結婚式の招待状を手がかりに大学時代の憧れの人のところに向かう。

阿才が騙されて金を脅し取られるところを助けた小湯は、それからしばらく二人で台東を巡る。先住民のお祭りに参加したり、海辺で夜を明かしたり。ある夜のホテルで小湯は彼女と別れた想いを阿才に話し、阿才のセラピーを受けることでようやく失恋の区切りをつけられる。そして台東の阿才が探し求める住所へ向かうが、既にそこは区画整理で道路になってしまっていた。台湾の町も変化して、昔の姿を留めなくなってきているんだなぁ。

テープの音を頼りに、電車で、スクーターで、歩いて、録音場所を巡る小雲。録音場所を見つけたら「○○の音、確認しました」とICレコーダーに吹き込む小雲は、台北での閉塞感から吹っ切れて、その顔は晴ればれとした表情。小湯が泊まったホテルや一緒に飲んだ先住民たちと出会いながらあと一歩で小湯に追いつけない小雲は、銀行預金も底をつき、「あなたはどこにいるの?」と見たこともないテープの送り主に問う。

小湯と別れた阿才は、海岸沿いの道端に置かれたウエットスーツとフィンを見つけて、シュノーケリング道具も身に着けて道路を歩く。ペタン、ペタン、ペタン、ペタンと。それはまるで、普通の世の中で、過剰に自分を防御して暮らしている今の都会人を喩えているかのよう。

失恋を吹っ切った小湯は、台湾最南端の音を録って、Formosaの音を終える決意をする。それは彼自身の彷徨が終わったことを意味していた。最南端の音を録って、砂浜に出る小湯。そこには小雲が先にきていて、画面の両端に二人が映る。


前半の台北シーンでは、鏡やガラス、窓に映った画をうまく使って、阿才や小雲の心象を表している。ガラスに映った風貌から窺える、手に取れそうで届かない、そんな感覚。そして後半は台湾東部を巡るロードムービーであり、台北に住む3人の孤独な心を解放に導く旅。台東の海辺の自然が穏やかな印象を与えてくれる。そして先住民の陽気な音楽。「練習曲」でもそうだったけど、台湾の人たちが改めて自分のルーツを探しているかのような、そんな感覚。

莫子儀は繊細な青年役がぴったりの雰囲気。もともと演劇畑で役者をしていて、この映画の前には演技をやめるかどうかまで悩んでいたようだ。そんな彼の心の動きがそのままこの映画に出たみたいに、ぴったりとあっていた。

賈孝國はまさに怪演という言葉がそのまんまあてはまる役どころ。冒頭のホテルのシーンでは「なんだこりゃ?」って思ったけれど、患者と向き合っているシーンやカラオケで一緒に売り子と踊る姿、小湯の閉じた心を開かせるところ、そして最後のペタン、ペタンと歩く姿。紙一重で現実と繋がっているかのような、あやうい精神科医が本当にいるかもって思ってくる。

そして桂綸[金美]は、ウィスキーを壜から飲むときは生気のない表情をしているかと思えば、スクーターで走っているときは透明感ある微笑みがこぼれて幸せな空気が溢れる。さすが台湾で好きな若手女優No.1の魅力たっぷり。おっきなザックを背負って歩く姿もかわいかったな。今年のカンヌ出品作「停車」で張震と共演したり、徐克の「女人不壊」に出演したりして、さらに「ラスト、コーション」の湯唯と同じ事務所に移籍してこれからも女優としての大活躍が期待される。早く日本でもこれらの映画が封切られますように。

公式サイトはこちら

9/14 シネマート六本木 台湾シネマコレクション

クリックで救える命がある。






最終更新日  2008.09.15 21:58:01
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