まてぃの徒然映画+雑記

2009/11/22(日)09:39

THE WAVE ウェイブ DIE WELLE

その他の映画(68)

エス[es]と同じく、実際の心理実験を元にした衝撃的な映画。 高校の授業で「独裁」の実習を受け持つことになった体育教師のライナーは、生徒たちに独裁制の特徴を答えさせて、それを実践していくことで実習を進めていく。リーダーである先生を「ベンガー様」と呼ぶ、発言するときは挙手して立つ、制服は白シャツ、集団の名前とロゴマークを決めて、独自の敬礼を作る、といったルールを決めると、生徒たちは次第にひとつの色に染まっていく。ほんの5日間で生徒たちはロゴマークを町中にペイントして、反対者を排除し、その影響は下級生にまで広まる。危険を感じたライナーは休日の朝、生徒たちを講堂に呼び出し演説を始めるが。。。 多感な高校生だからなのか、実習が始まってからの変化はあっという間。きっと何か面白いイベントに参加しているような感覚もあったのかもしれない。変わりばえのない毎日、クラブでダンスと酒とタバコの週末、ときにはクスリも。そんな中で始まった新しいゲームが意外と面白くて、ついついやりすぎてしまうのだが、それが独裁制の持つ魔力というか、恐ろしさというか。本能的にその危険性を察知して授業を変える生徒もいれば、そこに惹かれてやってくる生徒もいる。戦前なんかもこういうふうにして軍国主義が広まっていったのかなあ。 マズローの欲求段階説でいう所属や承認の欲求が、独裁制のメンバーに入ると満たされたかのような気がする。不良たちが率先して集団の規律を守るようになり、家は金持ちだが家庭に疎外感を感じていて学校ではいじめられっこのティムも、この集団にはまりこむ。 水球部の試合や演劇部の稽古、留学の話、湖のほとりでのパーティなどドイツの高校生の生活が垣間見えて、水球ってヨーロッパではメジャーなスポーツなんだなあ、とか、高校生なのにこんなに酒飲んでタバコすっていいのか?とか、また中心的な役の生徒の家庭がそれぞれに複雑で、いかにもヨーロッパの自由な家庭な感じがして興味深かったり。 冒頭の陽気なロックンロールをBGMに車で学校に行くライナーが、最後の場面でパトカーに乗り無言で学校を去る場面の対比が後から重くのしかかってきました。 公式サイトはこちら 11/18 シネマート新宿 12/26からシネスイッチ銀座他で公開!

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