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まてぃの徒然映画+雑記

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2009.12.10
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カテゴリ:ドキュメンタリー
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イスラエルのレバノン侵攻を、従軍した映画監督が描く。

といっても普通の映画ではなく、ほぼ全編がアニメーションで、最後にほんの、ほんのすこしだけ実写映像が入る。それはあまりに残酷だからか、実写では描写しきれないからか。アニメーションをドキュメンタリーと言っていいのかわからないけれど、内容は恐ろしいほどのドキュメンタリー。

26匹の猛犬に追い立てられる悪夢に苛まれる友人から相談を受けた映画監督のアリは、自分にまったく従軍したときの記憶がないのに気がつく。すっぽりと抜け落ちてしまっているのだ。そしてアリは自分の記憶を取り戻そうと、一緒に従軍したかつての仲間の元を訪れ、当時の話を聞いていく。

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敵に待ち伏せされ、一人だけ夜陰にまぎれて海を泳ぎ自陣に逃げ帰った兵士、左右の見通しがきかない藪の中を進軍するのに、めったやたらと周囲を撃ちまくり、後から倒れていた人を怪我人も死体もあわせて拾ってくるミッション、バチョリという強烈な匂いのオイル?をつけて、前線でも味方がすぐわかるようにしていた兵士、ヘリでベイルートの空港に降り立ち市内に進軍するが高層ビルから狙われて一歩も動けないときに、機関銃を抱えて大通りの中央に飛び出してワルツを踊るかのようにめったやたらと乱射する兵士など、徐々に、徐々に当時の記憶がよみがえる。

記憶を取り戻していったアリは、ついに核心の「サブラ・シャティーラ虐殺事件」に行き当たる。そのとき何をしていたのか、難民キャンプの中で何があったのか。シャロン国防相に電話をしても「報告をご苦労」と言って切られてしまう。イスラエル軍は夜の間ずっと照明弾を打ち続けて、難民キャンプを封鎖した。

実際に手を下したわけではないけれども、黙認というか容認というか、積極的な加担というか、間違いなく共犯者の立場であるイスラエル軍。第二次大戦ではナチのホロコーストにあった民族が、ときがたてば虐殺に加担する。つい先日も、ガザ地区で民間人に対する攻撃があったばかりだ。この内容なら、アニメーションでしか表現できないのも納得する。監督がインタビューをした人たちも「撮影はしないでくれ」と言っていたから、インタビュー風景すら実写化できないし、戦闘場面なんてなおさらだ。

でもこういう内容の映画が、当のイスラエルから出てきたことに一筋の希望の光を感じる。オバマ大統領はノーベル平和賞受賞演説で『暴力は恒久的平和をもたらさない。いかなる社会問題も解決しない。より複雑な問題を新たに作り出すだけだ』というキング牧師の言葉を引用したが、一方で世界には『絶対的な悪』が存在し、それは現在のところ暴力によってしか排除できない、と正義の戦争の必要性を認めている。しかも戦争は悲劇を招く、という真実も踏まえてのうえでだ。

正義の戦争とそれのもたらす悲劇、繰り返される暴力の連鎖、私たちはどうしたらこの愚かな行為から逃れられるのだろうか。それはやはり戦争という化け物の正体をこれでもか、とばかりに目の前につきつけて、忘れないようにするのがひとつの方法なのだろうなあ。

公式サイトはこちら

12/6 シネスイッチ銀座

kaikaku7
12/26からシネスイッチ銀座他で公開!

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最終更新日  2009.12.12 00:12:38
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