テーマ:最近観た映画。(38848)
カテゴリ:香港映画
冒頭の火鍋屋のシーンで、マーのグループが入ってくるところから、そこはかとない緊張感が漂う。4人組の強盗が警官を殺して逃走している夜、組織犯罪課のサァ刑事(ラム・シュ林雪)がマーの手下にやられて拳銃をなくし、夜が明けるまでPTU(機動隊)のホー(サイモン・ヤム任達華)のチームは捜索を手伝うことにする。拳銃の紛失は重大な過失、表沙汰になればサァの昇進はなくなってしまう。 裏社会のボス、ハゲの息子マーが火鍋屋で刺されて殺され、その捜査にCID(特捜課)も乗り出してくる。PTUとCIDとサァ刑事、そして裏社会のハゲと対立するギョロメ、さらには4人組の強盗が、早朝4時の広東道に集まる。。。 PTU隊員の安全靴の重苦しい足音、ゲームセンターでのチンピラのいたぶり方、ヤク中で喘息持ちの情報屋を蹴りつづける姿が、暴力的な強さを際だたせる。また雨合羽をとるシーンやマーの手下のアジトに侵入するところでは、統制のとれたプロフェッショナルな動きがかっこいい。 CIDも情報屋を水責めにするなど、暴力的なところは負けていない。香港警察は、後ろ暗い人間にはとことん強気に出るんだなあ。一方でサァ刑事の上司は裏社会の幹部であるマーが殺されたというのに麻雀のことで頭が一杯だし、証拠を集める鑑識の担当も一旦はマーの携帯をなかったことにしようとして、警察のいい加減さもしっかりと出している。 裏社会の方がもっと暴力的だ。小さな小さな鉄の檻にマーの子分が全裸で毛を全て剃られて押し込まれている怖ろしいシーンがある。全編こうした暴力的なシーンが続くが、派手に黄色いペンキをかけられた車を乗り続けたり、モデルガンで誤魔化そうとしたり、サァ刑事を演じる林雪の存在が強烈なユーモアを放ち、なんとも言えない不思議な雰囲気を醸し出している。 そして今回観て感心したのは効果的な音楽。素材の味を引き出すソースのように、音楽がドキドキするシーンをさらに盛り上げてました。 夜の暗がりの中の物語というと、『ワンナイト・イン・モンコック』が思い当たるが、きっとこの作品の暗い夜の微妙な光の加減もTV画面ではなくスクリーンでこそ味わえるものだろう。 もう一度観られて良かった! 3/15 シネマヴェーラ渋谷 PTU 『孫文の義士団』4/16から公開! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.03.23 21:46:37
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