インド・ネパール逃避行(2004)インド・ネパール逃避行インドとネパールに行ってきました。 一人で。 3週間ほど。 「え? なんでわざわざインドなんですか?そんな危険なところ・・・」 そんな声が聞こえてきそうです。 そう。あなたは実に賢い。正しい意見をお持ちです。 ネパールはまだ、 「あ~、あの美しいヒマラヤが見える国ね。人々は山なんて眺めながらのどかに暮らしているのかしら」 なんて思っているかもしれませんが、 「え? インド? こわそ~。だって騙されて身包み剥がされそうじゃない?インド人ってなんかあやしいし・・・。ところでインド人もびっくりだね!ってよく言うけどほんとにびっくりするの?」 結論からいうと、インド人がびっくりするかどうか、私には良くわかりません。 ただ一般的にインドの人はオーバーリアクションです。 ついでに観光客からみると、インド人はみんなあやしいです。 いや、みんなって言うと語弊があるかな。観光客に近づいてくる人はほとんど何かしらの目的(ホテルや土産物の客引き)がありますから、なんとか客の興味をひくため、あの手この手と必死です。 暇があるときは付き合ってあげましょう。おもしろいです。 なかには純粋に「俺は暇だ。話をしよう。」なんて人もいて、営利目的以外に声をかけてくる人もいます。 どこの国にも良い人、悪い人は存在します。 旅行者として大事なことは、それを見極めて自分の身は自分で守らねばなりません。 インドはとても魅力に溢れる国です。別に私はインドのまわし者って訳じゃありませんが(笑) スリリングで充実した日々を送れることまちがいなし! 今回の旅のルートは以下の通りです。 インド(デリー⇒ジャイプル⇒アグラ⇒バラナシ)⇒ネパール(ポカラ⇒カトマンズ)⇒デリー⇒成田 エア・インディア 成田発 ★インド出発編 成田⇒デリー 2月19日 木曜日 インドへの旅立ちの日である。 案の定寝坊した。 私は遅刻魔なのだ。 時間がないので日暮里からスカイライナーに乗ることにした。 スカイライナーは初めて乗るけどなかなか快適。 空港に着いて無事チェックインを終えることができた。 エア・インディアは12時出発予定のところ、1時間遅れの13時出発になった。 さすが天下のエア・インディア。一時間の遅れなどインドにおいては遅れの部類に入らないのだ。 私はロビーの椅子に座って一休みした。 うぅ。荷物が重い。 今回の旅行に何を持っていったらよいかわからなかったので、手当たり次第リュックにぶち込んだのだ。 たぶん6キロくらいの重さだろう。トイレットペーパーは4個も詰め込んでやった。はっはっはっ しかしこの4個がなくなったときは・・・恐怖である。 そのときには私もインド式トイレに慣れて、左手で自分のウンコを始末し、「ウンコの自立」なんかについてつらつらと感慨にふけっていたりするのだろうか。 インド人は一般的に野糞が好きらしい。 彼らはウンコにも自我があると考えている。 トイレで用を足すと自分のウンコが他の人間のウンコと混ざり、自我が損なわれてしまうらしい。 ゲートに向かう。するとエア・インディアのゲートだけ他と違う。 だって、荷物はすでに出国検査で一度チェックを受けているのにもう一度やろうとしているんですよ? このゲートだけ赤いテープで囲ってあって、一度荷物検査と身体検査を受けて中に入っちゃったら、トイレにいきたくなっても一旦外に出たら、戻るときにまたチェックが必要なんです。腹を壊していたら大変ですよね。 制服の職員が巡回しています。ここだけ何か物々しい雰囲気です。 当初、搭乗時刻は12時40分と言っていたが、いつの間にか13時に変更になっていた。13時に出国はまずありえないだろうな。 おっ! ついに乗せてくれるのね。 ありがとうエア・インディア。 しかし、私の順番はなかなか来ない。 なぜって、エア・インディアは階級制なのだ。1stクラスとビジネスクラスの搭乗が先なのである。 ここからインドはすでに始まっているんだなあ・・・ 13時30分。まだエア・インディアは動かない。 スチュワーデスのお姉さんがジュースを配ってくれた。色が白くてなかなかの美人である。 はっ!後方にターバンおじさん発見。 フライトアテンダントの一人のようだ。ひげをもじゃっとはやしている。 おじさんは家族連れの乗客となにやら楽しげに会話を始めた。そして去っていった。 エア・インディアは比較的綺麗だと思う。 ちょっとライトが壊れて黄ばんでい・・・ゴホン、ゴホン。まあ座席のスプリングがギシギシするくらいなんともないさ。 後ろにひっくり返らない限りは。 おっと。動き出したぞ。 エア・インディアは滑走路へと向かった。 しかし機体が方向を変える度に、ガガーッ、ギギーッと機体全体がきしむ音がする。 無事デリーまでたどり着けるのだろうか? まあ、東京までなんとか飛んできたわけたし・・・。 うっ。運転が荒い。 ガガーッ、ギギーッ、ドンッという音がする。 無事飛べるのか? がんばれ! がんばるんだ、エア・インディア。 *機内にて 一つ前の席のインド人親子はとてもにぎやかだ。 飛行機はもうどの辺にさしかかっているのだろう。離陸して30分くらい。山並みな地形が下に見えた。 親子は窓から下の景色を眺めて「ウッヒョー! ヒャッホー!」「How nice!」と喜んでいた。 私の前の席には6歳くらいの女の子が座っていた。時々くるりと後ろを振り向いて、はにかんだ笑みを見せてくれた。 彼女の隣に座っているお母さんも私の方を見て、私がにこっと笑うとお母さんも笑みを返してくれた。 隣の席のインド美人に話し掛けられた。 「インドは初めて? どこにいくの?」 彼女は英語でなにかいろいろとしゃべっていたが、私の英語力はネイティブの3歳児並なので、途中で話が複雑になってくると「I don't understand.」で通した。 彼女は12月に結婚したばかりの新婚さんで、夫(インド人)は日立に勤めているそうだ。 茨城の水戸に住んでいる旦那さんに会いに行ってきたのだという。 「写真をみせてあげる。」 というと彼女は結婚式の写真を10枚ほど見せてくれた。 式は日本で行われたらしく、旦那さんは袴姿になぜかちょんまげのカツラを被っていた。 「日本のどこにすんでいるの?」 ときかれたので、 「東京に住んでます」 と答えると、彼女は、 「東京タワー。水戸タワー。」 と言った。私は、 「うーん。水戸タワーは知らないなぁ。」 と答えた。 彼女はなんだか水戸に詳しかった。しばらくは夫と離れて暮らすけれど、そのうち日本に住むと言った。 ガイドブックを読んでいると 「インド人に騙されるものか! 見ておれ、インド人! 私は断固戦うぞ。」 なんて意気込んでしまうが、あやしいインド人よりも、平凡なフツーの人のほうがずっと多いんだなぁ。なんだかホッとした。 エア・インディアの機長はのたまった。 「成田では二時間遅れの出発となったが、この遅れは必ず取り戻す」と。 そしてデリー到着予定時刻の18時には次のようにアナウンスした。「18時30分に着く。」 しかしデリーに着いたのは20時だった。 インドでは2~3時間の遅れは当たり前なのだな・・・。 外は真っ暗。 まー、こんなもんよね。 2月20日 金曜日 眠い。インド時間午前1時である。 空港バスで市内まで出ようと思っていたが、この時間に街を歩くのは危険な気がしたので、空港ロビーで一夜を明かすことにした。 恐ろしく眠い。しかしここで寝てしまったら、盗難に遭ってしまうかも。 寝ちゃ駄目だ。 インド人の観察をすることにしよう。ふむふむ。 1、年配者はやや太めである 男性は腹が出ている。女性は胸からヒップにかけて肉付きが豊かである。 2、ターバンおやじ シーク教徒? ターバンにひげもじゃ。ロビーにいる人の10%くらいはターバン男性である。 3、サリー 女性は圧倒的に洋服をよりもサリーを着用している。 4、密着型 ちょっとしたスペースがあると、入り込もうとする。空いている席をみつけるとすぐ隣にドスンっとすわる。 5、「荷物見てて」 おばあちゃんが私の隣に座った。席をはずした。 彼女は隣のインド人にではなく、私にヒンディー語で「荷物見ててくれ(たぶんそんなようなこと)」と言った。 うーむ。普通私に頼むかなあ。 まあ、別にたいした事じゃないんだが。 夜中でも女性、子供がこんなにロビーにいるとは。 また、到着客を待ちわびるホテルの客引き、旅行関係者、悪徳商人でもりだくさんだ。 しかしなんでこんな夜中までおきていられるのだ? みんな夜型か? 隣ではサラリーマン風男性二人がおいしそうにアイスクリームを食べている。 眠くなったので寝る体制を整えてみた。 すると隣のインド人男性(自称26歳)が話し掛けてきた。 「友達を待っているのかい? 僕は、アエロ・フロートでモスクワから帰ってくる弟を待っているんだ。君は?」 「バス待ちをしてる」 「バス? ホテルの送迎か? どこのホテルだ?」 「まだホテルは決めていないんだ」 「決めてないだって? じゃぁ、君はどうやってバスに乗るのさ。インドにはどのくらいいるんだい? どこに行くんだ?」 私はこのあたりからだんだん眠くなってきた。 インド時間午前3時。昨日からぜんぜん寝ていないのだ。私は、 「とってもスリーピーで答えられん。」 と言ったら彼は「ヒーッヒッヒ」と大笑いした。 私が目をしぱしぱさせていると 「君は眠いと瞬きが多いが日本人はみんなそうなのか?」 ときいてきた。 「たぶんみんなではない。私はそうだけど」 といったら彼はまた「ヒーッヒッヒ」と笑った。 「インドに3週間。それでその荷物。ベリービッグだ。ハッハッハッ!」 私も眠気となんだか途中からどうでもよくなってきて、 「なかなか良いリュックだろう。ハッハッハッ!」 と笑ってみた。 あとは面倒になったので、スリーピーを連発して、寝ることにした。 しかしもし本格的に寝てしまったら、いくら自称ドクターの彼でも強盗になる可能性もあるかもしれない・・・。 と思ったので踏ん張って眠い目を開けることにした。 たまにガイドブックをパラパラめくったりした。 すると、 「君は眠い眠い言っているくせになぜ寝ない? そうか。本は読めるが、僕と話すと急に眠くなるんだな? そうだろう、そうだろう? だから君はあんまりしゃべらないんだ。これからインド3週間。君はずっとノースピークで通すつもりか?」 いや、確かに眠いんだが・・・ついでにあんまり話したくない・・・。 私はこう答えた。 「英語は苦手なんだよ。英語は難しくてね。それに・・・ジャパニーズウーマンは・・・そのぅ・・・シャイなのだ。」 と言ったらインド人大笑い。 「君がシャイ? Are you shy? ヒーッヒッヒッ」 彼のテンションの高さにはもうついて行けん。 私は彼の携帯電話に目を向けた。 インドで携帯の普及は結構しているみたいで、ホテルや旅行関係者は頻繁に連絡を取り合っていた。 彼はそれに気付いたようで、 「このケータイではゲームができる。It's スネークゲームだ!」 と言い、ゲームの説明をしてくれた。 画面上に四角の枠があって、その中を一本の線がへびのように動き回る。 ある一点をめがけてその線が通過できるように、UP、DOWN、RIGHT、LEFTの四つのボタンを操作するのだ。 彼は私に、 「やってみろ。」 と言った。しかし始めてからほんの数秒で「ブーッ」という音が鳴り、ゲームオーバーになってしまた。 ポイントは0。 それを見て彼は「ヒーッヒッヒ」とまたもや大笑いした。 夜も明けてきたので、意を決してロビーから外に出た。 空港バスはどこだろう? そこにあやしげおやじが登場した。 「トゥクトゥクだ。トゥクトゥクに乗れ!」 そのとき私はトゥクトゥクが何なのかわからなかったが、たぶんオートリクシャのことかなと思った。 「私は50ルピーで乗れる空港バスを探しているの。」 「バスは9時半まで来ない。あと2時間も来ないんだぞ。50ルピーあれば俺が市内まで連れてってやる。」 バスが9時半まで来ない? うそだ。 だってガイドブックには20分おきに発車していると書いてある。 小心者の私は・・・ゴホン! 几帳面な私はロビーを出る前に何度も確認したのだからな。 はっはっはっ そこにいたわりかし身なりの良い10人くらいのインド人集団にきいた。 「バス停はどこですか?」 すると10人いっぺんから答えが返ってきた。 「ホテルはどこ?」 「どこまでいくの?」 「バスはだめだ。」 「タクシーを使え。」 「そうだ! タクシーだ!」 み、みんなタクシーのまわし者なのか?? 「な、なぜバスは駄目なのですか?」 「バスはdirtyだ。」 ダーティー(汚い)・・・。たぶん彼らは市バスについてそう言ったのだろう。私はガイドブックをみせて、 「エアポートリムジンでコンノートプレイスまで行きたい」 と言った。 すると一人の青年が、 「わかった。ついて来い。」 と、空港職員にききながら私をバスまで連れて行ってくれた。 ありがとう、青年よ。 でも焦っててお礼言い忘れちゃったよ。青年、ありがとう。 リムジンバスはなかなか凄まじいものがあった。 車内に乗り込むと大音量でインド風ミュージックが流れている。 運転手は大声で車掌としゃべり、グォングォンとエンジンを何度もふかし、「ホーッ! ヒョーッ!」と陽気に笑っていた。 ついに市内に向けて出発。 キーッキッキッ、ブーッブッブー、運転手は急カーブでも決して速度を落とすことなく、クラクションを何度も鳴らして「オラー! 邪魔だー! どきやがれ!」と危険な追越を何度も行った。 しかも前方のドアはずっと開けっ放しである。 あ! 乗客の一人がバスを降りようとしている。運転手は速度を少し落とした。その隙に乗客がバスから華麗に身を投げた。着地成功! しかも車道の真ん中に。 インド人はみんなサーカス団員になれるだろう。 コンノートプレイスで車掌が私を降ろしてくれた。(歩道に)そこからニューデリー駅まで歩こうとした。するといつの間にかいろんな人が寄ってきてしまう。 「ナマステ~。」 「ネパーリー?」 「どこまで行くの?」 中には、 「私はあやしい者ではない。だから信じてくれ。ニューデリー駅はあっちだ。」と言って去ってくおじさんもいた。 なんとか駅に着いてジャイプル行きのチケットがとれた。 さすが外国人窓口。スムーズだなぁ。 対応してくれた係員のおっちゃんは英語と日本語が混ざった、奇妙な言語を使っていた。「ありがとう」と言ってその場を去ろうとすると、突然、 「アナタキレイネ~。」 と言われ、英語なんだか日本語なんだかわからず、一瞬混乱した。 駅職員がこんなこと言うんだなー。やっぱりインドだ。 もし日本で、みどりの窓口なんかで切符を買って、職員に「あなた綺麗ね~。」なんて言われたら、びっくりしちゃいますよね。 その日はメインバザールの宿に泊まった。 メインバザールは牛の巣窟であった。 巨大な牛があっちにもこっちにものそりのそりと動き回り、その間をぬうようにあまり元気のなさげな野良犬たちがとぼとぼ歩いている。 人人人人。車車。牛牛牛。犬犬。おっと。しまった、牛のウンコ、踏んじゃったよ・・・ この日泊まった宿のトイレ NEXT TOP HOME ジャンル別一覧
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