テーマ:本のある暮らし(3279)
カテゴリ:ミステリー
作家デビュー、法医昆虫學捜査官・仕立屋探偵桐ケ谷京介シリーズがある。 主人公・奈緒は、地蔵を信仰する閉ざされた小さな集落で生まれ育った。 16歳になるまで、地蔵をみてはならないという村の掟のがあった。 奈緒はこの村から出たい一心でがむしゃらに勉強して、成績が良かった。 この村から出たい、それが奈緒の夢であり願望であった。 勉強さえできれば、東京の大学へ行くことも可能だ、彼女は一途に そう思い、家の手伝いをしながら勉強に励んでいた。 朝早くから家業の農家を手伝い、学校に通う日々。 彼女には、心から友達と思える級友はいなかった。 ある日、東京から新しい移住者が引っ越してくることになった。 4人家族で、奈緒と同じ年の女の子がいるという。 彼女と偶然会い、お互い心に響くものがあって、二人は親しくなる。 その転校生・亜矢子は、奈緒を頼りにして村に馴染もうとする。 しかし、村人は新しい移住者に異常にまで警戒心を募らせるのだった。 亜矢子が村に馴染もうとするが、よけい村人の反発をかってしまう。 しかし、奈緒の眼からみたら、村人の方が亜矢子達をいじめている、 と思えて仕方なかった。ますますこの村から出たいと思うのだった。 寝たきりの曾祖母、祖父母、両親、そして兄という家族構成の中で、 長男の兄は勤めに出ていて、家業の農家は少しも手伝っていない。 余所から嫁に来た奈緒の母は、何年経ってもよそ者としてしか扱われず、 寝たきりになった曾祖母の面倒は祖母が看て当たり前の暮らし。 なぜ農家に嫁の来てがないのか、という問題もこの作品で問うているが、 昔からのしきたりにがんじがらめに従った人々の哀しいミステリーです。 ミステリーとしては、少し尻切れトンボのような思いを抱いた。 でも、内容的には古い因習と向き合い、そこから抜け出そうとする 奈緒のメソメソしない逞しさがあり、読みごたえがありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.05.15 05:32:29
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