本の虫の読書ノート

2024/04/05(金)05:13

伏尾美紀さん「北緯43度のコールドケース」

ミステリー(22)

伏尾美紀さんの「北緯43度のコールドケース」を読みました。 第76回江戸川乱歩賞受賞作で、札幌が舞台の幼児誘拐事件です。 北緯43度のコールドケース [ 伏尾 美紀 ] この作品、新刊で出た時にすぐ読みたいと思って図書館に予約したのですが、 あまりにも順番が遅いので中止、もう文庫本になっていたので購入しました。 3歳の女の子が自宅の庭から姿を消して、何者かに連れ去られてしまった。 2日後身代金の要求があり、受け渡しの場所は夕刻の札幌駅に指定された。 しかし、犯人は逃げる途中で電車に引きずられ死亡、誘拐された幼児は不明、 未解決事件となって月日が経ってしまったが、5年後8歳の死体で発見された。 宮部みゆきさんが「新人離れしている」というコメントを添えていますが、 すいすい読み進めないのが難点といおうか~事件を追いながら、先に進まない。 博士号を持った異色の刑事・沢村依理子が何故刑事になったか~?という面と、 警察という男社会の組織の中で女刑事としてどう向き合ったらいいか?という 悩む姿も盛り込んでいるから、中々事件の核心までたどり着けないもどかしさ。 そして、人として老いていくにつれ家族に頼らないと生きていけない現実があり、 認知症になったら、介護されるようになったら…等身大の悩みや苦しみを味わう。 女刑事が「結婚だけが~」という力みはないけれど、やはり女が働くということに 視点を当てて生きずらさ、苦しさを織り込んで描いたミステリー作品だと思った。 筋を追うだけで一気に読んでしまったが、もう一度ゆっくり読みたい作品です。 (写真・札幌郊外) 北緯43度のコールドケース [ 伏尾 美紀 ]

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