高田郁「あい 永遠に在り」
高田郁さんの「あい 永遠に在り」、涙を拭きながら読みました。関寛斎という、実在した人の妻「あい」の一生を描いた作品です。関寛斎は、北海道・斗満(とまむ)で「開拓の粗」と仰がれた人であり、長崎で学んだ医者として、また戊辰戦争で人道的な活躍もしています。斗満は、今の足寄郡陸別町です。関寛斎は徳島で長く医者をしていて、藩主の侍医もした人でしたが、農家の息子ということもあって、やっかみもあり辛い立場を経験。明治32年、寛斎は古希を迎え、「北海道で開拓をしたい」と妻に打ち明ける。その頃7男の叉一が札幌の農学校を経て、試験農場の開拓に打ち込んでいた。その姿を見て、北海道の地を開拓したいという思いに駆り立てられたのです。妻のあいと離縁して北海道に渡りたい、という夫に驚き乍らもついていく道を選んだ妻、この時あいは67歳でした。裕福とはいえ、子のいない農家に養子に入り、医者になりたいと苦学した寛斎、父親が兄弟という縁もあり、寛斎の母の年子に気に入られて嫁入りしたあい。波乱万丈に生きた関寛斎の傍で、記録にはあまり出てこない「あい」という女性、高田郁さんは魅力的に描いて、芯のある女性だったことを彷彿させています。読み乍ら、涙がこぼれて…こぼれて、テッシュで拭き拭き読んだものです。あい 永遠に在り [ 高田郁 ]価格:1,760円(税込、送料無料) (2025/1/25時点)★あい 永遠に在り (ハルキ文庫) [ 高田郁 ]★★【中古】 あい 永遠に在り ハルキ文庫時代小説文庫/高田郁(著者)★