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いちょうの思い出
風邪が長引き、一週間ぶりに買い物に出た
スーパーの角の、すっかり葉を落としたいちょうの木を見て、ハッとした
先週は建物の土台だけだった上に外壁が建ち、
いちょうのアパート側の枝が切られていた
けれど、見上げるほどの高さの木までは倒されず、本当によかった
15年前、中学三年で病死した娘が三歳の頃、
この木の下でひらひら落ちるいちょうの葉を受けとめようと
黄色く包まれた木の下で手を上げてジャンプし、飽きない時間の中にいた
娘が死んでからも秋になり、黄金色に包まれて、
果てなく舞い落ちるいちょうの葉を見るたびに、
かわいらしかったあの頃の娘を思い出して、
心が悲しさでいっぱいになってしまう
同性だから、娘にかける思いや願いは、たくさんあった
私にできなかったことも娘にしてほしかった
友だちの娘さんの朗報を聞くたびに、死んだ娘の止まった時を思う
けれど、思い出があるだけ、ありがたいのだと思いたい
私が死に、娘との思い出が消えてしまっても
いちょうの大木はずっと残ってほしい
56歳 小学校教諭
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最終更新日
January 1, 2014 09:55:15 PM
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