巣鴨地蔵通り商店街に思うことを片っ端から書いてみた
巣鴨地蔵通り商店街はテレビによく出るので勘違いされている方が多いのだが、この商店街で商売するのは結構根気が必要だ。私は地蔵通りの先にある事務所で7年働いており、毎日商店街を利用しているが、買い物をするために各地から人々が集まる繁華街とはちょっと違う。 門前の土産屋(塩大福など)、仏具屋、おばあちゃん向けの衣料品店などが最も多いため、夕方5時になると店を閉めてしまう。5時以降は地元の人たちの買い物だけになり、客足はコンビニ、まいばすけっと(イオン系スーパー)、肉のハナマサ、庚申塚のコモディイイダ(スーパー)へ。地蔵通りは閑散とする。日没後に繁盛しているのは巣鴨名物の「ときわ食堂」や飲み屋などの飲食店だけだ。 商店街は高岩寺を中心とする門前町ではあるが、すぐ裏が住宅地なので平日は住人中心、縁日や休日は観光客と、客層の変化が大きい。若い人も多いという印象があるが、大正大学と東京大学学生寮が庚申塚駅の先にあるため、多くはそこの学生と留学生だろう。桜の時期は観光バスルートにもなるが、それ以外の時期の団体観光客は少ない。 商店街は旧中山道のため沿道に並ぶ店舗は共通して間口は狭く奥に長い「ウナギの寝床」。そのため店の中を覗きにくく初めての客が店舗に入るにはちょっと勇気が必要だ。 週末や4の日縁日ではJR,三田線、都電で集まる客のほとんどはおばあちゃんたちで、大量の買い物は無理。重いものや大きいものは売れない。お昼やおやつは食べたいけれど料理もちょっとでいい。2階の店舗には登れない。土日は商店街がベンチを出し一日中満席。 4の日にいつも繁盛しているのは100円のこんにゃく玉、150円の小さいお好み焼き(300円400円の屋台もある)、たい焼きの飛安(とびやす)など。 商店街入り口付近でひと月持たなかった小さな焼きそば屋、数か月で撤退した三重県の老舗和菓子屋などは、リサーチ不足としか言いようがない。公園もベンチもない商店街でパック入りの焼きそばを買っても食べる場所がないし食べ歩きにも向かない。老舗和菓子屋は1階に2人掛けのテーブル2つと製造機械まで新規で導入し、2階に喫茶コーナーを作るという本格的な出店だったのだが、いかんせん店内が狭すぎた。1階は年寄り仲間とお喋りできる雰囲気ではないし、2階への階段はおっくうだ。 高岩寺前のタリーズコーヒーは2階建てにもかかわらずエレベーターを付けた。その甲斐あってか、2階席にも白髪頭をよく見かける。夏場はコーヒーより、クリームあんみつの方が売れるというのは本当か? 蜂蜜屋の2階にこの秋オープンしたキリンロボットが焼くクレープ屋。スイーツだけではなく、野菜や肉を巻いたランチとしてのボリュームのあるメニューも用意しているのだが、ビルの2階にあるためうっとりするような甘い香りも商店街にひろがらないし、クレープをまく手際などを見ることができない。そもそもそこに店があることを知らずに通り過ぎるだろう。この店こそ和菓子屋跡地がまさにぴったりなのだが、家賃が違いすぎるだろうなぁ。 郵便局の先にあり、この7年で2回経営が変わった古い喫茶店は居抜きのまま今はLONコーヒーになっている。となりにシベリアロールケーキの店ができているのだがここは販売だけなのだ。隣の喫茶店でセットにしてくれればいいのになぁ。 鹿児島のとんかつ屋「亀かわ」が出店している場所は典型的な奥に長い店舗で、入り口からは全く中がうかがい知れないという、飲食店には最もキツイ条件だった。しかし、最近は高級路線だけでなく、お手頃メニューも追加した効果があり、メニューを見てから店に入る客の姿が増えた印象がある。 その場所は今まで1年持たない飲食店ばかりが続いたが、亀かわには「うまいとんかつの店」として根付いてほしい。ここ7年で初めて店の入り口にツバメが巣をかけた。来年もツバメの来る店として続いてほしい。天文館本店でやってるリブロースかつを限定でやってくれませんか。