カテゴリ:着ぐるみを考える
ここに試算した価格は様々な努力によって価格低減を実現した各工房の製作日数や販売金額とは無関係です。 あくまでもわたし個人が製作する場合を参考に試算したものですので、工房へのお問い合わせなどはご遠慮下さい。 ■粘土原型作成 作業35時間 その他24時間 《内訳》 (資料収集 24) 顧客と打ち合わせ 2 顧客脱皮 1 粘土原形製作 20 監修 2 粘土原型修正 10 ■雌型製作 作業3時間 待ち24時間 《内訳》 型枠製作 1 雌型用シリコンがけ 1 (シリコン固化待ち 24) 脱型 1 ■FRP積層 作業4時間 待ち24時間 《内訳》 FRP積層 3 (FRP固化待ち 24) 脱型 1 ■素体仕上 作業25時間 待ち24時間 《内訳》 バリ取り粗修正 2 粗パテ盛り 1 電動工具切削 3 パテ盛り 1 手切削 8 ゲルコート 2 (ゲルコート固化待ち 24) 磨き 8 ■塗装 作業7時間 待ち48時間 《内訳》 下地塗装 1 (自然乾燥 24) 磨き 3 本塗装 3 (自然乾燥 24) ■ヘアメイク 作業15時間 待ち24時間 《内訳》 粗植毛 2 細部植毛 2 カット 2 結髪 2 ポニテ、アホ毛など 5 (自然乾燥 24) 仕上げ 2 ■仕上げ工程 作業5時間 《内訳》 メイク、眼球製作等 5 面完成までの合計作業時間は延べ94時間 雌型流用なら延べ56時間となります。 (準備時間、待ち時間、撤去時間は含んでいません) それぞれの工程によって難度や専門性が変わるので、仮に作業技術費の設定を以下のようにしてみます。 原型:3000/h 雌型:1200/h FRP:1200/h 素体仕上:2000/h 塗装:1200/h ヘア:3000/h 仕上げ:2000/h 妥当かどうかは分かりませんがこんなもんでいかがでしょう? 待ち時間と材料費を含まない作業費は以下のようになります 原型:105,000円 雌型: 3,600円 FRP: 4,800円 素体仕上:50,000円 塗装: 8,400円 ヘア:45,000円 仕上げ:10,000円 面完成までの合計作業費は226,800円 雌型流用なら118,200円となります。 それぞれの工程にかかる材料費の試算(平均)は以下の通り。 原型:5,000円 雌型:25,000円 FRP:3,000円 素体仕上:2,000円 塗装:5,000円 ヘア:30,000円 仕上げ:2,000円 面完成までの合計材料費は72,000円 雌型流用なら42,000円となります。 以上の数字から、毎日8時間作業できる環境の場合 オリジナルの面を原型から1つ作成するには、298,800円, (乾燥待ち時間を含めて約19日+予備日4日 費用は材料費と製作費の合計。) 雌型を流用する場合は、160,200円になります。 (乾燥待ち時間含めて約12日+予備日3日 費用は材料費製作費合計。 この製作期間は純粋に作業と乾燥時間なので複数人で分担しても短縮不可能な日数です。 8時間労働で生産した場合、雌型流用での複製生産を順を追って行なった場合は月産最大2個となり、 売上(面2個) 320,400円 うち材料費 ▲ 84,000円 交通費雑費 ▲ 10,000円 粗利 226,400円 毎回違うものを原型から作った場合月産1.25個相当になるので、 売上(面1.25個) 373,500円 うち材料費 ▲ 90,000円 交通費雑費 ▲ 10,000円 粗利 273,500円 乾燥時間を休暇に充てるとして25日労働ですから、計算上の時給は1132-1367円ですね。 さて、一昨日の日記にちきまさんがコメントして下さった通り、 有機溶剤や粉塵に曝されながらの作業環境ではこの金額はいかがなもんでしょうか? しかし、実際は作者や作業者のレベルによって同じ時間をかけて作っても可愛くないとか似ていないとかの理由で 希望価格にならないこともあるでしょう。 そうなれば販売価格を下げざるを得なくなりますのできついですよねぇ。 もっとも、逆もあり得るわけですけどね。オークションで予想以上の高評価がつく場合もあるでしょうが、 そう言う評価を得られるのはごくわずかのモデラーに限られそうですよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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理想的な作業が出来たら時間の算出も可能ですが、現実は順調にはいかないことが多いですね。
また、例えばパテ浮きが素体研磨時に見つかった場合と、塗装後に見つかった場合、植毛して最終段階で見つかった場合でのリカバリーには後者にいくほど時間がかかります。 ミスが無いように各工程を慎重に進めていっても、たまに出てしまいます。 また、専業ではないわけで、会社の勤務時間によって理想的な作業時間が取れないこともよく有ります。 3時間で完結出来る作業があったとしても、1日1時間ずつしか時間がとれなかった場合、3日で完結出来るかと言うとそうでもなく(3時間集中力を連続させることと、1時間ずつの集中力を3回区切って続けることは同じにはならないですし)、実際は4~5日以上かかったりします。 日数が増えれば、その間に別の用事が絡むことも多くなり、さらに増えて、、、いくわけです; たまにですが、素材屋さんの近況を知るがてら見にきてますよ~。 (2006.04.20 08:07:04)
なぜこんなものを事細かく書いたかというと、決して、「もうじき生産するからみんな注文待ってるよーと」か言うのではないんですよ。「着ぐるみが欲しいけどなぜあんなに高いんだろう?」「なぜそんなに時間がかかるんだろう?」って漠然と思っているユーザー予備軍の方に詳しく知って欲しかったからなんです。
自分だけのオリジナルが欲しいとなればそれなりにコストがかかるということを数字で知っていただきたかったということなんです。この数字を目安にすればそれぞれの工房の価格にも合点が行くのではないかと思います。 ちきまさんのコメントのように、少女着ぐるみの工房のほとんどは専業ではないのでもっとずっと厳しい訳ですよね。 先日来、ヤフオクで話題になった中国製(?)の面は、既にある原型は同じものの様に見えます。特に具体的になんのキャラと謳っていませんから「それっぽければいい」のかもしれません。製作現場では素体抜きと肌色塗装まで終えたものをいくつもストックしておき、注文を受けてからヘアとメイクにかかるという方法でしょう。どれも同じ顔だからこそ出来る低価格、短納期と考えられます。しかしこの業者といえども更に特定のキャラに似せたり、原型や表情を変えることになれば、粘土原型から作り直すことになるためコストダウンは困難でしょう。 (2006.04.20 13:06:45)
着ぐるみ屋さんの着ぐるみ教室というブログを運営しているGenと申します。
この記事に大変共感しましたので、記事の一文だけ 使わせていただきました。 不具合がありましたら削除させていただきますので お申し出ください。 よろしくお願いいたします。 http://sunmold.blog63.fc2.com/ (2006.05.03 01:39:05)
Genさんご覧頂きましてありがとうございます。
サンモルドの方ですよね?こんなアマチュアの趣味ページにお越しいただき光栄です。今後とも宜しくお願い致します。 試算した数字はキャラクターショウの物よりもやや小さめのFRPマスク製作を想定しています。 原型製作時の重量を減らし取り回しを楽にする事で精度よりも加工性を上げ時間短縮しています。確かに原型を作り始めると永久に満足のいく形には到達出来ないのではないかという恐怖に駆られます。しかし、アニメ顔のキャラクターの場合は髪型と眼や口の描き方で何とかなる事が多いのです。コスプレも衣裳と仕草だけでそのキャラになりきれる訳ですから、顔かたちを100%再現出来なくともさほど問題はなさそうです。生物と違ってもともと立体が存在しませんし、物によっては生物骨格を無視し(眼球が頬骨にめり込んでいるとか)、幾何学さえ無視した立体として破綻した(横顔と正面顔が一致しない)キャラクターも存在する訳で。そこそこ矛盾がなければいいんじゃないの?って感じで原型製作をしています。 (2006.05.03 04:04:11)
コメントにいただいたリンク先のブログが無くなっていたので、
アーカイブへのリンクを載せます http://web.archive.org/web/20060923084637/http://sunmold.blog63.fc2.com:80/ (2017.07.05 13:57:08) |
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