テーマ:最近観た映画。(40124)
カテゴリ:遊女aosmeの「映画とドラマ」
遊女asomeを長らくご愛顧いただき・・ なんて、そんな挨拶ではありません。
映画の題名なのです。ちょっとドキッとしました?(笑) カナダ=フランス 映画「みなさん、さようなら」 監督 ドゥニ・アルカン 出演 レミ・ジラー/ステファン・ルソー/マリー=ジョゼ・クローズ 第76回アカデミー賞では外国語映画賞 カンヌでは脚本賞をもらった作品です。 たまたまDVDでみつけることができたので、喜んで見たのですが、思った以上によかったです。 主人公は末期がんを宣告された大学教授とその息子です。大学で歴史学を教えていたレミは、頑固な享楽主義の社会主義者。その父親を反面教師とする息子のセバスチャンは、ロンドンで証券取引のディーラとして活躍している。母のルイーズから、父親の入院を知らされ、セバスチャンは渋々モントリオールに帰る。ルイーズからは父親と和解するべきだとアドバイスを受け、最新の医療を受けさせるために海外の病院へ移転させようとするが、レミはがんとして断る。レミの望みどおり、公立病院の病室を改善し、そこにレミの変わった友達達を世界から呼び寄せた。みんなはそれぞれ、ウィットのきいた会話をし、最後の時を限りなく楽しく過ごすため、一致協力して演出してゆく。 流石に仕事の出来る証券取引のディーラであるセバスチャン。数ある困難な終末医療の実現を、大変行動的に成し遂げていくのです。病室の交渉から、痛みをとめるヘロインの入手の為に警察と渡り合うなど、その行動力には目を見張るものがあります。 レミとの最後の時を過ごす為の行動が、それぞれの人たちの人生を考え、そして成長してゆくきっかけとなっていく状況が、非常にテンポよく描かれています。 麻薬中毒の娘との生きる意味の問いかけもまた、哲学的。 レミは死ぬ意味がみつからないと不安と恐怖を語りますが、「何に執着してるの?」と娘は聴きます。「女とワインと旅と・・人生のすべてだ」「今はどうなの?」「女とは昔のようにはいかない。ワインは肝臓がうけつけない、旅はいろいろいったが、どこも旅行者でいっぱいだ」「だったら、執着しているのは全て過去のことなのね」「・・・」様々な会話をしながら、彼女も生きることの意味を見出し、麻薬をやめていこうと決心する。 「20世紀には1億人の人間が戦争で死んだだけだ。だが、1億3000人の先住民は、収容所も無く、抹殺されたんだ。それが人間のおろかな仕業だ」と、シスターの看護婦に説教するのです。「執筆をしておけばよかった、自分の出来る事をなにかしておきたかったと」時間のなさに、イライラとするレミですが、最後に湖の別荘で過ごす事を決め、みんなで星空の下、それぞれが、たいした人生ではなかったと大声で笑いあい語り合うところは非常に印象的です。 とにかく非常にテーマの重い内容なのにスピード感があって、しかも様々な事柄を深く考えられるいい映画です。出来るなら、このように、親しい人たちの暖かい笑顔に包まれて、死んでいきたいと思いました。一つ一つの会話がとっても意味が深く、ぜひともごらんになって、味わっていただきたいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[遊女aosmeの「映画とドラマ」] カテゴリの最新記事
|
|