カテゴリ:遊女aosmeの「その他の本」
イスカリオテのユダといえば、イエス・キリストを裏切った極悪人として名高いですね。ヨーロッパでは「ユダ」という名前は犬にもつけず、ドイツでは子供に名づけるのが禁止されるほどの忌み嫌われる存在だそうです。
さて、新約聖書といえば「福音書」が有名ですが、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ達による四福音書が編纂されていますね。 しかし、この四福音書のほかに、編纂されていない福音書はまだまだあるのですね。たとえば「マグダラのマリアの福音書」というものもあるそうです。「ユダの福音書」もその一つで、歴史から葬りさられ、1700年もの間、禁断の書として行方不明になっていたそうです。 「ユダの福音書を追え」では、「ユダの福音書」の写本がエジプトで発見され、ディーラーたちの手から手へわたり、よくやく復元されるに至った経緯が克明に記されています。発見された当初は良好な状態だったパピルスが、法外な値段で売りさばこうとするディーラーによって、劣悪な保存状態で放置され、あわや朽ち果てる寸前だったそうです。 強い憤りを感じ得ませんが、苦心の末の修復解読作業により、やっと、知られざるユダ像が浮かび上がりました。 「ユダの福音書」に記載されている、イエスがユダに語った言葉の一部です。 「お前は、真の私を包むこの肉体を犠牲とし、すべての弟子たちを超える存在になるだろう」 「ユダの福音書」のユダは裏切り者ではなく、弟子たちの中でも、だれよりもイエスのことを理解していた存在だったとされています。本当にこのイエスのことばで、ユダ像というものが見事に覆され、衝撃を受けました。 Asomeが長年不思議に感じていた、最後の晩餐でイエスがユダに言ったことばも、そうならば納得がいくと、謎がとけた感がしました。 「しようとしていることを、今すぐ、しなさい」(『ヨハネによる福音書』) イエスは、ユダがしようとしていることを周知しながら、むしろそれを煽っているようにもとれ、とても疑問だったのです。 イエスとマグダラのマリアとの関係といい、イエスとユダとの関係といい、どうも、イエスという存在はまだまだ謎めいていますね。イエス・キリストの実像がやっとあきらかにされる時代になったのでしょうか?さあ、今度は『原典 ユダの福音書』を読まなければいけませんね。 ハーバート・クロスニー (著)日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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