2006/05/23(火)18:22
IT投資の損益
今日もまた大きく下げましたね。
こんな記事も出てくるようですので、かなり弱気が広まっているようです。
ロイター調査:個人投資家マインドが急低下、株価急落で
「投資対象として預貯金の人気が急上昇、株関連は嫌気される」って、
短期のタイムスパンで投資しようとしているのでしょうか。
そんなことしていたら、ずっと振り回されっぱなしになりそうです。
さて、IT投資について、こんな記事がありました。
松下電器、2100億円のIT投資を“黒字化”(日経情報ストラテジー)
「IT革新全社プロジェクト」という名のプロジェクトで、
2001年度からのIT投資に対する効果が、累計投資額を上回ったそうです。
具体的には5年間で1733億円投資し、
コスト削減などの定量的な効果が1784億円となったとのこと。
IT投資の具体的な内容は記述されていませんが、
開発や製造、販売、間接業務などあらゆる組織を、
市場の変化に即座に対応できる体制にすることを目指したものとあります。
他の過去記事を見てみると、
SCM、開発プロセス革新、CRM、情報基盤など、
分野は幅広いです。
・松下電器産業/牧田孝衞氏
・松下のIT革新,正念場へ このままでは失速の危機
・松下電器がIT基盤を共通化、「経営は分権、ITは集中管理」
やはりしっかりしているな~と思うのが、
投資効果を計測している点でしょうか。
(恐らくエイヤ!と出している部分もあると思いますが、
それでも出して可視化していることが重要ですから)
そんなことは当り前だ、と思われるかもしれませんが、
「IT投資の効果」を把握するのは、非常に難しいものです。
在庫削減や省力化、インフラ見直しなどのコスト削減案件は、
まだ定量的に把握しやすいですが、
情報共有などの定性効果を狙った案件や、
税制改正対応やセキュリティー対策などの案件は、
どう効果を定義するかで、結果が変わってきます。
プロジェクトでは最初に、
「何がどうなれば、このプロジェクトは成功か」を定義しますが、
それを金銭などの定量で計測するのは簡単ではありません。
なので、多くの企業では、IT投資「損益」という形では、
なかなか把握できないでいるのが実情です。
一般的に、IT投資は次の4つに分類できると思います。
<業務遂行:電子メール、会計システム、業務支援システムなど>
事業活動および業務を行うにあたって、
商取引、仕入・生産・物流、会計、業務管理などの業務を、
合理的・効率的に遂行するために必要な投資。
<競争優位:
顧客データ分析系システム、eコマースサイト、
テレマーケティング・システムなど>
競争環境のなかで事業を行うにあたって、
利益の拡大、他社との差別化や新たな付加価値創造のために必要な投資。
<社会責任:新税制対応、セキュリティ、ビジネス継続性確保など>
企業活動を行う上で、
法の遵守、株主・顧客・取引先および従業員の安全の確保、
信用の確保、顧客・取引先に不利益を与えないことを目的にする投資。
<ITインフラ:
基幹ネットワーク、データセンター、システム運用管理、
ソフトウェアのバージョンアップなど>
社会責任、業務遂行および競争優位のための情報システムを運用する上で、
必要不可欠な情報システム基盤の構築・運営に対する投資。
こういったIT投資案件について、すべて金銭的に効果を計測する、
と考えると、簡単ではないと分かると思います。
また例えば、いま日本企業は、
内部統制の確立を迫る「日本版SOX法」対応に迫られており、
IT業界ではその特需があるとも言われています。
日本版SOX法とは?
この対応でも、
・積極果敢のファミリーマート
・東京ガスは省力主義を徹底
・日清オイリオグループは仕事の進め方を全社的に洗い直し
と活動内容が違い、IT投資へのインパクトも全く違いますし、
IT投資の収益の計測方法も違ったものになるでしょう。
なので、こうすれば求められる、という方程式はなく、
全て自分で考える必要があります。
やはりこういう点でも、
経営者のITへの意識が大きく反映されるのだと思います。
おまけ
戦略的な情報システムの事例集
おまけ2
【日本経済新聞社】第16回 個人投資家向け会社説明会のお知らせ
アーバンも参加するようですね。