☆.井 戸 の 底 ☆.:*゜☆.。.:*

2019/06/07(金)19:53

阿寒に果つ 梅雨入りの日に読む

本(240)

夭折の天才少女画家加清純子をモデルにした小説。 加清純子の初の回顧展が、2019年5月、道立文学館で開かれたというので再読してみた。 初読が14歳ころと、ヒロインに近い年齢だったり、自身が美術部員だったりもしたしためか、純子の奔放さに淡い憧れを抱いたり、18歳の死という概念に未熟さゆえの陶酔を覚えたりした記憶が残っている。 「挽歌」もだが、北海道を舞台にした恋愛小説という設定も幼いロマンティシズムを刺激したのかもしれない(遠い目) 「挽歌」では少女ではなく人妻の自殺が描かれるのだが、この共通項は偶然だろうか。 (挽歌は家族の持っていた古本でこっそり読んだ。それを自宅を出るとき持って出て今も捨てずにいる) 残念ながら時を経て読み返すと、例によっての渡部淳一クオリティの筆捌きに(以下自粛) ともかく、本作への感心も関心も薄れた自分に気付かされる。 それより、この小説よりも純子の描いた絵画そのものに、今観ても私は心惹かれる。 彼女が天才であったかどうか、もっと生き延びればさらに素晴らしい作品が描けたかどうかはわからないけれども。 「ほおずきと日記」 彼女が14歳のとき作品           彼女の自画像(向かって左)と 純子がモデルと思われる菊池又男作「雪国の少女」(右)

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