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テーマ:ミステリはお好き?(1429)
カテゴリ:Mystery
1984年6月、イギリスの海辺の町アーマネスで起きた殺人事件。 犯人として裁かれたのは16歳の少女コリーンだった。 事件から20年、鑑識技術は進歩し、かつての証拠品から新たな未知のDNAが検出されたことで、本件は再燃する。 再審請求のために調査を依頼された、元警察感の探偵ウォードの追跡によって、過去の亡霊のように立ち上がる新事実の数々。 コリーンの友人たち、転校生サマンサの母とその恋人、サマンサの祖父母、84年当時アーネマスの警察官 だったリヴェットとグレイ。 事件当時のコリーンを巡る人々の様相と、彼らの複雑で意外な人間関係。 何故コリーンは冤罪に貶されたのか、誰が真犯人なのか。何よりも殺されたのは誰であろう。 2004年の6月、真実は白日のもとに曝される。 --------- 冤罪ものミステリーのスタイルであるが、「誰が犯人か」以上に「誰が被害者か」かが、読者視点では 推理のポイントになる。 1984年と2004年の20年間の時差を往き来して、交互にストーリーが進行する。この手法に惑わされて 事件の展開や登場人物の人間模様がより複雑に映り、盤面整理がすっきりいかず、読みづらさを感じた。 当然被害者探しも真犯人探しも難航した。 1984年のストーリーだけ抜き出してみれば、当時のファッションやロックに触れている箇所がレトロならぬむしろ斬新に感じられて興味を引く。その他脇を固める登場人物たちもかなり個性的で、サマンサの度外れな我儘、それに輪をかけた周囲の大人たちのエゴイズムには妙なリアリティがあって、マジ苛つくし、さらに悪徳警官の描写に至っては、相当エグくてげんなりするほどだった。 (いつの時代、何処の国にだっていじめはあって、なくならない) そこまで描いた作者にはむしろ拍手だが、それに比べて2003年の探偵と弁護士の描き方が弱いのは物足りない。更に突っ込むと、謎の解明部分と人物相関図の伏線回収の部分の描写がロジカルでないためすっきりしない。 えー、それじゃあの人とこの人は、事件を通してどう繋がっていたの?という問には、匂わせだけで明確に答えず終わっている。 こうして謎の解決部分と探偵役の描法に不満があるため、何程も傑作ミステリーとは感じなかった。 P・S さんざん難癖を付けたが、すべてわかった上で読み返すと色々発見がありそうな一冊。 1984年のロックだのバイクだのファッションだのの、グラフィティカルな描写とかミステリーとしてのジャンルを離れて読むと面白い。 それに黒魔術ネタ。アレスター・クローリーの名称がまさか出てくるとは。 そこらへん後日続きを書くかも。 午後、仕事が終わってから異様な眠気に襲われ、ベッドに横になったきり2時間ばかり寝落ちしてしまった。それから記事に取り掛かり、もうこんな時間。やはり天候のせいで睡眠サイクルが狂っているのか。涼しいのでよく眠れるか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.07.16 20:43:24
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