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テーマ:ミステリはお好き?(1430)
カテゴリ:Mystery
昭和24年の名古屋の新制高校。
推理研部長カツ丼こと風早勝利は、推理小説研究部と映画研究部の合同合宿のため赴いた旅荘で殺人事件に遭遇する。 旅荘近くの密室状態の空き家の中で評論家徳永信太郎が斬殺されていたのである。 女性教師別宮操の知り合いの看板描き、那珂一兵が捜査を協力することになった。 彼はかつて金田一耕助の手助けをしたことのある人物だった。 ところが捜査の途上、第二の殺人は起きてしまう。 殺されたのは設楽市会議員郡司英輔。 発見当時、その遺体は切断され首が晒されていた。 勝利と一兵は二つの殺人事件を解決に導くことが出来るのだろうか。 ------------ 靑春群像劇とミステリーのコラボといったところか。 戦後混乱期の青春グラフティを、暗くなり過ぎず読みやすく描いていると思いきや、ラストで重いテーマが暴かれる。 だからこのタイトルなのか。その点は納得し妙に感心させられた。いや寒心というべきか。 戦後という知らない時代の描写が延々と続くが、出てくる推理小説の固有名詞、クイーンやクリスティー、古えの名作洋画のタイトルなどは此方にはお馴染みだったのでさしたる違和感もなく読めた。 もっとも登場人物はかなり戯画化されているというか、作者がアニメのシナリオ作家でもあるためかアニメチックな人物造形である。 決してけなしているわけではなく、面白く読ませる技術はとても高い。 如何せん、この人物造形のおかげで、犯人が薄々わかってしまう。 ミステリーとしての肝心なトリックは、密室構成については無理のある物理トリックが使われており、真面目に考えても正解することは出来ないと思われる。 第二の殺人は死体をバラバラにする必要性の解明が全くなされていない。 にもかかわらず、遺体を解体するのに要した時間から、その機会のあった人物を犯人特定の手がかりにしているのは矛盾だろう。 もっとも本作はトリックと謎解きを楽しむより、ストーリーとタイトルに込められたある主題を読み取って欲しいというのが作者の意図なのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.08.16 22:26:05
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