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テーマ:ミステリはお好き?(1425)
カテゴリ:Mystery
二人以上殺した者は「天使」と呼ばれる異形の生命体によって地獄に引きずり込まれる世界。
かつて無差別爆破テロで仲間を失った探偵青岸焦は富豪常木王剴に招かれ孤島常世島に赴く。 そこで起こる連続殺人事件。 なぜ殺人者は天使の裁きを受けずに、それを為し得るのか。 もとい、なぜ一人を殺しても、天使の裁きを被れるのか。 天使は存在するのに神は不在なのか? ------------------ 今や珍しくもなくなった異世界設定もの。 その世界観には天使はいても神は不在なのか、地獄はあっても天国は存在しないのかといった形而上的な問題提起、ひいては神を失った人間の悲惨といった主題がちらつく。 かといって作風の筆致は深刻ぶった重苦しさはなく、クリスティの某作へのオマージュの変奏gosyokubaで味付けしたストーリーといったところか。 それにヴァンダインの20則への皮肉も少し。 と、発想は面白いし、物語の構成は悪くないが、登場人物名の記述間違いはミステリーとして致命的な欠陥だろう。 これ以上は物語の真相に関わることなので詳述はできないが。 推理の要は、なぜ二人以上殺した殺人犯が地獄へ道連れにされないか であると考えながら読んだ。 ごく単純に一人一殺で複数犯による犯行だからとしたら、これまた全員が犯人の可能性もあるのでは。 などと妄想に近い憶測まで思い浮かべた。 まったくハズレではないが、真相はもう少し複雑であった。 ハウダニットの物理トリックは多少荒唐無稽でも、異世界の出来事ならありと、受け止めなければならないのか。 そこのところは微妙である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.09.02 19:02:02
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