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テーマ:ミステリはお好き?(1498)
カテゴリ:Mystery
いにしえの魔術師によって創造された人工生命体「蛇」
彼らは現世人の身体と記憶を喰らう「衣装替え」によって永遠のときを生き続けるはずだった。 しかし何者かが、5体の蛇を襲撃し、うち1人の蛇「弐ノ」が行方不明になる。 女子高生鱗川冬子に化体していた蛇「伍ノ」は、殺された冬子から同学の猫谷秋果へと衣装替えをして辛くも生き延びる。 蛇の長「壱ノ」から襲撃犯探しの命を受けた伍ノは、高校の部活仲間を廃墟のような佇まいの涼月館に誘う。 それは部員たちを衣装替えの餌食にするための企みでもあった。 伍ノはただ1人彼女の正体を知る男子鷹谷巧とともに、犯人探しを試みるが 蛇体を思わせる奇観を呈する館に集う者たちは、次々と怪異な現象に見舞われ、ついに蛇の「参ノ」と「肆ノ」部員の高校生竜野健が犠牲者となり...... ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 特殊設定ならではの奇想にみちた謎の魅力、その謎を解明するロジックも特殊設定ならでは独創性。 特殊設定ミステリの極北という帯の推薦文は決してほめ過ぎではない。 誰が蛇か、あるいは人間か? 殺されたのは誰で、殺したのは誰か? この手の「奇人と騎士の島」ならぬ「蛇と人間の館」のパズラーなら大好物なので 論理の入れ子細工のようなルールの複雑さに戸惑いつつも、魅力的なギミックが仕掛けられたスリリングなストーリー展開を楽しめた。 あくまで私の嗜好にかなって魅力を感じたにすぎないかもだけれど。 例えば人狼ゲームならぬ「蛇牢」というゲームを高校生たちがするシーンは膝を乗り出すような気持ち注目したが、やはりそこには伏線が張られていた。 なるほどね。 以下、私の考察ならぬ当て推量を少しネタバレすると ある人物Xは最初から蛇である。 (したがって蛇は5体より多い) 涼月館にいる○○が蛇である。 ある蛇Yが犯人である。 なんちゃって。 推論の前提条件になる複雑なルールを確認するため、ページを往きつ戻りつの迷推理は 一部は当たり、ある部分は論理の盲点をつかれて見事にひっくり返されて大外れ。 解決篇は多重解決の要素を絡ませながらも、唯一の真相に至るロジックの提示はエレガントであると感じた。 作者の才覚と技量には畏れ入ったのと、本作の世界観が私の趣向にぴったりだったゆえ、いつか中世以降に遡った時代を舞台に、魔術師と蛇たちが暗躍するミステリーを書いてほしいな。 と、またしても妄想をチラ裏の最後に書き加えてしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.16 23:48:28
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